今回のセレクトは「原色したいね」C-C-B。
最近 “80年代” にコミットした音楽イベントにちょくちょく参加させていただくようになりまして。それらの音楽イベントで C-C-B ってマストアーティストなんだよね。どんなイベントでも必ず曲がかかる。
でもさぁ、そんなイベントでも C-C-B っていうと、「Romanticが止まらない」ばっかクローズアップされるでしょ。まるで、「一発屋」のごときにさぁ。これはちょっと解せないんだよな。
確かに「Romanticが止まらない」は、大ブレイクのきっかけとなった曲であり、売り上げ的にも他のシングルを圧倒しているという点では C-C-B の代表曲ということは揺るぎない事実なんだけどね。でも、 C-C-B ってそのほかにも面白いシングル持ってるんだよね。
たとえば、渡辺氏のベースラインがファンキーな「Lucky Chanceをもう一度」、「空想Kiss」は、『毎度おさわがせします』Part2の主題歌。ちょっと、中華かがったメロディが面白かったね。ラップが曲を引っ張る「ないものねだりのI Want You」は、2000年以降 J-POP シーンの主流となるミクスチャーの元祖。作曲を担当した大御所・筒美京平、作詞を担当した松本隆の両氏ともかなり入れ込んでたもんなぁ。
ただね、今回セレクトした「原色したいね」は、そんな一連の筒美氏作曲から一旦離れての作品。メンバーの渡辺英樹氏による作曲なんだよね(作詞は引き続き松本隆氏)。
でも、これがいいんですよ。それまでの筒美作品には無かったような伸び伸びした溌剌さ。
1987年初頭、「ないものねだり~」を最後に、メンバーの関口が抜け、4人体制になった C-C-B だけど、その直後のシングル「2 Much, I LoveU」は、ギクシャク感いっぱいだったもんなぁ。
一部、歌謡曲マニアや業界関係者の間では賞賛が高い「2 Much, I LoveU」ではあるけど、4人体制にまだ慣れていなかったのではないか… テレビの歌番組での、曲自体未消化なんじゃないか… と思えるようなギクシャクした演奏。
あの時点では、正直、個人的には C-C-B も終わりかな… なんて一瞬感じたもんな。
そんなギクシャク感が、この「原色したいね」では一掃。一体、この短い期間に何があったんだろうか…。ともかく、単純に聴いてて、めちやくちゃ気持ち良いんだよね。「2 Much, I LoveU」で感じたモヤモヤ間は一体何だったんだろう?
キーボード・田口氏の自由に動き回るキャッチーなフレーズ、もしかしたらシングルの中じゃ一番重くて激しいんぢゃないかと思える笠氏のドラム。なにか “吹っ切れた感” ありありのアップチューン。晴れた秋の日の澄んだ空気感と温度感、そして青空と太陽。兎にも角にも、この曲から感じるのは秋の日のすがすがしさなんだよね。
確かに自ら筒美’S チルドレンといってたくらいのバンドだから、筒美氏に絶大な信頼を置いてたんだろうけど、ここらで、自らの手で、という思いもあったんだろうか(関口氏が在籍中に1曲、関口作曲の「不自然な君が好き」と言うシングルがあったが)。それに相応しい曲に仕上がったと思うなぁ。
ある意味、筒美作品を超えた1曲なんじゃないか。個人的にはそんな風に思えるんだよね。
ただ、C-C-B としては、これが最後の “粘り” だったのかもしれないな。たしかに、この後「抱きしめたい」とか「恋文」などのベストテンヒットを出したものの、急激に勢いが落ちてしまった。だから余計この曲は C-C-B にとって最後の “打ち上げ花火” だったんじゃないかなと個人的には、そんな印象を持ってるんだよね。
ちなみに、タイトルは「原色したいね」だけど、個人的には「黄緑色のパステル蛍光色」ってイメージなんだよね、この曲って。例えるなら、透明な容器に入ったバスクリンみたいな…。ベストテンかなんかで、そんな感じのセットで歌いませんでしたっけ…? それともワタシの思い込みかな。
いずれにしても秋の青空の下、車を飛ばしながら聴くと最高の1曲ですよ。この曲。
Song Data
■ C-C-B / 原色したいね
■ 作詞:松本隆
■ 作曲:渡辺英樹
■ 編曲:大谷和夫, C-C-B
■ 発売:1987年9月23日
■ 発売元:ポリドール
■ オリコン最高位:3位
■ 売上枚数:9.3万枚
■ かじやんの THE HITCHART HOT30 最高位:7位
■ HOT30 ランクイン期間:1987年10月5日~10月19日付
2019.10.05