2026年 4月15日

リリース45周年!1970年代に生まれた「まちぶせ」を新しく響かせた石川ひとみの歌声

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石川ひとみの12インチシングル「まちぶせ~青春の45回転~」発売日
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最後にブレイクした70年代アイドル


石川ひとみは、山口百恵引退後(1980年10月)にアイドル路線のままヒットチャート上位に食い込んだ、唯一の70年代女性アイドルである。1970年代にデビューし、1980年代になってヒット曲を出した女性アイドルはほかにもいる。だが、それらはすでにアイドルのイメージを脱した後だった。そう、「まちぶせ」の石川ひとみは、衣装もビジュアルも、紛れもなくアイドルだった。

そして、「まちぶせ」は、1980年代のアイドルソングのなかでも、歌手の魅力だけでなく、曲そのものの力もあり、広く受け入れられた経緯がある。だからこそ、後の世にも歌い継がれてきたのだ。だが、この曲を単に1981年のヒット曲として片づけることはできない。そのルーツは、1976年という時代にあるからだ。

「まちぶせ」は荒井由実の作詞・作曲による楽曲で、もともと石川ひとみと同じ所属事務所だったアイドル歌手・三木聖子のデビューシングルだ。今から50年前の1976年6月、1970年代のど真ん中にリリースされている。

1970年代はどんな時代だったのか?


1976年は、1973年に発生した第一次オイルショックの影響下にあった。しかし『POPEYE』(平凡出版)が創刊され、BEAMSが創業し、ピンク・レディーがデビューした年でもあり、どんよりとした暗黒期とまではいえないが、1980年代的な消費のムードは生まれていない。バブル経済期は遠い未来。70年安保と大学紛争の退潮後から続く、若者の “しらけ” ムードがまだまだ残っていた。

「まちぶせ」が生まれたのはそんな時代だ。歌詞に描かれるのは、スマホもスタバもない時代の片思いである。若者のたまり場は喫茶店であり、女性が抑圧されている時代の空気も残っている。主人公は積極的でありながら消極的でもあり、情熱的でありながら抑制的でもある。

1978年にデビューした石川ひとみ


石川ひとみがデビューしたのは、三木聖子バージョンの「まちぶせ」のリリースから2年後の1978年5月のことだ。振り返ってみれば、1970年代後期の女性アイドルシーンは決して厚くはなかった。山口百恵やピンク・レディーのような別格はいたが、大手プロダクションが売り出した有名どころでも、次々とヒットチャート上位に新曲を送り込むような構造にはなっていなかった。

そのなかで、石川ひとみもテレビ露出は多かったが、シングル曲のセールスは伸びなかった。1979年4月からは、平日帯の人形劇番組『プリンプリン物語』(NHK)で、主人公プリンセス・プリンプリンの声と主題歌を担当し、代表作といえる作品にも恵まれた。だが、レコードセールスには直結しなかった。後年の本人の発言によれば、歌手活動の断念も考えるようになったという。芸能界入りに反対する両親を、大学生活と同じ4年間を1つの区切りとすることで説得し、愛知県から上京した経緯があったからだ。

歌手廃業をかけた勝負曲「まちぶせ」


そして1981年、その4年というリミットが迫っていた。レコード会社の担当ディレクターは当初、次のシングル候補として「懐かしきリフレイン」という曲を用意していたが、どうも決め手に欠けると判断し保留した。代わって浮上したのが、過去曲の中から三木聖子の「まちぶせ」をカバーする案だった。

石川ひとみ自身もこの曲に強い思い入れを示した。というのも、デビュー前、歌手を目指して通っていた音楽スクールのレッスン課題曲として、三木聖子のバージョンを歌っていたからだ。石川ひとみ本人のこの曲をシングルとして歌いたいという思いもあり、周囲の反対を押し切ってシングル化が決まった。「懐かしきリフレイン」は「まちぶせ」のB面曲として収録されている。

ディレクターは三木聖子バージョンと同じ松任谷正隆に編曲を依頼した。そのアレンジは、コーラスとストリングスを有効的に用いることで、曲全体に厚みをもたらした。そして石川ひとみの歌唱は、「まちぶせ」という曲の持つ強い執着心を中和し、一編の短編小説のような叙情性を与えた。

そう、石川ひとみバージョンの「まちぶせ」はリスナーに新鮮な印象で迎えられた。『プリンプリン物語』や、『クイズ・ドレミファドン!』(フジテレビ系)の司会者として名前と顔を売っていた石川ひとみのアイドル性の高さもあり、「まちぶせ」はセンチメンタルな片思いの歌として認知され、発売後しばらくしてからじわじわ売れ始めていった。そしてついに、ヒットチャートの上位入りを果たすロングヒットとなったのだった。



1981年の「紅白歌合戦」に出場


2026年の今から俯瞰すると、この曲がヒットしたのが1981年だったことは大きな意味がある。1980年の春に松田聖子と田原俊彦が現れ、アイドルの勢力図が塗り替えられた。山口百恵は同年の秋に引退。他にも有力新人アイドルが何組もデビューしたこともあり、アイドルシーンは一気に拡大した。しかし、そのうねりのなかで1970年代アイドルたちの出番が減っていく現実もあった。ただし、1970年代的なものが完全に排除されたわけではなかった。

アイドルの世界では、1981年には、柏原芳恵が1975年に世に出た曲をもとにした「ハロー・グッバイ」でブレイクした。この曲の歌詞にも喫茶店が出てくる。1982年には小泉今日子が、1979年の森まどか「ねえ・ねえ・ねえ」を改作した「私の16才」でデビューしている。アイドルではないが、同じ1982年には、「まちぶせ」と同じく、待つ女性を描いたあみんの「待つわ」も大ヒットした。

そうしたグラデーションのなかで、「まちぶせ」もまた、人々に愛されたのである。『プリンプリン物語』の放送が終盤に差し掛かった1981年の大晦日、『第32回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たした石川ひとみは、「まちぶせ」を歌唱しながら涙を抑えることができなかった。ここに至るまでの4年間を思えば、こみ上げるものがあっても不思議ではなかった。その後の石川ひとみは、当然のごとく歌手活動を継続し、翌年にはNHK歌番組『レッツゴーヤング』の司会者に起用された。

45周年を記念するアナログ盤をリリース


「まちぶせ」のヒットから45年が経った。2026年4月15日にはリリース45周年を記念して、12インチ45回転シングルアナログ『まちぶせ〜青春の45回転〜』が発売された。収録されるのは「懐かしきリフレイン」や、ファンに人気の高い「にわか雨」「恋のディスコ」「さよならの理由」などを含む全6曲だ。

現在は、アナログなもの、レトロな匂いのするものを、あえて選ぶ感覚も珍しくない。古い喫茶店が人気を呼び、サブスクの時代ながらレコードも再評価され、若い世代にも浸透した。45回転のアナログ盤に針を落としたとき、45年目の「まちぶせ」はどう聴こえるのだろうか。


Information
石川ひとみ不滅の名曲「まちぶせ」リリース45周年記念。45回転アナログレコード(12インチシングル)で蘇る!豪華カップリング曲、5曲にも注目!!

▶︎ 収録内容
Side A
1. まちぶせ
作詞・作曲:荒井由実 / 編曲:松任谷正隆
2. 懐かしきリフレイン
作詞:山上路夫 / 作曲:浜田金吾 / 編曲:渡辺茂樹
3. にわか雨
作詞:岡田冨美子 / 作曲:西島三重子 / 編曲:松任谷正隆
Side B
1. 恋のディスコ
作詞・作曲:Cutugno, Pallavincini / 訳詞:康珍化 / 編曲:GAME
2. さよならの理由
作詞:竜 真知子 / 作曲:林 哲司 / 編曲:林 哲司・山下 正
3. まちぶせ(81-18バージョン)
作詞・作曲:荒井由実 / 編曲:山田直毅 / 原編曲:松任谷正隆

▶︎ アナログレコード(12インチシングル)TEJL-45004 / ¥4,950(税抜価格 ¥4,500)

▶︎ 1978年〜80年代までのオリジナルだけで構成された LiveDVD「石川ひとみPremium Live80'」も4月19日に発売!


▶ 石川ひとみのコラム一覧はこちら!



2026.04.22
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