6月21日

アルフィーのリーダー高見沢俊彦、華麗ないでたちに感じる決意と覚悟!

34
0
 
 この日何の日? 
ALFEEのシングル「メリーアン」がリリースされた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1983年のコラム 
YMOの音楽講座、NHKで行われた伝説のジャムセッション

伝説のギタリスト、テキサス・ハリケーンことスティーヴィー・レイ・ヴォーン

世界的大ヒットへの絶妙な布石、カルチャー・クラブのナンバー2ソング

麻倉未稀は洋楽カバーだけじゃない!セクシーなシティポップ路線に名曲あり

論争なんて今は昔、THE ALFEE は死ぬまでロックだぜ!

ジャパメタシーンに都市伝説を生んだギタリスト、湯浅晋が率いたX-RAY

もっとみる≫




高見沢俊彦、ビジュアルに感じる並々ならぬ決意と覚悟


4月17日は高見沢俊彦の誕生日。実は僕の誕生日も同じなので、密かに彼にはシンパシーを抱いている。ちなみに、“ムツゴロウさん” こと畑正憲氏やサディスティック・ミカ・バンドのミカこと福井ミカも同じ4月17日が誕生日だ。

高見沢俊彦といえば、少女マンガの王子様のようなビジュアルを思い浮かべる人も多いだろう。彼がすでに還暦を過ぎていることを思えば違和感を覚えるかもしれない。しかし、僕は彼のあの華麗ないでたちに並々ならぬ決意と覚悟を感じるのだ。

アルフィー、筒美京平×松本隆「夏しぐれ」でデビュー


ロック少年だった高見沢俊彦は、明治学院大学1年生の時に桜井賢、坂崎幸之助に誘われてフォークグループ、コンフィデンスに参加。このグループがアルフィーとなり、1974年にレコードデビューする。アルフィーをフォーク味のアイドルグループとして売り出そうとするレコード会社の意向で、人気作曲家の筒美京平と、作詞家活動を始めたばかりの松本隆が手掛けた「夏しぐれ」がデビュー曲になった。

しかし、デビュー曲はヒットせず、目論見は成功しなかった。さらに3枚目のシングル「府中捕物控」(作詞・作曲:山本正之)が発売中止となったのをきっかけに契約を解除。デビューは失敗に終わった。

アルフィーは研ナオコらのバッキングやライブハウスをメインとした活動を続けながら自分たちのスタイルを探っていく。この時期に高見沢俊彦は本格的に作曲を学び、1979年の再デビュー曲「ラブレター」とカップリング曲「過ぎ去りし日々」をはじめ、その後のアルフィー楽曲のほとんどの作詞・作曲を彼が手掛けるようになった。

高見沢俊彦のロックスピリットが加味された「メリーアン」でブレイク


アコースティックギターを主体としていた初期のアルフィーにはガロの後継者というイメージがあった。CSN&Yに象徴される洗練されたコーラスワークや洋楽エッセンスをベースに歌謡ポップスの親しみやすさをトッピングしたガロの音楽性に通じる感覚があった。

しかし、サードアルバム『賛集詩』(1980年)に初めて高見沢俊彦のエレキギターソロが入ったことをきっかけに次第にロック色を強め、ライブでもエレキギター、アコースティックギター、ベースという誰でも思いつきそうでいて珍しい編成が定着していく。この編成によってアルフィーは幅広い音楽スタイルをカバーできるようになり、それまでにも定評があったステージングのダイナミズムも広がっていった。

1982年には、高見沢俊彦が坂崎幸之助に替わってアルフィーのリーダーとなっているが、そのロックスピリットが加味されたアルフィー・サウンドから「メリーアン」(1983年)のブレイクが生まれ、彼らは時代をつかむグループになった。そして、高見沢俊彦、坂崎幸之助、桜井賢の3人の個性を最大限に生かしたうえで絶妙なバランスをと保って、唯一無二のオリジナリティをもつライブバンドとして、今も強烈な存在感を示し続けている。

貫き続けたリスナーファーストの音楽性とアルフィーの個性


現在アルフィーの楽曲数は360曲以上になるが、そのほとんどを手掛けているのは高見沢俊彦だ。いくら同じグループの楽曲とは言え、並みの力量ではないのだが、ソングライターとして高見沢俊彦がクローズアップされることはそれほど多くないように思える。

憶測だけれど、それは彼の書く曲がわかりやすく感じられるからではないかという気がする。曲のバラエティは豊かなのだけれど、メロディの奇をてらった展開や不自然な変拍子をあまり使わず、メロディの美しさやサウンドの耳ざわりの良さが大切にされているように感じられる。だから聴きやすいけれど、逆に強いインパクトを感じにくいのではないだろうか。

もしかしたら、それはアルフィーというグループの個性そのものかもしれない。高度な音楽性や演奏技術を持ちながらもそれをひけらかすのではなく、親しみやすさ、聴きやすさ、楽しさを優先してステージを展開していく。そんなリスナーファーストの音楽性を貫き続けること自体が、他の追従を許さないアルフィーの強烈な個性となっている。

高見沢俊彦の楽曲についても同じことが言えると思う。曲に込められたメッセージが、高い純度を保って聴き手に届けられるために必要な作・編曲の技法が使われている。その結果、素直な聴きやすい曲という印象が残るのだ。

もしかしたら、高見沢俊彦のソングライターとしての個性は、アルフィーの楽曲よりも、彼が他のシンガーに提供した曲の方が見えやすいかもしれないという気がする。例として、彼が小泉今日子に提供した曲を見てみよう。

小泉今日子の “純真さ” を浮き上がらせた「The Stardust Memory」


高見沢俊彦が初めて小泉今日子に書いた曲は、彼女が主演した映画『生徒諸君!』の主題歌「The Stardust Memory」(1984年)だ。1982年に「私の16才」でデビューした小泉今日子は、松田聖子、中森明菜を追うポジションに居たが、「艶姿ナミダ娘」(1983年)「ヤマトナデシコ七変化」(1984年)などの言葉遊びの感覚を取り込んだ楽曲によって、それまでのアイドルの概念を越える奔放な女の子のイメージを打ち出していった。そして「ヤマトナデシコ七変化」に続くシングルとなったのが「The Stardust Memory」だった。

小泉今日子サイドが高見沢俊彦に楽曲を依頼したのは、「メリーアン」「星空のディスタンス」(1984年)などで、彼が旬のヒット曲作家としての頭角を現しはじめていたことに着目したのだろうか。ともあれ「The Stardust Memory」は、素直なメロディやセンチメンタルな歌詞が、奔放さのイメージが表に出ていた小泉今日子の中に潜む “純真さ” を浮き上がらせて大ヒットした。

翌1985年には、「常夏娘」に続く楽曲として、高見沢俊彦が手掛けた「ハートブレイカー」がリリースされた。これは、典型的なアイドルソングだった「常夏娘」からの大きく方向転換して、当時最新だったリミックスムーブメントを意識した12インチシングルとして、名義も小泉今日子ではなく、Kyon²とクレジットされた。効果音やノイズを多用して全体で7分ほどある実験的ニュアンスの強い曲だが、その主要な部分は親しみやすいロックナンバーになっていて、小泉今日子もキレのあるパワフルなボーカルを聴かせている。

小泉今日子の可能性を引き出す高見沢俊彦提供曲「木枯らしに抱かれて」


その後、小泉今日子は「魔女」「なんてったってアイドル」「夜明けのMEW」など個性あふれる楽曲で “小泉ワールド” を確立させるが、この時期の楽曲の中でも大きな存在感を示していたのが高見沢俊彦が提供した「木枯らしに抱かれて」(1986年)だった。

どこかヨーロッパ古謡のようなエキゾティシズムと素朴なロマンティシズムの漂う「木枯らしに抱かれて」は、少女から大人になろうとしている小泉今日子の気品を感じさせる佳曲として支持され、今でも小泉今日子の代表曲のひとつとして愛されている。けれど、改めて聴き直してみると、井上鑑の素晴らしい編曲の相乗効果もあって親しみやすく耳に残るけれど、当時の歌謡ポップスとしてはかなりの異色曲だったとしみじみ思う。

「ヤマトナデシコ七変化」→「The Stardust Memory」、「常夏娘」→「ハートブレイカー」、「なんたってアイドル」→「木枯らしに抱かれて」という流れを見ると、小泉今日子にとっての高見沢俊彦作品は、彼女が新しい世界にチャレンジしていく時のバランサーというか、ひとつの方向に行き過ぎそうになる時に、また別の可能性を見せる役割を果たしてきたように見える。

高見沢俊彦の楽曲がこうした役割を果たせたのは、彼の作品が聴きやすく親しみやすく感じられると同時に、その中に高度な作曲技術が生きているからだと思う。さり気なく耳に馴染みながら、高い音楽センスと品の良さが伝わってくる。

そんな楽曲を40年も書き続けている高見沢俊彦というソングライターは、やはり稀有な才能と言っていいのだと思う。



2021.04.17
34
  Songlink
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1948年生まれ
前田祥丈
コラムリスト≫
85
1
9
7
3
チューリップ「夏色のおもいで」色使いの名人 松本隆の職業作詞家デビュー作!
カタリベ / 指南役
19
1
9
8
1
オン・ジ・エッジのハラハラ感、松本伊代「センチメンタル・ジャーニー」
カタリベ / KARL南澤
25
1
9
8
7
小泉今日子のプロデュースアルバム「Hippies」時代を切り取ったクリエイター感覚
カタリベ / 本田 隆
60
1
9
8
5
KYON²「ハートブレイカー」小泉今日子 × 高見沢俊彦が放つ異彩のハードロック!
カタリベ / 中塚 一晶
33
1
9
8
3
ラッツ&スター「め組のひと」からの、色褪せない「Tシャツに口紅」
カタリベ / 太田 秀樹
44
1
9
8
8
80年代の船山基紀、アナログとデジタルの狭間を駆け抜けた編曲家
カタリベ / スージー鈴木