衝撃を受けた日ってありますか? 見たことも聴いたこともないものが突然自分の中に入ってきて、自分の感覚が覆された時の衝撃は、何十年経っても忘れませんね。私の場合は81年、16歳の春でした。たまたま手に入った1枚の映画チケット「スローなブギにしてくれ」。なんて気取ったタイトルだと思いながらも、公開初日に映画館に向かったのを覚えています。
当時の私は大の読書好きで、ラジオやテレビにはあまり触れることのない少年時代を送っていました。そういうわけで、流行りの音楽に触れることもあまりありませんでした。そんな私にも「スローなブギにしてくれ」という映画は片岡義男原作の作品ということはわかっていました。原作を呼んではいませんでしたが、純文学好きの私には、彼の作風から軽ノリの不良作品だろう、と半分「どれ、見てやるか」と高みの見物気分だったことを記憶しています。
席に座ってはじまった映画は衝撃の連続。疾走するマスタングに線路を走るバイク、絶妙に男心をくすぐるさち乃の存在(もちろん浅野温子なんて知らなかったけど惹かれたなぁ)! 夕暮れ時のイメージに、南佳孝の歌う主題歌が最高!とにかくかっこよかった!あのスローで自由な2人の男に憧れたなぁ。
映画の影響で価値観は激変! 映画や音楽にのめり込んだし、親を説得してバイクの免許を取って、でもなかなかお金がたまらなくて原付のベンリィで諦めたなぁ。あの時は、私が不良になった、と親には心配されたもんです。ちなみに奥さんは浅野温子似! そして私はまったく曲には似合わないごく普通のサラリーマン! そんなものですね。憧れでおさめておいてよかった。最高に衝撃を受けた映画は、あの曲なくしては語れませんね! 今聞いても新鮮に聴ける曲、みなさんにはありますか?
スローなブギにしてくれ(I want you)
作詞:松本隆
作曲:南佳孝
編曲:後藤次利
発売:1981年(昭和56年)1月21日
2016.02.04
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