1994年 9月14日

【ミリオンヒッツ1994】DEENのデビューアルバムは160万枚!R&Bからの影響も見逃せない

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リレー連載【ミリオンヒッツ1994】vol.20
DEEN(アルバム)/ DEEN
▶ 発売:1994年9月14日
▶ 売上枚数:143.9万枚


オリコン最高2位を記録した「このまま君だけを奪い去りたい」


1990年代前半に社会現象となったビーイングブーム。90年にB.B.クィーンズ「おどるポンポコリン」が大ヒットをしたのを皮切りに、ZARD、T-BOLAN、WANDS、大黒摩季などがデビュー。特に92年秋からは、T-BOLAN、大黒摩季、B'z、WANDS、ZARDなどが連続してヒットを放ち、オリコン・シングルチャートの上位をビーイング勢が占めるようになった。そのブームの流れに乗るように、93年3月10日にシングル「このまま君だけを奪い去りたい」でDEENがデビュー。いきなりオリコン・シングルチャート2位を記録する大ヒットとなった。



当時ビーイング内では、ポケットベル(NTT DoCoMo)のCMタイアップが決定していた「このまま君だけを奪い去りたい」を歌うボーカリストを捜していた。そんな頃、ソウル/R&Bを好み、デビューを目指しながら、プロデューサーの長戸大幸の運転手助手を務めていた池森秀一(ボーカル)に “お前のやりたいこととは全然違うけど、試しにこれ歌ってみてよ” と長戸から提案があった。試しでと言われたため特に期待もせずに歌ったのだが、数週間後に “お前でいくから” と言われたという。

最初は池森のソロとしてのデビューも画策されたが、当時はバンドでデビューした方がイメージが良かったために、長戸の判断により山根公路(キーボード)が参加することとなった。なお、当時の山根は、のちにGARNET CROWを結成する古井弘人(キーボード)とバンドを組んでおり、そのときはボーカル担当だった。

2作目のミリオンヒットを記録、その勢いのままリリースされた「DEEN」


「このまま君だけを奪い去りたい」をリリース後、TEARSやLANAに参加する仲居辰磨(ギター)と倉澤圭介(ドラムス)が参加するが、メンバーの追加は池森と山根が知らない間に決まっていたという。94年6月22日にリリースされた5枚目のシングル「瞳そらさないで」では、初のオリコン1位を獲得して2作目のミリオンヒットを記録。同作から、2018年までDEENを支えた田川伸治(ギター)が参加した。その勢いのまま同年9月14日にリリースされたのが1stアルバム『DEEN』だ。


収録されているシングル曲は、ファーストシングル「このまま君だけを奪い去りたい」のイメージに沿った、メロディを重視したポップな楽曲が多い。ただ、サードシングル「Memories」のみソウル / R&B色が強いサウンドだ。ソウル / R&Bではシンコペーションを使用することが多いが、本楽曲のサビはバックビートではなく8分でずっと打っている日本っぽいリズムアプローチ。編曲を担当した葉山たけしが最先端なファンクサウンドを生み出している。



コーラスには、大黒摩季などビーイング勢が参加


テンポ感を半減させた独特のリズム、ハーフタイム・シャッフルの「Keep on Dancin'」や、楽曲に新たなハーモニーを与える​​リハーモナイゼーションを活かした「FOREVER」の編曲を担当したWANDSの大島康祐は、R&B系の名プロデューサーをたとえ、池森は “日本のチャッキー・ブッカーだと思っている” と語るほどにR&Bのフィーリングが溢れるサウンドセンスを持っており、最先端のリズムやジャズのセオリーを取り入れたサウンドアプローチを行った。パーカッションとハイハットを組み合わせてグルーヴを生み出す様子に、山根は「自分には思い浮かばない衝撃的なアレンジでした」と語っている。

なお本アルバムより、ドラムスは宇津本直紀に交代している。ほか、青木智仁(ベース)、DIMENSIONの小野塚晃(ピアノ)、勝田かず樹(サックス)などが参加。コーラスには、大黒摩季、ZYYGの栗林誠一郎、FEEL SO BADの川島だりあ、TWINZERの生沢佑一と、ビーイング勢が担当。結果的に、プロデューサーが目指したポップでキャッチーな側面と、池森と山根が好んでいたソウル / R&Bの影響が絶妙に同居したアルバムとなり、160万枚を越える大ヒットを記録。ファーストシングルとファーストアルバムが共にミリオンヒットを記録したのは、当時オリコン史上初のことだった。

顔を合わせるまでお互いの経歴を一切知らなかったというプロデューサー主導で結成されたバンドでありながらも、デビュー作から大ヒットを記録。プロデューサーが主導のバンドの多くは途中で活動が停滞してしまうことが多いが、DEENはデビュー30年を超えた。その長い活動に至ったのも、本アルバムの大ヒットがあったからだろう。

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2024.09.12
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