10月3日

80年代は洋楽黄金時代【ボ・ディドリー・ビート TOP5】菅田将暉がカバーしたあの曲も?

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日産スカイラインのCM曲、山下達郎「ジャングル・スウィング」


今から30年近く前、僕は日産自動車の「スカイライン」というクルマに乗っていた。スカイラインとは、2017年に誕生から60周年を迎えた、日産車の中で最も長い歴史を持つモデルブランドである。そして、最近はどうか知らないが、少なくとも20世紀の時代において、スカイラインは日本のスポーツセダンを代表するビッグネームの一つであった。

当時僕が乗っていたのは9代目に当たるR33型というモデルで、「ハコスカ」や「ケンメリ」といった過去の名車と比べると、正直なところ評判はイマイチだったが、僕にとっては運転していて楽しいクルマだった。で、ここからが今日の本題なのだが、この車のCMには山下達郎の「ジャングル・スウィング」という曲が使われていた。

この曲では、彼の「いわゆる “ボ・ディドリー・ビート” の曲を一曲作ってみたい」という予てからの思いが実現されている。バックトラックの音量が控えめなので判りにくいかもしれないが、後ろに流れている「ダッ・ダッ・ダ・ン・ダ・ダー」というノリの良いリズムパターンがボ・ディドリー・ビートである(そう言えば、今年3月からミスタードーナツのTVCMで流れている「ドーナツ・ソング covered by 菅田将暉」もボ・ディドリー・ビートだ)。



後のロックミュージックに多大な影響を与えたボ・ディドリーとは?


“ボ・ディドリー・ビート” の語源になっているボ・ディドリーというのは、主に1950〜60年代に活躍した米国人ミュージシャンのことで、後のロックミュージックに多大な影響を与えた大御所である。その影響力の大きさから「オリジネーター(The Originator)」という異名が付けられていたほどだ。2010年には、米国の音楽誌『Rolling Stone』の「100 Greatest Artists」で20位に選ばれている。

1955年、ボ・ディドリーは自らの名前を冠したシングル「ボ・ディドリー」でデビューしたが、この時にボ・ディドリー・ビートは誕生した。当時の彼のパフォーマンスがエド・サリヴァン・ショーの公式YouTubeチャンネルで公開されているので、皆さんにもぜひ観てもらいたい。このビートが持つ「独特だが小気味良い」グルーヴ感が味わえるのではないかと思う。ちなみに、ボ・ディドリーが、この番組に出演した初めての黒人のアーティストなのだそうだ。

とにかく、これを機にボ・ディドリー・ビートは多くのアーティストによって再利用されることになる。彼の公式HPでは、ボ・ディドリー・ビートが使われている主な楽曲として――

■ バディ・ホリー / ノット・フェイド・アウェイ
■ ジョニー・オーティス・ショウ / 手拍子ロック(Willie And The Hand Jive)
■ エルヴィス・プレスリー / マリーは恋人((Marie's The Name) His Latest Flame)
■ ウェイン・フォンタナ&ザ・マインドベンダーズ / ゲーム・オブ・ラブ
■ ジェファーソン・エアプレイン / おかしな車(She Has Funny Cars)

―― が紹介されている。加えて、若かりし頃のザ・ローリング・ストーンズもボ・ディドリー・ビートの愛用者だった。彼らは、先ほどのバディ・ホリーの「ノット・フェイド・アウェイ」をリメイクしてシングルリリースしたが、それがストーンズ初のトップ10ヒットとなった。また、ボ・ディドリーの「モナ(Mona (I Need You Baby))」もカバーしていて、英国デビューアルバム『ザ・ローリング・ストーンズ』と米国サードアルバム『ザ・ローリング・ストーンズ・ナウ!』に収録された。

こうしてボ・ディドリー・ビートは、モータウン・サウンドなどと同じように、リズムパターンの定番になっていった訳だが、実際、1980年代に入ってからも、このビートを取り入れた楽曲が数多く作られている。今日は、皆さんにその中から選りすぐりの5曲を紹介したい。聴くだけで、ゴキゲンな気分になること請け合いだ。

トム・ペティ、典型的なボ・ディドリー・ビートの名曲


第5位:トム・ペティ / ハート・オブ・イッツ・オウン(A Mind With A Heart Of Its Own)
初のソロ名義となったアルバム『フル・ムーン・フィーヴァー』に収録。シングルリリースはされていない。本作制作中に結成したトラヴェリング・ウィルベリーズでも一緒に演っているジェフ・リンとの共作で、典型的なボ・ディドリー・ビートの名曲。ザ・ハートブレイカーズの時よりサウンドがクリアに、ボーカルがライトになっている気がするが、とにかくキレキレでノリノリの軽快なロックンロール。あまりライブで演奏していないのが、残念。



アルバムチャート1位を記録した名盤に収録された疾走感溢れるロックナンバー


第4位:REOスピードワゴン / ドント・レット・ヒム・ゴー
1981年に全米年間アルバムチャートでNo.1を記録した『禁じられた夜(Hi Infidelity)』のオープニングナンバーで、「キープ・オン・ラヴィング・ユー」「テイク・イット・オン・ザ・ラン」に続くサードシングル。いきなりボ・ディドリー・ビートで始まるこの曲が、アルバムの景気付けに大いに貢献していると思う。この疾走感溢れるロックナンバーは、気分を高揚させたい時に特にオススメだ。



ガンズ・アンド・ローゼスのデビューアルバムに収録された名曲


第3位:ガンズ・アンド・ローゼズ / ミスター・ブラウンストーン
デビューアルバム『アペタイト・フォー・ディストラクション』に収録。英国では「イッツ・ソー・イージー」と両A面、米国では「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」のB面でシングルリリースされている。この曲のクライマックスは、何と言ってもイントロだと思う。ドラムがボ・ディドリー・ビートを奏で始めたところに、ギターの単音のリフが乗っかってくるのがカッコいい。ちなみに、「ブラウンストーン」とは、麻薬を意味するスラングの一つだそうだ。



全英ナンバーワンを獲得したサントラ収録曲


第2位:U2 / ディザイアー
彼ら自身を描いたドキュメンタリー映画『魂の叫び(Rattle And Hum)』のサウンドトラックに収録されているが、この曲はスタジオで新録されている。先行シングルとしてリリースされ、初の全英ナンバーワンを獲得した。典型的なボ・ディドリー・ビートの楽曲だが、彼らが直接的に影響を受けたのはボ・ディドリーではなく、イギー・ポップ率いるザ・ストゥ-ジズの「1969」なのだそうだ。



白人アーティストとして史上初めて全米ブラックアルバムチャートでナンバーワンを獲得


第1位:ジョージ・マイケル / フェイス
白人アーティストとして史上初めて全米ブラックアルバムチャートでナンバーワンを獲得したソロデビューアルバム『フェイス』に収録。1988年にシングル、アルバム共に全米年間チャートでナンバーワンを記録した。ポップミュージックの歴史上、星の数ほどいるであろうボ・ディドリーの影響を受けたアーティストや楽曲の中で、彼ほど正統なフォロワーで、この曲ほどクオリティの高いボ・ディドリー・ビートはあっただろうか… と言いたくもなる、まさに時代の1曲。

■ Billboard Hot 100 / Official Singles Chart Top 100
■ Willie And The Hand Jive / Johnny Otis (1958年8月4日 全米9位)
■ (Marie's The Name) His Latest Flame / Elvis Presley(1961年9月18日 全米4位、11月15日 全英1位)
■ Not Fade Away / The Rolling Stones(1964年4月1日 全英3位、7月18日 全米48位)
■ The Game Of Love / Wayne Fontana and the Mindbenders(1965年3月3日 全英2位、4月24日 全米1位)
■ Keep On Loving You / REO Speedwagon(1981年3月21日 全米1位、5月16日 全英7位)
■ Take It On The Run / REO Speedwagon(1981年5月30日 全米5位、8月22日 全英19位)
■ Don't Let Him Go / REO Speedwagon(1981年8月1日 全米24位)
■ It's So Easy / Guns N' Roses(1987年6月20日 全英84位)
■ Faith / George Michael(1987年10月31日 全英2位、12月12日 全米1位)
■ Desire / U2(1988年10月8日 全英1位、11月26日 全米3位)
■ Welcome To The Jungle / Guns N' Roses(1988年11月12日 全英24位、12月24日 全米7位)

■ Billboard 200 / Official Albums Chart Top 100
■ England's Newest Hit Makers/The Rolling Stones / The Rolling Stones(1964年5月2日 全英1位、8月22日 全米11位)
■ The Rolling Stones, Now! / The Rolling Stones(1965年4月24日 全米5位)
■ Hi Infidelity / REO Speedwagon(1981年2月21日 全米1位、8月22日 全英6位)
■ Faith / George Michael(1987年11月14日 全英1位、88年1月16日 全米1位)
■ Appetite For Destruction / Guns N' Roses(1988年8月6日 全米1位、89年7月22日 全英5位)
■ Rattle And Hum(Soundtrack)/ U2(1988年10月22日 全英1位、11月12日 全米1位)
■ Full Moon Fever / Tom Petty(1989年7月8日 全米3位、全英8位)

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2023.05.16
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おすすめのボイス≫
1965年生まれ
中川 肇
本文中に登場する各曲の動画です↓
Buddy Holly - Not Fade Away
https://youtu.be/PB0efeTW0NE
Johnny Otis - Willie And The Hand Jive
https://youtu.be/n1dSbzYVtn4
Elvis Presley - (Marie's The Name) His Latest Flame
https://youtu.be/59pOE3OmUi8
Wayne Fontana and the Mindbenders - The Game Of Love
https://youtu.be/rzh0TAon7Bc
Jefferson Airplane - She Has Funny Cars
https://youtu.be/7anpSApXtUo
The Rolling Stones - Not Fade Away
https://youtu.be/NfSAtNMc59g
The Rolling Stones - Mona (I Need You Baby)
https://youtu.be/fVsvj7-YLYo
Tom Petty - A Mind With A Heart Of Its Own
https://youtu.be/QwZwJPbb__g
REO Speedwagon - Don't Let Him Go
https://youtu.be/DIuJ-OoKlAE
Guns N' Roses - Mr. Brownstone - YouTube
https://youtu.be/27rKrR424cA
2023/05/16 10:04
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カタリベ
1965年生まれ
中川肇
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