成田国際空港、以前は新東京国際空港という名前でした。僕が初めて海外(アメリカ)に行ったのもこの新東京国際空港から。1986年のことです。
成田エクスプレスも開通前で、電車でのアクセスは上野・日暮里からの京成スカイライナーのみ。当時はターミナルに直結した駅すら無く、空港の手前でバスに乗り換えてチェックインに向かっていました。
もうすぐバブル、といった時代だったけど、まだまだ物騒な雰囲気であったことが記憶に残ってます。
必要以上に行われるパスポートや持ち物のチェック、せり出すバリケードやフェンス、窓に金網の張られた警察車両群、とにかく不便さと緊張感に満ち溢れた空港でした。海外に出ることが本当にひと苦労でしたが、いま思えばそんな数々のハードルが海外渡航へのストーリー感を高めていたような気もします。
もちろん第2ターミナルなんてものはまだなく、チェックインカウンターは第1ターミナルの北ウイング(欧米系の航空会社)と南ウイング(アジア系の航空会社)のみ。まだまだ欧米に対する憧れが強かった時代ですから、歌詞の背景を作りやすいのは当然「北ウイング」ですよね。
なのでこの場所、寺尾聰が81年にリリースした『Reflections』のアルバム曲として、84年には中森明菜のシングル曲として採用されています。でもこの2つの同名異曲、歌詞のテーマが全く違うところが面白いんだよなあ。
■寺尾聰の「北ウィング」 作詞:有川正沙子
大人の恋、いろいろあって女は海外に、残された俺
■中森明菜の「北ウイング」 作詞:康珍化
少女の恋、いろいろあって男は海外に、追い求め旅立つ私
どうです? 2曲とも聞きたくなってきたでしょ? 男目線の曲を女性作詞家が、女目線の曲を男性作詞家が書いているのも面白いですね。それにしても、男は女々しく、女はたくましいなあ。まあ、いつの時代だってこれは一緒ですね(笑)
※2016年1月10日に掲載された記事をアップデート
2019.05.20
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