そんなところへ、不意に飛び込んできたのが、「日清カップヌードル」の CM の話。新しい CM で、アルバム『空耳の丘』に収録した「地図をください」を BGM として使いたいというのです。アーノルド・シュワルツェネッガーが初めて出演したときのもので、その名を聞いた時は、なぜ遊佐なのかとちょっと不思議でしたが、思えばその取り合わせのギャップが面白かったのと、青空の下、乗用車を片手に乗せて歩くシュワルツェネッガーの映像と、この曲の「雲のない青空は高く、風もないこんな日は独り…」という歌詞がうまくハマったんでしょうね。CM映像にアーティスト名も曲名もクレジットはなかったのですが、問い合わせが殺到したそうで、89年2月にこの曲をシングルカット、アルバムもようやく売れ始めました。
そして、広告業界に少しその存在が知られたのか、それからいくつか CM の話が来ました。その中に、当時 CMプランナーとして超売れっ子だった川崎徹さん… 「ハエハエカカカ・キンチョール」とかフジフィルムの「それなりに」とか作った人… が歌詞を書いた歌モノがあり、それ自体は純然たる CMソングを遊佐が唄うというだけの仕事だったのですが、その後、川崎さんが「ぜひ、遊佐に(作品として)詞を書きたい」とおっしゃってる、と言われて。