ある時、店内のモニターに映し出されていたミュージックビデオに僕は釘付けになった。ティアーズ・フォー・フィアーズの新曲「Sowing The Seeds Of Love(シーズ・オブ・ラヴ)」だった。もちろん僕も彼らの存在は認識していたし、「Everybody Wants To Rule The World(ルール・ザ・ワールド)」と「Shout」の2曲の全米No.1ヒットも知ってはいたが、正直なところ関心は持っていなかった。
しかし、この新曲は彼らのそれまでの作品とは全然違っていた。ビートルズの「I Am The Walrus」を彷彿させたかと思えば、プログレッシブ・ロックのようにクラシックやジャズの要素も包含している。これまでの英国のロックの歴史に刻まれた、様々なエッセンスが散りばめられていた大作だった。実際、この曲が収録されているアルバム『The Seeds Of Love』は、100万ポンド以上の経費がかかった難産アルバムとして知られている。
Sowing The Seeds Of Love / Tears For Fears 作詞・作曲:Roland Orzabal, Curt Smith プロデュース:Tears for Fears, Dave Bascombe 発売:1989年(平成元年)8月21日
脚注: ■ Tears For Fears 「Sowing The Seeds Of Love(シーズ・オブ・ラヴ)」(89年10月28日2位) 『The Seeds Of Love』(89年10月28日8位)※アルバム 2016.07.06