4月8日

【80年代アニソンの魅力】少年ジャンプのアニメ主題歌で再評価されるべき5人の偉業!

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リレー連載【80年代アニメソング総選挙】vol.1

今も歌い継がれる「少年ジャンプ」からアニメになった作品の主題歌


1980年代、怪物的な発行部数を誇った『週刊少年ジャンプ』(以下:少年ジャンプ)の連載コミックを原作とした作品群がアニメ界を席巻していた。番組スタート時点で知名度は絶大であり、高い成功率が見込めることから、各テレビ局はこぞって “ジャンプ掲載作” のアニメ化を進め、多くが狙い通りとなった。そして、その主題歌は今も歌い継がれる名曲ばかりである。

しかし、アニメソングというのは作品のビジュアルと深く結びついているため、その曲自体の人気にも関わらず、シンガーやソングライターへの評価が十分になされないことがしばしばある。特に80年代まではその傾向が顕著であり、大メジャーな『少年ジャンプ』関連作であってもしかりだった。

今回の『80年代アニメソング総選挙!ザ☆ベスト100』のような往年のアニメソングを振り返る場においても、名前が大きく “クローズアップされそうにない” 人物がいる。そこで当記事では、『少年ジャンプ』が生んだアニメ主題歌の関係者のなかで、もっと評価されるべき5人とその業績に焦点を当てたい。

【1人目:水森亜土】「Dr.スランプ」の世界を歌で具現化した天才ヴォーカリスト




70年代には作品のアニメ化に慎重だった『少年ジャンプ』が、大きく方向転換することになった作品が鳥山明の『Dr.スランプ』だ。80年代の始まりとともに連載がスタートし、短期間で人気が爆発。1981年4月からフジテレビ系で『Dr.スランプ アラレちゃん』としてアニメ化されることでさらなる大ブームとなった。この番組はフジテレビと『少年ジャンプ』の快進撃のトリガーとなり、グッズ販売などの関連ビジネスは桁外れの収益をもたらしたとされる。

放送開始当時、視聴者をペンギン村へと導く役割を果たしたのが主題歌「ワイワイワールド」だ。河岸亜砂という作詞家が手掛けた歌詞は、抽象的ながら『Dr.スランプ』の世界を的確に言語化したものだった。そこに菊池俊輔が万人に親しまれる素朴な味わいのメロディをつけた。そして、これを水森亜土が歌い、こおろぎ '73がコーラスでサポートした。作詞家以外は実に70年代のアニメソング的なキャスティングだといえる。スタッフはオーソドックスな子供向け番組のノウハウを貫いたのだ。

イラストレーターでもある水森亜土には、ボーカリストとしてジャズの下地があり、60年代後期〜70年代にアニメを含め子供向けのコンテンツに関連した曲を歌う機会が多かった。一言で表現すると “天才” だ。ファンシーな世界が似合う魅力的な声、独自のふわふわした唱法により、ペンギン村の案内人として完璧な仕事をしている。彼女は主演の声優ではないが、「ワイワイワールド」はまるでアラレちゃん自身が歌う自己紹介ソングのようにも感じられた。

しかし、「Dr.スランプ アラレちゃん」以降はアニメ関連の曲を歌う機会が減ったため、80年代のアニメソング関係者のイメージが薄いのである。なお、「ワイワイワールド」とともに、もうひとつの代表曲「ひみつのアッコちゃん」(NET / 現:テレビ朝日系)のエンディング曲「すきすきソング」も聴けば、水森亜土の天賦の才能をさらに実感できるだろう。こちらも凄い。

【2人目:沖田浩之】謎多き「キャプテン翼」主題歌を歌いこなした功労者




1983年は『少年ジャンプ』の連載作品が次々にアニメ化された年である。4月には、ゆでたまご『キン肉マン』(日本テレビ系) 、5月から江口寿史の『ストップ!! ひばりくん!』(フジテレビ系)、7月から北条司『CAT'S EYE』(日本テレビ系)と続く。そして、10月からは高橋陽一の『キャプテン翼』のアニメ版がテレビ東京でスタートした。当時、テレビ東京は民放キー局のなかで弱小イメージがあった。しかし、東京12チャンネル時代より「三菱ダイヤモンド・サッカー」などでサッカー中継に力を入れていたテレビ局であり、『キャプテン翼』を放送するのに相応しかった。

1983年といえばJリーグがスタートする10年前である。放送が始まると、『キャプテン翼』はテレビ東京のコンテンツとしては屈指の人気を獲得した。さらに、世界50カ国以上で放送されることで、世界中のサッカー界へ影響を与えるアニメとなる。 その主題歌「燃えてヒーロー」は、デビュー3年目の沖田浩之と大空翼役の声優・小粥よう子が歌った。ただし、曲を聴くと沖田の声しか耳に残らず、番組クレジットでも小粥の名前は入っていなかった。

この曲の作詞には、演歌系の大物作詞家、吉岡治が起用された。吉岡はとくにサッカーに縁があるわけでもなく、当時、アニメソングの作詞を頻繁にしていたわけでもない。意外なキャスティングだといえた。その状況下で、吉岡は謎の残る歌詞をかいた。まず、サッカー用語は ”シュート” と “ヘディング” 程度にとどめ、”すぐれものゾ” という時代劇風の表現を用い、さらに “蝶々サンバ” “チャンバ” といった意味不明のワードを用いたのだ。

また、アニメのオープニングでは流れない2コーラス目には “ネコ” ”サンマ” ”すずめ” ”イモ" が登場する。どちらかというと『サザエさん』的である。この歌詞は何なのか?… そのモヤモヤした部分もまた、「燃えてヒーロー」を人々の記憶に残す一因になった。なお、”チャンバ” については、2000年代に吉岡自身が集英社のスポーツ雑誌「Sportiva」の取材に答えることで、”バアチャン” の意味だということが明らかになっている。

ここで特筆すべきは、そのエキセントリックな歌詞を自分のものにしてカッコよく歌いこなした沖田浩之の高い歌唱力である。沖田が歌ったからこそ、「燃えてヒーロー」は聴けば気持ちが高まる曲に昇華されたのだ。”チャンバ “ “ネコ” ”サンマ” ”すずめ” ”イモ" を熱くクールに歌ったそのヴォーカリストとしての力量が再評価される機会を逸しているのは残念過ぎる。

【3人目:竹本孝之】沖田浩之からバトンを受け取ったスーパーサブ




沖田浩之(と小粥よう子)が歌う「燃えてヒーロー」は『キャプテン翼』の第87話を最後に主題歌として使用されなくなった。沖田が外れたのはプロダクション移籍が関係していると考えられる。では、次の回からどうなったか? こうした場合は新しい曲を用意するのが定石だが、なぜか別の人物が歌う「燃えてヒーロー」が流れたのだ。

新たに「燃えてヒーロー」を歌ったのは竹本孝之だ。厳密にいえばタイトルは「燃えてヒーロー'85」となり、アレンジも変更となった。だが、歌詞は同じで、”チャンバ” もそのままだった。竹本と沖田は同じ1981年にアイドル歌手としてデビューし、新人賞レースではライバル関係にあった。レコード会社が同じCBS・ソニーの所属だったことによる起用なのだろうが、沖田の代役を命じられた際、竹本の心中はいかなるものだったのか?

しかし、竹本はその仕事に全力を尽くし、沖田に負けず「燃えてヒーロー」を自分のものにした。チャンバも、ネコも、サンマも、すずめも、イモもカッコよく歌ったのである。ヴォーカリストとして沖田と竹本は甲乙つけがたい。竹本のバージョンは残念ながら「80年代アニメソング総選挙」のノミネート曲から外れているが、どちらの「燃えてヒーロー」もいい。

【4人目:山下三智夫 】超絶神曲「愛をとりもどせ!!」の作曲者




今でも『北斗の拳』(フジテレビ系)の主題歌、クリスタルキングの「愛をとりもどせ!!」を聴くと、特別な高揚感を覚える人は少なくないだろう。この曲はヒットチャートの上位を走った歴史はないが、番組の人気に比例して認知度は極めて高い。カラオケの定番盛り上げ曲でもある。シリーズ途中で主題歌は2度変わっているが、当時を知る年代にはやはり『北斗の拳』といえば「愛をとりもどせ!!」だという認識が一般的ではないか。しかし、この80年代アニメソング史上屈指の激アツ曲を作った山下三智夫というミュージシャンのことはあまり知られていない。

アニメ『北斗の拳』とのタイアップが前提だった「愛をとりもどせ!!」は、専業のソングライターが手掛けたものではない。クリスタルキングのメンバーによる作品だ。作詞の中村公晴はバンドのピアニスト、そして作曲と編曲(飛澤宏元と連名)担当の山下三智夫はギタリストである。クリスタルキングといえば、低音と超高音のツインボーカルが大きな特徴だが、楽器担当メンバーもタダモノではなかった。

とくに山下は、「愛をとりもどせ!!」とはまったく違うタイプの曲調で、ミリオンセラーとなった「大都会」の作曲者でもある。クリスタルキングはデビュー曲の「大都会」が大ヒットしたことから、“一発屋” だと勘違いされることもあるが、第2弾の「蜃気楼」も75万枚を売り上げた立派な大ヒット曲である。これを作曲したのも山下だ。

ただし、2発当てたクリスタルキングのレコードセールスはその後、徐々に下がっていき、テレビの露出も減っていた。そんな時期にアニメ「北斗の拳」のタイアップが決まるのだった。これは、当時のクリスタルキングがフジテレビと同系列のキャニオン(現:ポニーキャニオン)の所属だったことが関係している。そのチャンスに、山下はこれ以上ない、これ以外は考えられないレベルの曲を作った。

【5人目:松澤浩明】メタルとアニメソングの相性のよさを示したギタリスト




1985年の終わりに連載がスタートした車田正美の『聖闘士星矢』は、『少年ジャンプ』に女性読者が流入するきっかけとなった作品のひとつだといわれる。のちに6人だった頃のSMAPの主演でミュージカル化もされた。

そのアニメ化は単行本1巻のリリース以前に発表され、1986年10月にテレビ朝日系で放送がスタートした。すでに『CAT'S EYE』から3年後であり、専門ではないミュージシャンがアニメソングを歌うことは珍しくなくなっていた。また、タイトルや主人公の名前を歌詞で連呼しないスタイルも珍しくなかった。だが、『聖闘士星矢』の場合、その中間がとられた。

『聖闘士星矢』の主題歌「ペガサス幻想」は、1984年にLOUDNESSの樋口宗孝がプロデュースしたアルバムでデビューしたヘヴィメタル系バンド・MAKE-UPの曲である。当時、LOUDNESS、BOW WOWに続き、アースシェイカー、44マグナム、X-RAY、ブリザード、アルージュといったヘヴィメタル系バンドが続々とデビューすることで、いわゆる “ジャパメタ” ブームが起きており、MAKE-UPもその渦の中にいた。 このバンドにとってひとつの転機となったのが、『聖闘士星矢』の主題歌のオファーだった。

「ペガサス幻想」は詞を作詞家の竜真知子が書いている。作品に関連するワードが散りばめられ、サビでタイトルを連呼する旧タイプのアニメソングの歌詞だ。しかし、音は違った。MAKE-UPが担当する以上、当然のごとくメタル系なのである。アニメ映画『オーディーン 光子帆船スターライト』(’85年)の主題歌をLOUDNESSが担当した例はあるが、テレビのアニメソングとしては、斬新な曲調だった。ハードなバトルを描いた「聖闘士星矢」とヘヴィメタルとの相性はよかった。バッチリだった。

「ペガサス幻想」の作曲は、MAKE-UPのギタリストの松澤浩明とヴォーカリストの山田信夫の連名になっている。今では当たり前の組み合わせとなったアニメとメタルを融合させた功労者である2人のうち、”NoB” の別名もある山田は1987年のバンド解散後、複数のバンドやソロで活動しながら、特撮番組の主題歌を何度か歌っている。また、現在もアニメや特撮のイベントにも参加し、「ペガサス幻想」などを歌う機会がある。だが、松澤の名前はあまり聞かれない。なぜなら、2010年に50歳の若さでこの世を去ったからである。松澤は前年に山田らとMAKE-UPの再結成を発表したばかりだった……。なお、「聖闘士星矢」の放送終了後に生まれた松澤の息子 “GAK" はギタリストであり、一時は、アニソンメタルバンド “ZAMB” のメンバーとして活動していた時期もあった。

── 当記事と「80年代アニメソング総選挙!ザ☆ベスト100」をきっかけに、ここに挙げた面々がアニメソングファンに再評価され、その業績が再認識されることを心から願うばかりである。

80年代アニメソング総選挙!ザ☆ベスト100

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2024.02.11
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