2026年 5月15日

デビュー曲「アジアの純真」から30年!PUFFYの2人はなぜ今も年を取らないのか?

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PUFFYデビュー30周年を記念したアナログ盤「30th Anniversary」発売日
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奥田民生プロデュース「アジアの純真」でデビュー


PUFFYがデビュー30周年を迎えた。1996年に「アジアの純真」でデビュー。井上陽水作詞、奥田民生作曲・編曲・プロデュースによるこの曲は、一度聴いたら忘れられない強烈なインパクトで時代に衝撃を与えた。しかし、PUFFYの2人があれから30歳も年をとっていることが不思議なのだ。今も年齢不詳な若々しさを保っているということもあるが、あの2人が年をとること自体、あまりピンとこないのだ。その謎を解くことがこの記事のテーマとなりそうだ。

PUFFYのデビューは、プロデュースという仕事をしてみたかった奥田民生と、同じ事務所に所属し仲が良かった2人、ソロデビューを予定していた大貫亜美と、タレント予備軍だった吉村由美にコンビを組ませてマッチングさせたところから始まった。女性2人組のデュオは珍しいものではないが、PUFFYの何が新しかったのだろうか。

まず新鮮だったのが、Tシャツに太めのジーンズという衣装だ。PUFFYの2人は、近づき難い美人という憧れの対象ではなく、気さくな隣りのお姉さんというイメージ。飾らないその緩さがよかったのだ。当時を振り返ってみると、アーティストはポーズをとる(カッコつける)という時代が終わり、1990年代に入ると歌の世界観は “憧れ” から “共感” へと変わっていった。そこで持ち出されたキーワードが “等身大” だった。アーティストとリスナーが同じ目線で共感できること。その精神的な距離感の近さが90年代という時代の特徴だったと思う。

さらに、当時人気が出始めていたロドニー・グリーンブラットを起用し、2人をイラスト化するアイデアも秀逸だった。このイラストのイメージが本人たちに再投影されて、“生きるゆるキャラ” のようになった。この存在感が後の米国進出に繋がるといっても間違いではないだろう。

そのボーカルスタイルこそがPUFFYのトレードマーク


PUFFYの世界観を音楽面から支えたのが奥田民生だ。デビュー曲の「アジアの純真」は、民生がデタラメ英語的に「♪北京 ベルリン ダブリン リベリア」と歌ったデモを面白がった井上陽水がその世界観で歌詞をつけたものだが、そのファニーな世界観にPUFFYのキャラがハマった。加えて、楽曲の面白さと完成度の高さも重要だ。



民生が書く楽曲は、クラシックロックのフレーズを引用したり、歌詞やタイトルも何かのパロディだったりと遊び心のあるものが多いが、楽曲の構造やメロディはシンプルで、非常にメリハリがある。そこで必要だったのが正確なヴォーカルだ。2人のソロ曲だけで構成されたアルバム『solosolo』(1997年)を聴くと、特に亜美の歌には歌い回しのクセがあることがわかる。そこで民生は、ビブラートなどは完全に排して、完璧にシンクロして歌うように指導する。

本来、ユニゾンボーカルはどうしても多少のズレが出てしまうもので、それが味になったりもするのだが、民生は音程や音の長さはもちろん、声の調子まで完璧に合わせることを求めたのだろう。それによって、声質の違う声が混ざって聞こえるのだ。恐らく民生は、ジョン・レノンのアーティフィシャル・ダブル・トラッキング(註:ジョン・レノンの要望で開発された1度の録音で2重録音したときと同じ効果を作り出す録音テクニック)の効果を2人の声で狙ったのではないか。そして、このボーカルスタイルは現在まで続くPUFFYのトレードマークとなるのだ。

「アジアの純真」がロングセラーとなったことで、元々は企画モノ的に始まったユニットはパーマネントに続くことが決定。「これが私の生きる道」「サーキットの娘」「渚にまつわるエトセトラ」「MOTHER / ネホリーナハホリーナ」「愛のしるし」「たららん / パフィーのツアーメン」と次々にヒットを重ねていった。1997年からは地上波での冠番組『パパパパパフィー』(命名は松本人志)もテレビ朝日系列で始まっている。

“Puffy AmiYumi” 名義でアメリカでも活動


転機は2000年。テキサス州オースティンで行われ、日本からも毎年多くのアーティストが参加している世界最大級の複合フェスティバル『SXSW』(サウス・バイ・サウスウエスト)の “JAPAN TIME” に出演。これをきっかけに “Puffy AmiYumi” 名義でアメリカでも活動を開始。

2002年には4枚目のアルバム『SPIKE』(2000年)がアメリカでも発売され、ツアーを行った。2003年にはアニメ『Teen Titans』の主題歌を担当。2004年からはPUFFYの2人をモデルとしたアニメ『Hi Hi Puffy AmiYumi』がカートゥーン ネットワークでスタート。2006年まで3シーズン放送された。この主題歌「Hi Hi」はもちろん、番組内でもPUFFYの音楽が使われ、サウンドトラック盤『Hi Hi Puffy AmiYumi』(2004年)も全米発売された。

アメリカ進出後、初のオリジナルアルバムである『NICE.』(2003年)は、これまでにシングル「たららん」「あたらしい日々」でプロデュースを担当した元ジェリーフィッシュのアンディ・スターマーが、アルバムをまるごとプロデュース。インディーロック風味の仕上がりとなっている。アメリカ市場を意識した音楽性もあったのだろうが、サウンドが変わっても2人の鉄壁のユニゾンによるボーカルスタイルはそのままで(ハモリもやるようにはなったが)、やはりここにキモがあると考えていいだろう。



アンディ・スターマーは『solosolo』の大貫亜美のパートでも2曲で関わっているが、スターマーの再起用は、ある意味で原点回帰ともいえるだろう。ちなみに、スターマーはPUFFYの名付け親でもあり、民生の友人であったことからの起用だったようだ。『NICE.』以降の作品は、そういったパワーポップ的な音楽性が基調となり、2人のキャラクター性よりも音楽性が優先のグループに変わっていった。2009年のアルバム『Bring it!』まではアメリカでも発売されている。

HALCALI「おつかれSUMMER」はPUFFYの影響?


日本国内に視点を戻すと、明らかにPUFFYの影響と思われる女性グループがいくつか誕生している。例えば、テレビ東京系バラエティ番組『ASAYAN』出身のYURIMARIは明確にPUFFYを意識したものだったし、PUFFYの初レギュラー番組となったテレビ神奈川の音楽番組『saku saku MORNING CALL』で、PUFFYの後任となったFLIP FLAPなどが代表されるところだろう。

また、HALCALIは女性による緩い日本語ラップの走りとなったグループだが、この緩さは初期のPUFFYにかなり近いものがある。近年、ファーストアルバム『ハルカリベーコン』(2003年)に収録された「おつかれSUMMER」がTikTokやSpotifyなどでバイラルヒットとなり、このアルバムがアナログ化されるに至ったが、これが海外でウケたのもPUFFYと同じような魅力があったからではないだろうか。

最後に、デビュー30周年を記念して、新たなベスト盤『30th Anniversary』がアナログ盤でリリースされることとなったので、簡単に紹介しておこう。A面には「アジアの純真」をはじめ、初期の代表曲6曲を収録。B面にはアメリカ進出後の楽曲から6曲を収録。両サイドでのサウンドの変化にPUFFYの進化と存在感の変化などが感じられて興味深い。そして、歌も楽曲も時代性に依拠しない個性があり、普遍性を獲得していることに気づく。だからこそPUFFYはいつ聴いても新しいのだ。


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カタリベ
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池上尚志
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