2月11日

伊藤銀次が一番好きなイカ天バンドを紹介!番組が残した大きな功績ってなに?

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演奏がうまいという価値観だけに縛られない、イカ天の面白さ


イカ天が、従来のロックバンドオーディションと大きく異なっていておもしろかったのは、演奏がうまいという価値観だけに縛られない、バンドのコンセプトのおもしろさ、どこまで自由にいかにバンドを楽しんでいるかという側面がこれまでになく大いに尊重されたことだと思う。

それゆえに、メジャーの音楽シーンでは、たぶん売るのがむずかしいかもしれないと思われた不思議な魅力を持ったバンドが、土曜の深夜にテレビの画面を通して、お茶の間に送り込まれることになったのは、イカ天の大きな功績のひとつと言えるね。

ちょっと極端な例で恐縮だが、全員、海水パンツとゴーグル、水泳帽で出てきて、ただはしゃぐだけの “スイマーズ”。このバンドの存在が許されたのもイカ天ならでは(僕はけっこう好きでした)。ロック音楽の魅力は、

“現象” としてのおもしろさと、“中身” の充実度のバランスでできているのでは

―― というのが僕の自論なのだが、イカ天では “現象” としてのおもしろさが勝っていることが最優先。そして、メジャーの音楽シーンの平均的に流行りそうなサウンドを意識せずにやれるのだから、あっと驚くコンセプトで来るバンドが次々と登場した。



メジャーシーンでは聴けないイカ天ならではの世界


“宮尾すすむと日本の社長” の「2枚でどうだ」は、メジャーでは取り上げにくい、若者の性的な日常をユーモラスに、見事にファンク・サウンドで切り取っていて、このインパクトはすごかった。

バート・バカラックの名曲 「雨にぬれても」をまさしく変曲といってもいいアレンジで聴かせたガールズバンド、“マサ子さん” の「雨にヌレテモいーや」にはまいった。どこからこんな発想がでてくるのだろう? ベースが和音のルート音を弾かずにヴォーカルと同じ音を弾いているというのに不思議と違和感がない。ここにもイカ天ならではの「自由」があった。

「自由」といえば、「もっと自由に」というアグレッシヴな曲をエネルギッシュに演奏した、ガールズトリオバンドの “THE NEWS” は心に響いたね。イカ天に出たバンドの中で一番メッセージ性のあったバンドがガールズバンドというのが強く印象に残った。シンプルなビートに乗った直球一発というアプローチはなかなか当時のメジャーシーンでは聴けなかった世界。これもイカ天ならではだった。



一見、奇をてらったようで実は、演奏の中身やアレンジにちゃんと音楽性を感じさせてくれたのは、“人間椅子” と “たま” だったね。現象としての見せ方は、あくまで江戸川乱歩や水木しげるのような世界観だったけれど、演奏はプログレ的でしっかりしていた人間椅子。欧米にはブラック・サバスみたいな黒魔術や悪魔的なおどろおどろしい世界観のハードロックバンドがいるが、その日本版といった感じが、これまでの日本のハードロックにはない解釈でおもしろかった。

ザ・ビートルズのような存在感を漂わせていた “たま”


吉田建がどうも苦手だったように、たまの存在には、賛否両論、好き嫌いがあったようだが、欧米のロックの直接的な影響を避けた音作りとコンセプトは、まさに「これこそオリジナリティ」と呼んでいいものだと僕は思った。

かつて、はっぴいえんどがアメリカンロックに日本的な風景をのせて “日本語のロック” を作り出したときよりも、たまは、さらに日本人の原風景へと突き進んだ言葉とサウンドの世界観を作り出していた。そして全員が曲が書けて歌えることが、はるかに遠いようにみえるザ・ビートルズのような存在感を漂わせていたのが不思議だったね。一度聞いたら、耳について離れない、彼らの「さよなら人類」はフライング・キッズの「幸せであるように」、ザ・ビギンの「恋しくて」と並んで、イカ天が生んだ、まちがいない名曲だと思うよ。

伊藤銀次が一番好きだったマルコシアス・バンプ


「数ある出演バンドの中でどれが一番好きだったか?」と訊かれたら、ちょっと迷うけど、やっぱり “マルコシアス・バンプ” かなぁ。「バラが好き」という曲のイントロが出てきた瞬間に、そのセクシーでかっこいいフレーズに引き込まれて、ときどきは意見が合わなかった吉田建ともいっしょに仲良くノッてしまった。“現象” としても “中身” としても100点。



ヴォーカルの秋間経夫君はあきらかにマーク・ボランの影響を受けているのだが、往年のジャック・ブルースを思わせる佐藤研二君のベースなど他のメンバーの演奏力で、T.レックスの音楽をはみ出た音楽性を獲得してるのが良かった。佐藤君のコスチュームはジュリーを意識したものだったらしいけど、僕には「がきデカ」の “こまわり君" に見えたので思わずコメントしてしまった。えらくウケたけど、佐藤君、その節は失礼しました。

まだまだ触れたいバンドはあるけど、涙を呑んでこのくらいにして、次回はいよいよ僕のイカ天話のまとめといこう!!

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2023.02.28
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カタリベ
1950年生まれ
伊藤銀次
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