iPod(iTunes)の登場以降、アーティストの曲を1曲単位で買ったり聴いたりする文化に変わってしまった。これってアーティストやその曲の価値を下げてしまった最大の原因なのでは、と僕は思う。
昔はアルバムの中からシングルが生まれていたが、今はシングルのリリースが先行し、アルバムはそのシングルがまとまったもの。既に知っている曲がただまとまっているアルバムに魅力などなく、CDが売れないのは当たり前だ。
1980年代、僕はいつも、好きなアーティストのアルバムの発売を首を長くして待っていた。新譜が発売されると、1枚のアルバムに納められた全曲をひとつの単位としてその良し悪しの評価をしていた。単なる好き嫌いなんだけどね。そして今でもアルバム毎に曲を聴くのが好きだ、ちゃんとオリジナルの曲順通りにね。
だから僕は、結構アルバム単位でアーティストを評価することが多くて、そういう意味でもビリー・ジョエルが大好きだ。
1980年3月にビリー・ジョエルの通算7作目のアルバム『グラス・ハウス』はリリースされる。このアルバムは全米アルバム・チャートで6週連続1位の大ヒットとなった。
これまでのジャズを基調とした洒脱な作風から路線変更し、よりソリッドなサウンドに徹したこのアルバムでビリー・ジョエルはグラミー賞の最優秀ロック・ヴォーカル・パフォーマンス賞を受賞する。今聴いてもこのアルバムは素晴らしいし楽しいし飽きない。
アルバムがリリースされた時、僕はまだ中学3年生。まだLPレコードなんて買える訳もなく、手に入れたのはかなり遅れて1981年8月3日、高校1年生の時の自分の誕生日だ。
『ストレンジャー(1977年)』と『ニューヨーク52番街(1978年)』と『グラス・ハウス』の3枚をバイトして貯めたお金で一気にまとめて買った。他にも欲しいアルバムは沢山あったけど、どうしてもこの3枚を一緒に手に入れたかったんだ。それほどこの頃のビリー・ジョエルは好きだった。
『グラス・ハウス』の1曲目は「ガラスのニューヨーク」、原題は「You May Be Right」。歌詞を見てもどこにもガラスのニューヨーク的な箇所はないんだけど、アルバムジャケットのイメージで邦題を付けちゃったのかな? 未だに疑問。どなたか知っている方がいたら教えてください。
2016.02.21
YouTube / billyjoelVEVO
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