アチャー！からの、ノーゴダイゴ、ノーライフ

いろいろな生っぽい感情が芽生え始めてくる、ロウティーン真っ盛りの1978年～1979年。何が乙女の心を震わせていたかというとゴダイゴなのであった。

そう、英語楽曲をオリコンというメジャーチャートのベストテンに乗せ、子供たちに歌わせるという偉業を成し遂げた日本のバンド。

それはもちろん、始まりはいつも日本テレビのドラマ「西遊記」であって、私は堺正章（マチャアキ）の如意棒さばきにも夢中になっていたけれど、「おおお！このアチャー！で始まる英語の曲名は何？」と、「モンキー・マジック」を適当な空耳英語で歌いながら、ゴダイゴという存在の夜明けに釘付けになっていたのだ。

勇ましい旅立ちのシーンで流れる「セレブレーション」、西田敏行演じるチャーミングなおとぼけ猪八戒によく似合う「ア・フール」、戦闘の最高のBGM「ハヴォックインヘヴン」、お師匠さんこと、女性の夏目雅子が演じた三蔵法師の説法など、涙を誘うシーンを彩った「サンキューベイビー」、そして物語を締める壮大なエンディングテーマ「ガンダーラ」。どれもドラマを下支えし、盛り上げ、共に泣いて笑ってきた懐かしく愛すべき楽曲群である。

タテカワユキヒデの舌っ足らずな巻き舌ボーカル、ミッキー吉野の超絶キーボードプレイなどから繰り出される、ガチのコンセプトアルバム「西遊記」は、さながらファンタジーのワンダーランドであって、これほどまでに作品を理解し再現しようと努めた、ち密で楽しく、純粋な音世界を、私は他に知らない。

そして、このサントラ盤を手に入れたことによって、私の音楽人生は切って落とされたといっても過言ではない。この作品は私にとってフォーエヴァーグリーンであり、一生の愛聴盤だ。

ドラマは、近年イギリスなど海外でもO.A.されて好評を博したという。また、日本でもドラマのリメイクや主題歌のカバーがなされたけれど、ゴダイゴというバンド自体はさほど話題にならなかった気がしている。それでいいのだと思う。

2015.12.23