2023年 9月18日

2月26日はサザンオールスターズ 桑田佳祐の誕生日!その音楽が世代を越えて愛される理由

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桑田佳祐がベストボーカル賞を獲得した「East West ’77」


2月26日は桑田佳祐の誕生日。
桑田佳祐が日本の音楽シーンで果たしてきた大きな功績は、今さら説明するまでもないだろう。

サザンオールスターズは1978年6月に「勝手にシンドバッド」でレコードデビューしたが、僕はその少し前から彼らを知っていた。それは前年の1977年に中野サンプラザホールで行われたアマチュアコンテスト『East West ’77』決勝大会で彼らを観ていたからだ。

僕が1977年の『East West』に行ったのは、当時、本格的ドゥーワップ・グループとして僕のまわりで話題になっていたシャネルズを観るためで、サザンオールスターズのことは知らなかった。しかしその日、シャネルズに負けないインパクトを感じさせたのがサザンオールスターズだった。

記憶では、この時に彼らが演奏したのは、ファーストアルバム『熱い胸さわぎ』に収録されている「女呼んでブギ」だ。勝手な憶測だけれど、まだ「勝手にシンドバッド」は作られていなかったのかもしれない。けれど桑田佳祐の声質や唱法が、「女呼んでブギ」のちょっと猥雑でラフな雰囲気とよくフィットしていてとても印象的だったのを覚えている。この時、桑田佳祐はベストボーカル賞を獲得している。

この時の印象から、僕はサザンオールスターズを、サザンロックをベースとしたアメリカンテイストのバンドだと思っていた。だからアメリカンロックだけでなく、ソウルやラテン、さらには昭和歌謡のテイストまでを大胆にブレンドしたデビュー曲の「勝手にシンドバッド」にはより強いインパクトを感じた。



桑田佳祐の日本のコンテンポラリー・ポップミュージックをクリエイトしていった音楽家としての姿勢


その後のサザンオールスターズを中心とした桑田佳祐の軌跡はすでに多くの分析・評価がされているし、そこに付けたすべきことはあまり無い。

あえて言えば、学生仲間の延長であったサザンオールスターズというバンドを軸にして、そのカラーを大切にしつつ自らのイマジネーションを広げ、その表現力を高めていくことで、彼にしかできない日本のコンテンポラリー・ポップミュージックをクリエイトしていった音楽家としての姿勢は、他の追従を赦さないものがあると思う。

時に彼はサザンオールスターズ以外の形で活動をしたり、ソロで作品をつくったりもするが、僕にはそれらが必ずしもサザンオールスターズと無縁の活動だとは感じられなかった。たとえその時点でのサザンオールスターズでは表現できない “こと” にトライしていたとしても、それはその後のサザンオールスターズを軸とした桑田佳祐の音楽性を豊かに肉付ける要素となっていったと思えるからだ。

欧米のミュージシャンたちの世代やジャンルを越えた交流の意味


桑田佳祐の活動の中で、僕が個人的に強いインパクトを感じたのが、1986年と1987年の12月24日に日本テレビ系でオンエアされたスペシャルな音楽番組『メリー・クリスマス・ショー(Merry X'mas Show)』だ。

アメリカでは、フランク・シナトラなどのトップシンガーによる、テレビのクリスマスショーが放映されることはよくあって、そこでアーティスト同士の意外なコラボレーションが見られることもあった。

そんな中、僕たちの世代にとってとくに印象的だったのが1977年に行われたビング・クロスビーの『メリー・オールド・クリスマス』というテレビショーで、スペシャル・ゲストにデヴィッド・ボウイが出て、ピング・クロスビーと定番クリスマス・ソングのひとつ「リトル・ドラマー・ボーイ」をデュエットしたことだった。このショーは、収録された約2ヶ月後にビング・クロスビーが死去したこともあって大きな話題となり、日本でも放映された。




ビング・クロスビーといえば1941年に「ホワイト・クリスマス」を初めてレコード化し、世界で最も有名なクリスマスソングとしたことでも知られる歴史的名歌手。その彼が晩年に、先進的ロックアーティストとして売出し中だったデヴィッド・ボウイと、世代やジャンルを越えてデュエットした。しかも、そのコラボレーションにはなんの違和感も無かった。

僕はその事実に、欧米の音楽フィールドの奥深さや、古い時代の優れた価値を継承していこうとする姿勢を強く感じた。これも勝手な想像だけれど、桑田佳祐もこうした欧米のミュージシャンたちの世代やジャンルを越えた交流の意味を強く感じていたのではないかと思う。

KUWATA BANDで参加した「メリー・クリスマス・ショー」


『メリー・クリスマス・ショー』は2時間の特番として構成され、チェッカーズ、忌野清志郎、THE ALFEE、鈴木雅之、BOØWY、松任谷由実、泉谷しげる、アン・ルイス、米米CLUB、BARBEE BOYS、爆風スランプ、吉川晃司、Charなど、普段テレビとはあまり縁のない人も含めた錚々たるアーティストが参加し、この日だけのスペシャルなセッションが展開されるという音楽ファンにはたまらないテレビショーだった。




桑田佳祐はこの番組の企画者でもあり、KUWATA BANDで番組に参加しただけでなく、他のアーティストの出演交渉も精力的に行ったという。ちなみに、桑田佳祐は山下達郎にも声をかけていて、テレビには出演しないポリシーの山下は、番組にクレジットを入れないことを条件に選曲や編曲などで協力している。

もちろん、これは彼のキャリアの中でひとつのエピソードに過ぎないけれど、テレビショーとしての面白さや音楽番組としての完成度の高さもさることながら、『メリー・クリスマス・ショー』を自分にとってのプラスよりも、日本の音楽シーンの活性化やアーティスト間のコネクションの強化など “全体の意義” を視野に入れて企画を実現させた桑田佳祐の姿勢は改めて高く評価されて良いものだと思う。

社会的メッセージが込められた「奇跡の地球」


桑田佳祐は、普段から社会的発言を積極的にするタイプのアーティストではない。むしろ、そういった話題に対しては韜晦(とうかい)的態度をとることが多いという印象もある。けれどその活動の姿勢を見ていくと、彼がしっかりとした社会的ポリシーの持ち主であることも感じとれる。

たとえば1993年にスタートしたAAA(アクト・アゲインスト・エイズ=エイズへの正しい知識を深める運動)コンサートに初年度から参加しているだけでなく、1996年からは彼自身が単独で企画性豊かなコンサートを毎年AAAを冠して行っていった。そんな姿勢の中に、一度始めたことはその意義が無くならない限り、最後まで責任をとるという、人としての覚悟も強く感じられるのだ。

もちろん桑田佳祐の社会的メッセージが込められた楽曲もある。例えば桑田佳祐とMr.Childrenの共作「奇跡の地球」(1995年)はAAAの活動の一環として作られているし、最近でも2023年9月に配信シングルとしてリリースされたサザンオールスターズの「Relay〜杜の詩」が、東京の神宮外苑再開発に対するメッセージソングであることが話題となったことは記憶に新しい。



ここで取り上げたエピソードは、あくまでも桑田佳祐の音楽活動のほんの一部にスポットを当ててみたものに過ぎない。なによりも、桑田佳祐の活動がデビューから45年以上経った今でも続いていること。そしてその音楽はけっしてナツメロとはならず、今も世代を越えた多くの人の心に届き愛され続けている。それこそが、なによりも貴重なことだと思う。

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2024.02.26
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カタリベ
1948年生まれ
前田祥丈
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