4月3日

【中森明菜 Best Performance on NHK】一流の表現者が持つ卓越したパフォーマンスを観よ!

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中森明菜のアルバム「BITTER AND SWEET」発売日
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中森明菜 Best Performance on NHK September, Vol.2(2025/09/15配信)

圧倒的な歌唱力と類まれな表現力を持つ中森明菜の映像が、4K相当の高画質映像にデジタルリマスターされ、今年の4月から月2本のペースで配信されている『中森明菜 Best Performance on NHK』。9月15日には次の2作品が新たに配信された。

▶︎ 十戒(1984)
『レッツゴーヤング』1984/9/23放送

▶︎ DREAMING~予感(メドレー) 
『ヤングスタジオ101』1986/9/7放送

今回のコラムでは、この2作品から、中森明菜の表現者としての魅力に迫ってみたいと思う。

「十戒(1984)」は、山口百恵のオマージュ?


アイドルのイメージとは一線を画す、エッジの効いた楽曲を次々と世に放った中森明菜。そのラインナップの中でも「十戒(1984)」は、山口百恵の「プレイバック Part2」(1978年)へのリスペクトを強烈に押し出した曲だ。歌い始めのパートで背を向けて半身で歌う振り付けも、紛れもなく「プレイバック Part2」を歌う山口百恵のオマージュであろう。

蹴散らすような独特のステップやレースをあしらったセクシーな衣装、そして「♪優しいだけじゃもう物足りないのよ」という歌詞も含め、セルフプロデュースを試みようとする中森明菜の真価が発揮されている。一挙手一投足… カメラ目線ひとつとっても自分の見せ方を彼女自身が一番わかっているのだ。

また、衣装に関しては比較的初期のころから自分の意見をハッキリと伝えていたという中森明菜だが、この「十戒(1984)」の衣装から受ける鮮烈な印象は、やはり彼女のファッションセンスが決め手だろう。

ステージに立つ彼女は、全身を黒のコーディネートで身を包み、見おろすようにカメラを睨みつけるクールな姿でマイクを握っていた── ボリュームのあるスカートは薄手の生地にレースを重ねたシースルーのデザイン。照明の加減によって身体のラインが透けて見えるというセクシーな装いだ。レースのグローブとヒール付きのブーツまで全てが黒で統一されている。そして、大胆に肩を出したトップスの中央に装飾されたシルバーの十字架がアクセントを添える。

そう、中森明菜は、当時のアイドルでは見られないダークな色合いの衣装を選び、鎖骨を露出させたドレスやパンツスタイルを着こなすクールさと大胆さがあった。中森明菜は決して妥協しない。自身が持つ魅力を最大限に活かして、ファンのために最高の舞台を作りあげていく。



21歳になった中森明菜が歌う「DREAMING〜予感」のメドレー


続いては、その「十戒(1984)」から約2年後、1986年9月7日に『ヤングスタジオ101』で放送された「DREAMING〜予感」のメドレーを紹介する。

そう、21歳になった中森明菜は、完全に大人の女性としてステージに立っていた。この日放送された「DREAMING」と「予感」は、シングルではなく、アルバム『BITTER AND SWEET』からの選曲だ。世間的にはシングルに比べて馴染みの薄い曲だが、そういったアーカイブも残しているのがNHKの素晴らしいところである。

この映像で中森明菜は、シックな色合いのルージュとナチュラルメイクによってかわいさよりも美しさを前面に打ち出している。オフホワイトの衣装はゆったりとしたデザインながらもウエストを緩く結ぶことで艶めかしいボディラインを感じさせ、さらに鎖骨を魅せる大胆なネックラインがセクシーさを演出。全体的に大人の余裕すら感じさせる妖艶な雰囲気を身に纏っている中森明菜だが、これが1984年の『レッツゴーヤング』の映像から、まだ2年しか経っていないのだ。しかも21歳にしてこの色気である。

「DREAMING」の上品なラテンサウンドで、中森明菜は浮遊感漂うメロディを実に楽しそうに歌唱する。とにかく笑顔が絶えないのだ。「十戒(1984)」の映像からは真逆の雰囲気だ。シングルとは毛色の違う、こういったアルバム曲が彼女の張り詰めた緊張を解してくれていたのかもしれない。クルクルと回っては軽くステップを踏み、リズムに合わせて両腕をゆったりと大きく広げる振り付けは艶やかさに満ちあふれている。間奏の途中では、投げキッスまで披露するというサービスっぷりである。メドレーなので、その流れのまま次の「予感」に繋げていくのだが、実は今回一番注目したのはこの “繋ぎの数秒間” である。



数秒間で中森明菜は「予感」の主人公に成りきってしまう


瞬きせずに映像をよく観て欲しい。「DREAMING」を歌い終わり、アウトロのパーカッションの後、 “ふぅ…” と吐息を漏らして笑顔を見せる。そこから「予感」のイントロが始まるのだが、振り向いてカメラに映った時には切ない表情へと切り替わっている。そう、この数秒間で中森明菜は「予感」の主人公に成りきってしまうのだ。

破局を予感した苦しい胸中を吐露する曲「予感」。笑顔が絶えなかった「DREAMING」から一転して目を潤ませて歌うその姿は、一流の表現者であることを改めて思い知らされる。「予感」の演奏が終わるまで哀しみの表情を崩さず、曲が終わった後、どこか安堵したような柔らかい笑顔を見せてくれた中森明菜。観ているこちらもつられてほっとしてしまう。気がつけば、それだけ彼女が表現する「予感」の世界に深く引き込まれていたのだ。

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2025.09.27
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カタリベ
1967年生まれ
ミチュルル©︎たかはしみさお
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