1995年 12月6日

今に息づくニューロマの DNA と今田耕司の「ナウ・ロマンティック」

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KOJI1200 のシングル『ナウ・ロマンティック』がリリースされた日
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80年代初頭のイギリス、ニューロマンティックって?


2020年。この Re:minder のテーマである80年代が始まって、40年になるということだ。当時の英国は、“ニューロマンティック” 華やかなりしころ。

ニューロマンティックとは、ニューウェーブから派生し、パンクの反動として生まれたムーブメントとされるが、ファッション面から言及されることが多く、派手な化粧や、ピラピラフリフリの衣装を主な特徴としている。

代表格としては、デュラン・デュラン、カルチャー・クラブの他にヴィサージ、ウルトラヴォックス、アダム&ジ・アンツなどなど。当時、沢田研二もニューロマンティックの要素を取り入れていたといえばわかりやすいだろう。

ニューロマ再評価? テイ・トウワのプロデュースによる KOJI1200


時は流れ、1995年。若手芸人として人気もうなぎ登りだった今田耕司が、テイ・トウワをプロデューサーに迎え KOJI1200(コウジ・トゥエルブハンドレッド)という名義でシングルを発売した。そのタイトルは「ナウ・ロマンティック」。CDシングルのジャケットは、濃いめのメイクをして、ピラピラフリフリの衣装を着ていた、今田耕司の写真だった。

曲を聴くと、ウルトラヴォックスの「ニュー・ヨーロピアンズ」を彷彿とさせる、エッジーなギターが効いたニューロマンティックらしいサウンド(歌詞もクスリと笑える)。「何で今これなの?」と疑問に思ったが、意外にも(失礼)今田耕司は音楽が好きで、ニューロマンティックにも造詣が深いという。

さあ、ニューロマンティック再評価の動きか!? と思ったのだが… 年が明けて1996年1月、彼らのアルバム『アメリカ大好き』がリリースされた。

「ニューロマンティックなのに、アメリカ…?」と思いつつ、実際聴いてみると、「ナウ・ロマンティック」以外はヒップホップや R&B調の “ザ・90年代” という感じの曲ばかり。“ニューロマンティック” がぎっしり詰まったアルバムを期待していた私は、少し拍子抜けした。

ターゲットとなったであろう当時のファンはまだ若く、世代的にもニューロマンティックなんて馴染みはなかっただろうし(今田耕司とほぼ同世代の私ならともかく)、まあ仕方ないか、と思ったのだけど…。

1995年のニューロマンティック、振り返るのが早すぎた!?


1995年の時点で、“ニューロマンティック” というムーブメントを振り返るには、まだ早すぎたのかもしれない。80年代が終わってからまだ数年しかたっていなかったわけだし。

だけどこの2020年に至るまで、このムーブメントが再ブレイクした形跡はない。あの時代の空気があってこその “ニューロマンティック” といえる。

ファッション先行型で、どことなく漂う退廃的な浅薄さは、70年代の終わりと共に終焉を迎えたパンクの反動から来たものなのか。バブル経済に踊っていた日本にも、それに通じる部分がある。95年なんて、とっくにバブルは崩壊していたし。

そこで今田耕司がニューロマンティックをやろうとしたのは、ひとえに「面白いから」じゃないかなあ… と推察している。自分の引き出しから、少年時代に体験した面白さを見つけたような、そんな感じ。それに、あの人がメイクをして、フリフリの衣装を着たら、たいていの人は笑うだろう(私も)。

今でこそ多様性が尊重される時代になったが、80年前後の男性のメイクアップは、ある意味笑いをもって迎えられていたという印象だ。当時のボーイ・ジョージだってかなり前衛的だったし、ジュリーのメイクだって少し笑われていたぞ(二人ともそれ以上に美しかったけどね!)。

だけど、その “笑い” とは必ずしも嘲笑じゃなく、興味深さから来ていたはずだ。それ以上に、自分のメイクや衣装で人を楽しませたいという気持ちが、このムーブメントを盛り上げていたのかも、と私は考える。

ニューロマの DNA を現代に引き継いでるのは Matt?


その DNA を現代に引き継いでいるのは、桑田真澄氏のご子息、Matt だと勝手に思っている。メイクアップにこだわり、Instagramでも “#Matt化” のタグと共に、自分や共演者たちなどの画像を “美しく” 加工して投稿している。

私自身はとても面白いと思っているし、本人は笑わせるつもりなど毛頭ないだろうが、人を楽しませようという気持ちが伝わってくる。

「見て、見て! おもろいやん?」

ニューロマンティック、“#Matt化”、そして KOJI1200―― すべてに共通するのはこれじゃなかろうか。

性別などにとらわれず、自分が面白いと思ったことをやる。ここに“ニューロマンティックの精神” はしっかり根付いているし、今さら再評価なんて必要ないだろう。われわれも堅苦しく考えずに楽しんでいくべきだ。

なので、50代になった今田さんがまたニューロマンティックを本気でやってくれるなら、私は全力で応援します。

2020.01.19
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カタリベ
1968年生まれ
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