10月7日

ワルツはどこへ行った? 音楽シーンの変化とエンヤの存在意義

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photo:WARNER MUSIC JAPAN  

音楽ファンの皆さんなら覚えているかもしれないが、今から20年以上前に『音樂の正体』(フジテレビ)というTV番組が毎週水曜深夜に放送されていた。

当時、僕はこの番組が好きで毎回欠かさず観ていたのだが、その内容はと言えば、音楽の専門用語や理論について解説しようという、地上波にしてはなかなかチャレンジングなものであった。

だが、この番組には、専門性の高い内容を一般ピープルにも解りやすく伝えようという、作り手の意志や工夫が感じられたし、このチャレンジが後の『亀田音楽専門学校』(NHK)や『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日)に繋がったんじゃないかという気もする。

ところで、『音樂の正体』で放送された中で、今でも僕の記憶に残っている回がある。その回では「3拍子は日本的ではない」ということが指摘されたのだが、その理由について次のように説明していた。

「日本は農耕民族なので田植えをしなければならない。その時には当然、両足で大地を踏みしめて作業をするので、リズムは2拍子になる。しかし、欧州では馬を使って狩りをしたので、3拍子が広まった。なぜならば、馬は3拍子で歩くからだ」

言われてみれば、確かにそうかもしれない。もし僕が「J-POPで3拍子の曲は?」と訊かれても、平松愛理の「部屋とYシャツと私」くらいしか思いつかない。

それに比べると、欧州には昔からメヌエット、ポロネーズ、ボレロ、ワルツといった3拍子の舞曲が無数に存在していた。また、クラシック音楽以外であっても、例えばフランスは3拍子の宝庫で、「パリの空の下(Sous Le Ciel de Paris)」などシャンソンの名曲がたくさんある。

ポップミュージックの世界も例外ではない。意外にもザ・ビートルズには「ノルウェーの森(Norwegian Wood - This Bird Has Flown)」や「シーズ・リーヴィング・ホーム」など3拍子の楽曲は少なくないし、70年代に入ってからもビリー・ジョエル「ピアノ・マン」やジョン・デンバー「緑の風のアニー(Annie's Song)」など、数々の名曲がヒットした。

ところが、白人音楽において非常に重要な地位を占めていた3拍子が、なぜだか80年代に入るとめっきり見なくなってしまった。

よくジャーニー「オープン・アームズ~翼をひろげて~」やメタリカ「ナッシング・エルス・マターズ」が3拍子の名曲に挙げられるが、僕が思うに、当の本人達は1拍3連の4拍子として演奏している(ように見える)ので、いわゆる3拍子とは言えないだろう。

実際、80年代以降のヒット曲はほとんどがアフタービートの4拍子だし、最近はポップミュージックが黒人音楽に侵食されて、事実上クラブミュージックになってしまった感もある。ということは、もしかして3拍子は絶滅してしまったのだろうか。

そう考え始めた時、僕がふと思い出したのがアイルランド出身の歌姫・エンヤだ。彼女初の全英No.1となったアルバム『シェパード・ムーン』からシングルカットされた「カリビアン・ブルー」は正真正銘の3拍子である。それに、たまにはこういうリズムで気分を変えるのも現代人には必要なんじゃないか、そんな風に思ったりもするのだった。


Song Data
■Enya / Caribbean Blue
■作詞・作曲:Enya, Roma Ryan
■プロデュース:Nicky Ryan
■発売:1991年10月7日


2018.06.22
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  YouTube / enyatv
 

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