2020年 10月25日

優里、あいみょん、藤井風… 親から子に受け継がれる80年代エッセンス

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1994年生まれの優里が歌う「ドライフラワー」、そのきっかけとは


2021年、美味しいものをたくさん食べましたか? いい音楽をたくさん聴きましたか?

英語のことわざに、“You are what you eat(あなたはあなたの食べたものでできている)” がある。からだは食べたものでできているけれど、聴いた音楽、歌った音楽でもできている。わたしは常々そんなことを思っている。

優里さんが2020年10月にリリースしたセカンドシングル「ドライフラワー」が、2021年Billboard JAPANの年間総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で1位を獲得した。普段それほどまめにテレビ・ラジオに接していないわたしは、恥ずかしい話、割と最近までこの歌を知らなかったのだが、最初聴いて思ったのは「どこか懐かしくて、カラオケ映えする歌だな」ということ。カラオケ映えというか、これは上手く歌えると気持ちいい歌だ。

1994年3月生まれの優里さんはビルボード 2021年年間インタビューで次のように語っている。

自分が音楽を始めるきっかけになったのは、子供の頃に親が聴かせてくれたボン・ジョヴィだし、今でもネガティブになったり、躓いてしまったときは、ボン・ジョヴィの楽曲を聴くと「もっと頑張ろう」と思えるんですよね


優里、あいみょん、藤井風が受け継いだ音楽の遺伝子


彼らの年代の親世代は、まさに70年代から80年代、90年代の音楽をリアルタイムで聴いてきた人々だ。音楽好きの親が自宅やクルマで流している音楽を聴いて育ったという若い人も多いだろう。『サタデー・ソングブック』時代を含めると29年間続く山下達郎さんのラジオ番組『Sunday Songbook』は、親子二代で聴いているリスナーも多い。なかには親・子・孫の三世代で聴いているというご家族もいるのでは。

優里さんの場合は母親が洋楽ロック好きだった影響のようだが、あいみょん(1995年3月生まれ)の場合は父親がPAエンジニアでバンド活動をしていたり、家で浜田省吾さんの『J.BOY』が流れていたという(OTOTOI)。藤井風さん(1997年6月生まれ)も音楽好きの両親が営む喫茶店でいろいろな音楽を聴いて育った。

そういった若いミュージシャンの曲が現代の中高年層にも支持されている理由は、どこかに親世代の音楽の遺伝子が息づいているからだと考える。4-5-3-6の循環コードやJust the Two of Us進行で支配されるYOASOBIが普通に受け入れられたのも、杏里さんの「オリビアを聴きながら」やサザンオールスターズ「いとしのエリー」他、数多の曲で聴き慣れたコード進行が耳に馴染んでいるのが一つの理由だろう。

バブル崩壊後に生まれた世代は基本的にずっと低空飛行で景気が曇り空の、“失われた30年” の日本しか身をもって知らない。親世代が過ごした “華やかで楽しく希望に満ちた青春時代” を実際に味わうことは難しいなかで、等身大の彼らなりに「そんな時代があったんだなぁ」と脈々と歳を重ねてきた。

若い彼らも30年前、40年前のヒット曲を普通に聴いている。テレビやラジオから流れていたり、飲食店のBGMだったり、TikTokやYouTube、Spotifyなどのスマホの音楽サブスクリプションサービスから流れていたりと、聴くきっかけは様々。つくられた時期は問わず、はじめて聴く曲はいつだって新曲だ。新しい解釈で若い人が歌うと、また違う曲に聴こえることも少なくない。

2020年に「真夜中のドア~Stay with me~」のカヴァーで一躍ブレイクしたインドネシアのレイニッチさんが日本のバンドevening cinemaと組んで山下達郎さんをカヴァーした「RIDE ON TIME」は、オリジナルに比較的忠実ながら全然違う味わい。「高気圧ガール」等をフィーチャリングしたアレンジ等もリスペクト性に富んでおり、聴いていて気持ちいい。

トリビュートアルバム、カヴァーアルバムが多数発表された2021年


2021年は、メディアでも大きくとりあげられた、松本隆さんの作品を集めた『風街へ連れてって!』をはじめとして、トリビュートアルバム、カヴァーアルバムが多数発表された。上白石萌音さん『あの歌』シリーズ、工藤静香さんが中島みゆきさんを歌う『青い炎』、渡辺美里さん『うたの木 彼の好きな歌』、DEEN『POP IN CITY ~for covers only~』… といった具合。

各々いろいろなコンセプトに沿ってつくられているようだが、わたしが個人的に気に入っているのはクレイジーケンバンド『好きなんだよ』。1960年生まれの横山剣さんはわたしの5歳上。世代的に近いこともあり、選曲がとにかく70年代~90年代ドンピシャなのだ。YouTubeにアップされている横山剣さん弾き語りの楽曲解説動画には、剣さんの楽曲への愛が溢れている。

その横山剣さんもダンディズム溢れる「ルビーの指環」で参加した、松本隆さん作詞活動50周年記念コンサート『風街オデッセイ』。わたしも11月5日、6日の両日足を運んだ。会場の日本武道館には10代後半から60~70代と思しき、松本隆さんの作り出す世界に魅せられたあらゆる世代が、次から次へと繰り出される風街ワールドを思い思いに楽しんでいた。

こんなにたくさんの世代が一堂に会してポップスのコンサートを生で観る機会はこれまであっただろうか。2015年8月に東京国際フォーラムで行われた45周年の『風街レジェンド』のときよりも、確実に裾野が広がっている。

わたしたち一人ひとりがみんな、歴史の生き証人だ。30年、40年、50年と音楽活動を続けていられるミュージシャンたちを応援できる、平和な日本に暮らしていることに感謝している。願わくば、この幸せな遺伝子を持った音楽たちを、ずっと聴き続けて、歌い継いで後世に残していけますように。

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2021.12.31
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カタリベ
1965年生まれ
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