さよならの向う側。
80年8月に発売された山口百恵の事実上のラストシングルです。ある意味、70年代の終焉を示唆する曲かもしれません。彼女は同年3月に芸能界からの引退を発表しており、10月には大衆の前から姿を消しました。
一方、同年4月には松田聖子が「裸足の季節」でデビュー、7月には「青い珊瑚礁」、10月に「風は秋色」と、新しい時代を切り開こうとすべく助走を始めています。
それにしても、時代の変わり目に産み落とされた音楽というものは本当に興味深いですね。前世代を継承した流れと次世代を予見した流れ、どちらが良いとか悪いとかの話ではなく、意図したものやそうでないものも含め、その両方が見事なバランスで共存しているのです。
この曲は70年代に大輪を咲かせた山口百恵を総括する6分を超えるスローバラード。武道館で行われたファイナルコンサートでも一番最後に歌われています。まさに彼女のフィナーレを飾るために用意された曲ではあるのですが、同時に一般的な普遍性をも兼ね備えた永遠に受け継がれるべきエヴァーグリーンな曲であるともいえるでしょう。
All Things Must Pass.
時代というものは移り変わります。
全ての物事は過ぎ去っていきます。
でも、彼女は歌い切りました。さよならの向こう側には「ありがとう」があると。まさに菩薩です。
さよならの向う側
作詞:阿木燿子
作曲:宇崎竜童
編曲:萩田光雄
発売:1980年(昭和55年)8月21日
2016.01.06
YouTube / 百恵さんに 清泉の愛を捧ぐ
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