クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』公開になりましたね。クイーンに真っ先に目をつけたのが日本のファンって言われてるくらいですから日本での公開、嬉しいですねー。皆様、もうご覧になりました? ところで、映画の公開イベントにはプロフィギュアスケーターの村上佳菜子ちゃんが出席されたようで、フレディの王冠&マントコスプレが可愛かったです。なんでフィギュアスケーターが? って、思った方も多いと思いますが、フィギュアスケートにロックの曲、良く使われているんですよ。 羽生結弦くんのソチオリピックでの金メダル曲があのゲイリー・ムーアの「パリの散歩道(Parisienne Walkways)」なのは有名ですよね。あの泣きのギターは羽生くんの演技を更にマチュア(円熟)へと引き上げてくれていたような気がします。羽生くんのフィギュアを観てゲイリー・ムーアのアルバムを聴いてみたよという方も多かったようで嬉しい限り。なお、羽生くんは U2 の「ヴァーティゴ」や、ドアーズの「ハロー・アイ・ラヴ・ユー」を使っていたことがあります。 さて、村上佳菜子ちゃんに話は戻りますが、イベントでは「町田選手がクイーンの “ドント・ストップ・ミー・ナウ” で滑っているのを見た時にとてもすてきだなあと思いました」とコメント。これは、ソチオリンピックで5位入賞を果たした町田樹くんのプログラムのこと、彼は「ドント・ストップ・ミー・ナウ」をエキシビションで披露しています。私は泣きながら「今、これを観ているクイーンファンもみんな泣いているよね」って思いながら観ていました。 とにかく、曲の解釈がとっても素敵で、町田くんは「ロックに導かれ変わっていく若者」を演じています。マフラーを巻いて地味なメガネをかけた学生姿、ポケットに手を突っ込んだまま少し不貞腐れたように演技はスタートします。 Tonight, I'm gonna have myself a real good time I feel alive and the world I'll turn it inside out, yeah And floating around in ecstasy 続く “So don't stop me now don't stop me” の部分でマフラーとメガネをとり、本当の自分を引き出すように曲に全身を任せてまさに夜空をかける流れ星のように滑り出します。クイーンお得意の、歌詞の大げさな比喩表現がものすごく表現者を刺激していますよね。 町田くんの演技とスケートのスピード感、そして、楽曲との最高の相乗効果です。クイーンの曲に合わせて本当の自分を見つけた町田くんは、途中の、ブライアンのギターソロの部分ではエアギターまで演じます。 最高に盛りがったところで、あんなに激しかった曲調がガラッと変わって、“ La da da da daah Da da da haa ” と、ゆっくり幕を閉じるエンディング。クイーンの曲に良くあるドラマチックで格好いいところなんですが、ここで町田くんはまたメガネかけ、マフラーを巻き寒そうに手を擦り合わせ、そして最後に憧れの星をゆっくりと見上げるのです。 町田くんの演技は、ロックスターに憧れていた私の気持ちを体現してくれていました。普通の学生だった自分の心を音楽で高みに引き上げてくれたスター達―― フレディの伸びやかな声はそんな憧れの象徴でした。そして、何度観返してもこのプログラムは最高です。私は、心から「ありがとう、ありがとう…」と泣いてしまいました。 ところで今は、まさにフィギュアシーズン。音楽も楽しめる競技ですので是非、観戦してみてください。田中刑事くんのショートプログラムはゲイリー・ムーアの「プロフィット」、樋口新葉ちゃんはマイケル・ジャクソンメドレーをエキシビジョンに使用しています。
2018.11.23
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YouTube / Ars longa vita brevis
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