『パンチDEデート』『ラブアタック!』『ヤングおー! おー!』など、1970年代後半から80年代前半は、関西発の公開バラエティ番組が東京でも数多く放送されていた。たいてい視聴者参加型番組。東京育ちの私は、「関西は素人もこんなにおもしろいのかぁ」と感心しっぱなしだった。
なかでも大好きだったのが、『プロポーズ大作戦』だ。旅先や通勤電車でひとめ惚れした彼、忘れられない初恋の彼女。どこにいるかわからない恋の相手を探し出して告白するコーナーがメイン。他にもいろんな人気コーナーがあったが、やはり『プロポーズ大作戦』といえば「フィーリングカップル5vs5」だろう。その後学園祭やバラエティ番組でも真似され、グループお見合いの雛形みたいになった。
オープニングとフィーリングカップル参加者登場時に流れるのが、キダ・タロー作曲のメインテーマ。なんとも心浮き立つハッピーチューンで、浪花のモーツァルト、キダ・タローの最高傑作じゃないだろうか。
それと、忘れちゃならないのが、キャンディーズが歌う主題歌「ラッキーチャンスを逃がさないで」。私大に通っていそうな、しっかり者のおきゃんなお姉さん。当時、私が彼女たちに抱いていたイメージにぴったりな曲だった。
のっぽのあいつ 太めのあいつ
恥ずかしがりやの あいつにあいつ
誘ってみようよ One Two Three
気取っていないで One Two Three
奥手な年下の男の子たちに、発破をかけるお姉さん。男の子を “あいつ” と呼ぶのが、キャンディーズほどハマるアイドルはいなかった気がする。キャンディーズの陽の部分を凝縮したようなこの主題歌は、解散後もしっかり番組で使われ続けた。
『プロポーズ大作戦』の司会は、横山やすし・西川きよしの名コンビ。キャンディーズの主題歌の前に、やすきよのミニ漫才といったかたちのオープニングトークがあるのだが、毎回しっかり爆笑をとり、番組に勢いをつけていた。
素行にいろいろ問題があり、他の番組では酔って出演したり、暴言を吐いたり、ということもあったやすし。でも、『プロポーズ大作戦』ではいつもニコニコして、番組に出てきた素人さんたちに、とても優しく接していたように見えた。
番組は1985年に終了し、その翌年にきよしは参議院選に出馬した。番組終了時には、きよしは出馬のことを考えていたのだろうか。きよし的には、“ラッキーチャンスを逃がさない” タイミングが86年だったのだろう。
ただ、そこからやすしは、ラッキーチャンスを逃がしまくったと言うべきか、自ら破滅に突き進んでいったと言うべきか。やすきよ最後の幸せな時代が、『プロポーズ大作戦』に詰まっていたように思えて、ちょっと切なくなる番組でもあったりする。
歌詞引用:
ラッキーチャンスを逃がさないで / キャンディーズ
2018.03.26
YouTube / 堀博士
YouTube / 2stparalleltwin
Information