アメリカン・アイドルで準優勝、アダム・ランバートの卓越した歌唱力
さて、『ザ・レイト・レイト・ショー』から紹介したい2つ目のネタは「フロントマン・バトル」だ。なんと番組ホストのジェームズ・コーデンが、クイーンのリードボーカルの座を巡って、無謀にもアダム・ランバートと歌唱力対決を繰り広げたのである。
アダム・ランバートは、2009年、FOXテレビで放送されていたオーディション番組『アメリカン・アイドル』で準優勝したことで一躍有名になった。
そして、そのファイナルにゲスト出演していたブライアン・メイとロジャー・テイラーがアダムの歌に惚れ込み、その場でクイーンへの参画を打診したと言われている。彼らはそこで「伝説のチャンピオン(We Are The Champions)」を一緒に演っているが、今その映像を観ても、優勝したクリス・アレンよりアダムの方がシンガーとしては明らかに上だと思う。
クイーン+アダム・ランバート、昔からのファンの複雑な思い
いずれにしても、こうしてアダムはクイーンのツアーに帯同することになったのだが、それに納得がいかなかったのがジェームズ・コーデンである。クイーンのリードボーカルは英国人であるべきだと考える彼は、番組の冒頭で観客に向かってこう言っている。
In my head growing up I thought that I would always make a great frontman for Queen.
これらはもちろん番組上の演出に決まっているが、とは言え、アダムがクイーンに参画することについて、昔からのファンの中には複雑な思いがあったのではないかと推察する。
それ以前に僕は、1991年にフレディ・マーキュリーが亡くなった時に、てっきりクイーンは解散するものだと思っていた。そもそも、フレディの特異な存在感とソングライターとしての才能がなければ、彼らはこんなビッグなバンドにはなれなかっただろうし、「レッド・ツェッペリンの二番煎じ」で終わっていた可能性も高いからだ。
聴き比べ! フレディ・マーキュリー、ジョージ・マイケル、アダム・ランバート
話を番組に戻すと、アダムとジェームズによる歌唱バトルは、ブライアンとロジャーも加わって「ウィ・ウィル・ロック・ユー」、「ドント・ストップ・ミー・ナウ」、「愛という名の欲望(Crazy Little Thing Called Love)」と続いた。
だが、アダムが「地獄へ道づれ(Another One Bites The Dust)」で観客を圧倒させると、ジェームズは負けを認めたのだった。
最後に、2人は「愛にすべてを(Somebody To Love)」のデュエットでフィナーレを飾った。この曲はフレディが比較的初期に作った非常に美しい曲で、彼らしさ満載なだけに、他の人が歌うのは難しいんじゃないかと思う。
そこで皆さんには、フレディのオリジナル版、彼が亡くなった翌年の追悼コンサートでジョージ・マイケルが歌ったバージョン、最近のアダムのバージョンを聴き比べて、誰がフレディの後継者として相応しいか考えてもらいたい。
Song Data■Somebody to Love / Queen
■作詞・作曲:Freddie Mercury
■プロデュース:Queen
■発売:1976年11月12日
2017.06.27