日本の映画産業が斜陽と言われていた1980年代。当時、邦画はダサい。暗い。古い。そんなレッテルを貼られていた。スピルバーグやルーカス、リドリー&トニー・スコット兄弟が活躍しアメリカから大作映画が続々と上陸。流行の最先端はほとんどハリウッドからやってきた。それに抗うように登場した角川映画が私にはとても眩しく思えた。大量の広告費を投入し印象的なテーマ曲がTV-CMで切れ目なく流される。耳に残る音楽が今尚忘れられない。
1977年『人間の証明』
人間の証明のテーマ
1980年『復活の日』
You are love
1982年『汚れた英雄』
Riding High
1983年『里見八犬伝』
里見八犬伝
1983年『幻魔大戦』
光の天使
1985年『二代目はクリスチャン』
二代目はクリスチャンのテーマ
1986年『キャバレー』
Left Alone
1992年『ルビーカイロ』
The secrets of my heart
列記した作品のテーマ曲はすべて英語詞である。角川春樹氏は大物キース・エマーソンに依頼して『幻魔大戦』の主題歌を作らせたり、『キャバレー』ではジャズの名曲を雰囲気たっぷりにマリーンに歌わせたりもしている。さらにハリウッドに初進出した『ルビーカイロ』の音楽に至っては007シリーズで知られる名匠ジョン・バリーの作曲である。春樹氏が大作映画の音楽に求めたものは常に世界だった。
中でも一番印象に残っているのは『復活の日』だ。小松左京のSF小説を原作にハリウッドスターを招いて作り上げた超大作である。映画が始まると、巨大な原子力潜水艦が海上に浮上する派手なスペクタクルシーンにまず度肝を抜かれる。そして、『日本沈没』『八甲田山』で手腕を振るった木村大作が厳しくも美しい南極大陸の風景を映し出し、ジャニス・イアンのやさしい歌声がその映像に見事なまでにシンクロしていく。
その瞬間… 私の心は少年時代、映画を観た当時の渋谷東宝にタイムスリップしてしまう。「日本発・世界公開」というロマンを本気で目指した春樹氏の姿をスクリーンの向こうに感じて、少年だった私はもうそれだけで胸をドキドキと高鳴らせていた。
You are love / ジャニス・イアン
作詞:Janis Ian
作曲:Teo Macero
光の天使(Children Of The Light)/ ローズマリー・バトラー
作詞:Tony Allen
作曲:Keith Emerson
The secrets of my heart / クリスティーナ・ニコルス
作詞:Cynthia Haagens, Graeme Clifford
作曲:John Barry
2016.06.05
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