1971年 5月21日

戦後80年!今なおリアリティを持つプロテストソング洋楽5選「ホワッツ・ゴーイン・オン」…

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80回目の終戦記念日を迎える2025年8月15日ーー 日本各地では様々な記念行事が開催され、戦没者を慰霊するとともに平和への祈りが捧げられる。しかし、残念なことに今も世界中で争いが絶えることはない。こうした状況に私たちは、平和を願うことくらいしかできないのかもしれない。一方で音楽界に目を移すと、反戦歌や平和を願う歌、変革を促す歌が数多く歌われている。そこで、本稿では “今なおリアリティを持つプロテストソング洋楽” と題して選曲させていただこう。

愛こそはすべて / ザ・ビートルズ(1967年)


シンプルな言葉だけで深みのある歌に仕上げたジョン・レノン

1967年に発表されたジョン・レノン(クレジットは、レノン=マッカートニー)の楽曲。“君に必要なものは愛、愛こそが全て” と愛の大切さを歌っている。シンプルな言葉だけで深みのある歌に仕上げたジョン・レノンは天才としか言いようがない。戦争や平和について、直接的に歌われているわけではないが、恋愛や家族愛を超えた人類愛や地球愛を感じさせる内容は、この時代のロックのテーマである “愛と平和” を強く感じさせる。

21世紀の今日、“ラブ&ピース” をリアリティあるメッセージとして機能させることは難しいが、ビートルズの音像とジョン・レノンの声、そして、何といっても感動的なメロディーで歌われる本曲は、2025年の分断や複雑にこんがらがった駆け引きだらけの国家間の思惑を溶解させるようなイノセンスが宿っている。



ウェイティング・オン・ザ・ワールド・トゥ・チェンジ / ジョン・メイヤー(2006年)


21世紀のプロテストソングとしてのリアリティ

2006年にリリースしたサードアルバム『コンティニュアム』のオープニングナンバー。本曲では “現状を変えることは難しい。でも、無関心ではいられない。だから、世界が変わるのを待っている” と歌っている。反戦や平和への祈りとしては随分と消極的なのだが、ジョン・メイヤーが笑顔でピースサインを掲げたり、パンクロッカーのようにしかめっ面で中指立てたところでリアリティは感じられない。ジョン・メイヤー本人もそうした自身のキャラクターには自覚的だ。

現状に納得できないモヤモヤした気持ちを歌い、異議申し立てをした上で、悩み考える自分のステイトメントを素直に、とはいえ押し付けがましくなることなく聴き手に問題提起することで、21世紀のプロテストソングとしてのリアリティを獲得している。ジョン・メイヤー、その実力は流石の一言に尽きる。彼は現代を代表するシンガーソングライターでありギタリストである。



ホワッツ・ゴーイン・オン / マーヴィン・ゲイ(1971年)


戦争や人種差別、横行する暴力に対して疑問を投げかけたマーヴィン・ゲイ

1971年リリースの歴史的名曲。モータウンのヒット曲は、レーベル主導で職業作曲家が作った曲を歌手が歌うことで量産されてきたが、マービン・ゲイは本曲をきっかけとして、アーティスト本人が主導して音楽を制作する権利を手に入れた。

音楽制作におけるアーティストの自由は、当然、歌詞にも反映されており、本曲はベトナム戦争や人種差別、横行する暴力に対して疑問を投げかける内容となっている。その疑問も家族やコミュニティの仲間に語りかける形で歌われており、戦争や人種差別など大きなテーマを扱いながらも、身近な人との対話という形で表現することで、メッセージソングにつきまとう説教臭さや押し付けがましさを上手く回避することに成功している。



ピース、ラヴ・アンド・アンダースタンディング / エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ


パンク世代が歌ったラブ&ピースの名曲

元々はニック・ロウが在籍したブリンズリー・シュウォーツがオリジナルで、カントリーロック調の穏やかな演奏を聴かせてくれる。その曲をエルヴィス・コステロはテンポの早い力強い演奏でロックンロールのカバーヴァージョンに仕上げている。

コステロは力強いボーカルで “平和と愛と理解し合うことの一体何がそんなにおかしいんだ?” と聴き手に問いただしてくる。1978年、パンクムーブメント真っ只中、ヒッピームーブメントは衰退し、ラブ&ピースは時代遅れとなっていた。しかし、コステロはラブ&ピースを一過性のブームではなく、未来に向けて定着させなければならない思想だと力一杯シャウトする。パンク世代が歌ったラブ&ピースの名曲として異色の楽曲ではあるものの、その意義はとても大きい。



ランド・オブ・ホープ・アンド・ドリームス / ブルース・スプリングスティーン(2012年)


決して諦めない希望への祈り

21世紀に入ってもスプリングスティーンは絶好調だ。本曲は2012年発表のアルバム『レッキング・ボール』からのナンバー。歌詞はいわゆる “列車もの” で以下のように歌われる。

 この汽車は… 聖者と罪人を乗せてる
 この汽車は… 敗者と勝者を乗せてる
 この汽車は… 娼婦と賭博師を乗せてる
 この汽車は… 失意の底にいる者たちを乗せてる

 いいかい、この汽車は…夢が叶えられる
 この汽車は… 信仰が報われる
 この汽車は… 車輪が回る音が聞こえないかい 
 この汽車は… 自由の鐘の鳴る音が聞こえないかい

 大きな車輪が進む
 太陽の光射す草原を
 さあ行こう 希望と夢の国へ

あらゆる人々を乗せた汽車は希望と夢の国を目指す。どんなに罪深い人をも見捨てない優しさと決して諦めない希望への祈りが歌われている。2025年、スプリングスティーンはワールドツアーのタイトルを『ランド・オブ・ホープ・アンド・ドリームス・ツアー』と銘打った。分断の溝が深まるばかりの2025年に本曲をツアーのハイライトナンバーとして歌い、世界中で起きている分断、特にアメリカの現状を憂うMCに続いてこの曲を目一杯エモーショナルに歌っている。

直接、反戦や平和を歌う曲ではないが、どんな立場の人であっても、夢と希望を諦めない気持ちが相互理解に繋がると信じるこの世界観は、聴き手を大きな感動で包み込む。スプリングスティーンの長いキャリアの中でも重要なレパートリーとして記憶に留めなくてはならない名曲だ。



2025年、プロテストソングの役割とは?


プロテストソングで世界を変えることは難しい。しかし、人々の思考や行動を変えるきっかけになることは間違いない。本稿で選んだ5曲は平和や自由、希望について、聴き手に問いかけるように歌う楽曲だ。声高に世界平和を叫ぶのではなく、人々に考えるきっかけを投げかける歌こそが、2025年のプロテストソングのリアリティなのだ。

そして、80回目の終戦記念日を契機として、私たちも平和について今一度、考えてみる必要があるのではないだろうか? それは、今を生きる私たちへの夏休みの宿題なのかもしれない。夏休みの宿題は2学期が始まる前に終わらせなければならない。かなり切羽詰まった喫緊の課題なのだ。

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2025.08.14
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カタリベ
1972年生まれ
岡田ヒロシ
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