11月19日

ニック・カーショウ讃歌「好き好きUK80’s」ちっさいけれどデカいヤツ!

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ニック・カーショウのアルバム「ザ・リドル」がリリースされた日
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photo:nikkershaw.net  

スーパースターの愛嬌は顔のデカさにあり!?


1980年代、志摩あつこさんが『音楽専科』誌に連載していた漫画「8ビート・ギャグ」に、“大顔連” なるキャラが登場していたことを、ご存じの方は少なくないと思う。正直、その面々が誰だったか正確には思い出せないが、JAPAN のデヴィッド・シルヴィアン、カルチャー・クラブのボーイ・ジョージ、ABC のマーティン・フライ…… だったと記憶している。間違いがあれば、ご指摘を何卒。ともかく、彼らは他のメンバーと並んで写真に撮ると遠近感が損なわれるほど顔がデカい…… ということが揶揄されていた。

当時、田舎の高校生だった自分は外国人のアーティストというだけで見上げて尊敬していたけれど、そんなふうに指摘されると、PV を見る度に、確かにこの人は顔がデカいなあ…… と思うようになる。どのアーティストにも熱狂的なファンが付いていたけれど、そういう目線で見てみると、スーパースターにも愛嬌のようなものがあるのだなあと好意的に受け止めた。

アルバムジャケットと PV で知るニック・カーショウの素顔


1984年、ラジオ日本で毎週土曜の深夜に放送されていた『全英トップ20』。そこで紹介される全英チャートを毎週のようにノートに書き留めていたが、そこに “にくかーしょー” という聴き慣れない名前が飛び込んできた。聴き慣れない名前のアーティストによる、その曲「恋はせつなく(Wouldn’t It Be Good)」は、全英チャートの4位にまで上昇。そのアンニュイな曲調とともに、アーティスト名ニック・カーショウを、筆者は認識するようになる。

その後、「ダンシング・ガールズ」「アイ・ウォント・レット・ザ・サン・ゴー・ダウン」と立て続けにイギリスでヒットを連発。前者はエレクトロポップ、後者はポップで親しみやすい曲。いったい、このカーショウさんは、どんな人なのだろう? と思っていた矢先、日本でもアルバム『ヒューマン・レイシング』がリリースされた。「あー、またハンサムな方がチャートに上がってきたのね…」とジャケを見て思った。

しかし、テレビで PV を見ると、この人も遠近感が、ちょっとおかしい気がする。が、ソロのアーティストだから他のメンバーとは比べようがない。自信はないけれど、この人も “大顔連” の一員になれるのではないだろうか? そんなことを考えていた。

ノスタルジックな独特のメロディ、耳に残る名曲「ザ・リドル」


セカンドアルバム『ザ・リドル』がリリースされたときには、彼を取り巻く日本での状況も変わっていた。イギリスで今もっともポピュラーなシンガーソングライター。ファンレターを書いて、“Nik Kershaw, England” と封筒に書けば本人に届いてしまう…… というほどの人気者になっている、というニュースが伝えられたほど。当然、日本のレコード会社もプッシュしている。このアルバムからの最初のシングル「ザ・リドル」の PV も頻繁に目にしたが、やはりこの人は顔がデカいぞ…… と、田舎の高校生の疑念も深まる。

ニック・カーショウは先に述べた大顔連のスターとは事情が違った。人気の高まりとともに、日本にも伝わってくるパーソナルなインフォメーション。それによると、身長160センチちょっと。つまり白人にしては小柄だったのだ。

しかし、曲の魅力が強烈ならば、見た目はどうでもいい!このナンバー「ザ・リドル」は当時のポップスではあまり耳にすることのない、民謡というか童謡というか、なんともノスタルジックな独特のメロディが耳に残る。これは名曲だ!

アルバムからの2枚目のシングル「ワイド・ボーイ」もすごくいい曲だった。そのシニカルな詞を知るまでは、タイトルから単に “ワイド” ってデブのことなのかな…… と思ったものだ。その程度の英語理解力しかなかったので、高3での大学受験は当然のように失敗する。

凄い曲をつくり、胸を張って歌うかっこいい男、ニック・カーショウ


10代の多くはそうだと思うが、この頃の自分も劣等感の塊だった。大学に入れなかったということもそう。そして、もうひとつ。自分もニック・カーショウと同じくらいの身長で、日本人としても十分に小柄だった。

ニックは確かに小さかったけれど、ライブビデオを見ると、大顔も忘れてしまうことがあった。凄い曲をつくり、胸を張って歌うその姿。映画ファンならわかると思うが、身長の低いアル・パチーノやダスティン・ホフマンが、スクリーンの上では、ずっとずっと大きく見えることがある。ニックも同様だ。自分の仕事をきっちりとやり遂げる男はかっこいい!そこには身長を意識させない凄みがある。


1月19日(日)、当サイトRe:minder主催のクラブイベント『好き好きUK80’s』でレコード回しをさせていただきます。ちっさいおっちゃんがブースの中にいるなあ… と思ったら、それはきっと自分だけれど、とにかくデっかい音でニック・カーショウ等々を鳴らす予定。ご都合よければ、遊びにきてくだされ!

2020.01.07
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  YouTube / NikKershawVEVO
 

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カタリベ
1966年生まれ
ソウママナブ
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