エンディングに持ってくるのがお約束の曲「Out of Blue」が中盤に演奏されるという、長年のベイベ(岡村ちゃんファンはこう呼ばれる)には驚きのセトリ大改革があったのだ。
「Out of Blue」は岡村ちゃんのデビュー曲。1986年12月、たった21歳のときに、自作のこの曲をリリースしている。夜中に鍵盤の前で曲を作りながら、好きなあの子のことを悶々と考える。そんな若き日の岡村ちゃんを想像させる歌詞は、ちょっと青くて、まっすぐで。曲のドラマチックな展開と相まって、何度聴いても胸をかきむしられる。
この曲で終えるってことは、原点に立ち帰り、次回のDATE(岡村ちゃんLiveはこう呼ばれる)につなげるってことなんだろな、と私はその意味を勝手に想像。DATEのシメはやっぱり「Out of Blue」だよね、と長年のお約束に納得してきた。
なのにいつからか、岡村ちゃんがアコギをシャカシャカ弾いて「Out of Blue」を歌い出すと、やだー、まだ歌わないで!と思うようになった。だって、「Out of Blue」はDATEが終わる合図。大好きな曲なのに、聴いてると寂しくなってしまう。
そんな私の思いが岡村ちゃんに届いた…… わけではないだろうが、中盤で演奏されたのには驚かされた。それも、これまでのようにアコギシャカシャカから始まるのではない。リリースされている原曲に近い、正統派の「Out of Blue」だ。
思えば、生ではエンディング用にアレンジされた「Out of Blue」しか聴いたことがない。こんな真正面の「Out of Blue」を聴くのは初めてだ。曲のドラマチックな展開が胸に迫ったのか、51歳の岡村ちゃんが21歳のときの曲を真摯に歌ってる姿に打たれたのか、気づけば私の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。