1月1日

元祖 “じゃない方芸人” うなずきトリオ、大瀧詠一が手掛けた「うなずきマーチ」

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バラエティ番組で、“じゃない方芸人” という言葉が定着しつつある。コンビの片方のキャラクターが立ちすぎていたり、単独の活動で人気を博したりして、注目度の格差が広がり、影が薄くなってしまった芸人がそう呼ばれる。40代後半以上なら、“じゃない方芸人”と聞いて、80年代の漫才ブームに登場した「うなずきトリオ」を思い出した人も多いのではないか。

うなずきトリオのメンバーは、ツービートのビートきよし、紳助・竜介の松本竜介、B&B の島田洋八という、各コンビのツッコミ3人。3組の漫才はいずれも、個性の強いボケが一方的に喋りまくり、ツッコミはボケの機関銃トークにひたすらうなずきながら、時折同じ台詞をはさむというもの。きよしは「よしなさい」、竜介は「んなアホな」、洋八は「なんでやねん」というのがお約束だった。

あまり役立っていないツッコミ3人に笑わせてもらったことはほぼないのだが、うなずきトリオが歌う「うなずきマーチ」は別。『オレたちひょうきん族』で「うなずきマーチ」を初めて聴いたときは、涙を流して爆笑した。

タイトルにはマーチとついているが、演歌調だったり、数え歌風だったり、テクノ調だったりと、曲調がころころ変わる。そこにメインボーカルのきよしの絶妙なはずしっぷりに、竜介と洋八のやる気があるんだかないんだかわからない振り付きの「♪ ナーナーナーウナ ウナウナナー」。

うなずきの悲哀や根拠のないポジティブさを感じる歌詞には、「よしなさい」「んなアホな」「なんでやねん」というツッコミ台詞まで盛り込まれている。作詞作曲編曲を手掛けたのは大瀧詠一。さすがコミックソングにも強い大瀧、3人のポンコツキャラを見事輝かせていた。

さて、現在の “じゃない方芸人” だが、じゃない方と言われながらも、自分なりの個性を見つけ出して、徐々に格差を縮めていく例が多い。ここ数年のM-1グランプリ決勝を見ていても、片方がうなずくだけ、なんてコンビはいなかったように思う。今は、サンドウイッチマンや博多華丸・大吉のように、コンビの役割が均等でないと、人気者になれないのかもしれない。

お笑いの怪物の隣でうなずきながら、お決まりのツッコミを入れるだけの “じゃない方芸人” が許されたのは、80年代ならではの寛容さ…… そんな風にとらえるのは、ノスタルジックすぎるだろうか。

2019.09.19
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  YouTube / 博士敷島shikishima
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カタリベ
1967年生まれ
平マリアンヌ
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