テレビ番組、それもバラエティにはお約束の効果音ってぇのがある。怖い御仁が出て来れば津島利章『仁義なき戦いのテーマ』だし、手品になればポール・モーリア『オリーブの首飾り』だし、宇宙のシーンだとリヒャルト・シュトラウス『ツァラトゥストラはかく語りき』が必ずかかる。たまに、真面目なドキュメンタリーにもお茶目な音響効果さんがいて、以前『情熱大陸』で主人公がマイアミを訪れるシーンに、マイアミサウンドマシーンの『1-2-3』がBGMになってて、わたしは思わず画面にオイオイwww!と突っ込みを入れてしまった。
さて、そんな「お決まり音楽」の一つに、男と女の別離のシーンで流れるジャーニー『セパレイト・ウエィズ』がある。最近はTBS『サンデージャポン』のせいで、この曲のイントロが流れるだけで反射的に笑ってしまうほどだ。
で、そのジャーニーの近ごろのトピックスといえば、脱退したスティーヴ・ペリー(Vo)の後釜に、YouTubeで見つけたスティーヴの声そっくりのフィリピン人・アーネル・ピエダをスカウトしたという、ウソのような本当の話。そのいきさつはドキュメント映画にもなっているぐらいだ。わたしも初め聞いたとき「ネタにしてるのか?」と耳を疑ったし、今どきそんな都合のいい話ってあるのかよ笑!って誰でも思いますわな。きっと事務所やレコード会社でも、喧々諤々だったはずだ。
だが、彼らは冷静になってこう考えてみたのさ…〔そもそもが俺たちジャーニーは曲の良さ優先で、ルックスで売ってるバンドでもない。こんどのボーカル君は、若いし、素直だし、ギャラは安いし、ステージでもよく飛び跳ねるし、経年による高音の劣化もない。もしかしたら、スティーヴよりも上手いかもしれない。それにアジア人を入れることで、メンバー構成も世界標準になるし、ボーカル1人の加入でバンド全体が若返った印象にもなる。良いことづくめじゃんか!〕…ってね。
スティーヴ・ペリーは絶対的な自信があったと思う。ボクじゃないと無理だろう。俺がいなけりゃ、ジャーニーは封印も同然だと。事実、それまでの10年間、バンドはボーカル探しという名の当てどない旅〈ジャーニー〉を続けてきたのだ。ところが、二代目の声優さんの方がハマっちゃったアニメみたいなマヌケな状態に。これに世界で一番ショックを受けてるのはスティーヴ本人だろう。よくある「○○周年記念の臨時再結成ビジネス」にも声がかからなくなっちゃうだろうから。
「これがほんとのセパレイトウェイズさ、ジャーニ〜!」男と女のラブゲームとか、仕事とか、ついつい「俺しかいないだろぅ!」なーんて自惚れてしまうもんですが、代わりは案外と簡単に、それも“意外な方法”で見つかるものだ。気をつけようっと。
2016.02.28
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