11月25日

追悼:黒沢健一、こだわりの音世界が熱く迎えられたL⇔Rのデビュー

61
3
 
 この日何の日? 
L⇔Rのデビューミニアルバム「L」がリリースされた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1991年のコラム 
渋谷系黎明期のオリジナル・ラヴ「月の裏で会いましょう」バナナチップス ラブ主題歌!

作詞家 松井五郎の世界を堪能!時代を超えた《男性ボーカル・ラブソング編》

松任谷由実「DAWN PURPLE」バブル崩壊の空気感をパッケージングしたユーミンの重要作

スピッツ「名前をつけてやる」ー 草野マサムネともう一人の  “くさっち”

生誕65周年!マイケル・ジャクソンが「デンジャラス」で採り入れた新機軸とは?

デンジャラスなハートの美男子、1991年のマイケル・ジャクソン

もっとみる≫



photo:POLYSTAR RECORDS  

黒沢健一が亡くなった。享年48。脳腫瘍で闘病中であることをファンに知らせてから約2ヶ月。こんなにも早くその日が来るとは思わなかった。

86年、17歳でソニーSDオーディションとヤマハのコンテストに同時入賞し、19歳のときにはもう島田奈美や南野陽子に楽曲提供を始めていた。履歴書の特技の欄に「スプーン曲げ」と書く彼の60'sポップス界隈の音楽知識の豊富さには、大人も舌を巻いたという。

しかし彼がやりたいのはバンドであり、職業作曲家ではなかった。弟の秀樹と組んでいたバンドはなかなか先が見えず、90年3月にポール・マッカートニーがついに来日すると聞いて「それを見たらもう茨城に帰ろう」という話までしていたらしい。「LET ME ROLL IT」で涙ながらにペンライトを振る黒沢兄弟の顔がワイドショーのカメラで抜かれるというオマケまでついたそのライブの素晴らしさに、「いや、まだ頑張ろう」と帰郷を思いとどまったのは本当の話だ。

L⇔Rのデビューは91年11月。こだわりの音世界がその筋のマニアに熱く迎えられた。広く知られているヒット曲としてポッキーのCMソングだった「Hello,It's Me」やドラマ『僕らに愛を!』の主題歌で100万枚を売った「KNOCKIN’ON YOUR DOOR」がある。また ♪飲もう~でおなじみの森高千里「気分爽快」の作曲者でもある。(余談だが ♪吐こう~今日はとことん吐きまくろう~という作者本人による替え歌もある。タイトルは「気分最悪」)。

98年にL⇔Rが活動休止に至った理由は当時はっきりと明かされなかったが、健一くんの心がいろいろなものに押しつぶされそうになっていたことが大きな要因だったとその後のインタビュー等で語られ、ファンの間では共通認識となっている。年月がすべてを笑い話にしてくれてよかった。

私は健一くんよりも弟の秀樹と親しいので、浜崎貴司のライブに健一くんが出るというので弟を誘って行って「なんでおまえが来てるんだよ!」と言わせたこと、新宿ロフトでのMOTORWORKS再結成ライブが終わって「弟、来てたけどもう帰っちゃったよ」と言うと「なんで帰るんだよ。久しぶりの兄弟の会話をしたかったのに」と言われたこと、そんな光景ばかりが浮かんでくる。ソロになってからの取材のときはいつも穏やかで優しかった。

12月5日未明に家族に見守られながら息をひきとり、私のところへは翌日の夜に連絡が来た。病気のことはずいぶん前から知っていたし、経過があまりよくないこともわかっていた。それでもあの鳩尾を突きさす絶望感は何度経験してもこたえる。7日に突然の悲報を受け取ったファンの人たちの胸中はいかばかりか。

1月18日に96年の武道館公演のDVDが、2月8日にはL⇔R全8枚のアルバムがリマスターでリリースされる(ライナーノーツを少しお手伝いしました)。3枚のソロアルバムも未発表曲を入れて再発されることが発表された。L⇔R25周年だった2016年にもっと楽しいことが実現していたかもしれないことを思うと残念でたまらないが、今はただポール・マッカートニーやブライアン・ウイルソンよりも早く逝ってしまった彼の冥福を祈りたい。

2017.01.07
61
  YouTube / ponycanyon


  YouTube / ponycanyon
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。


おすすめのボイス≫
1966年生まれ
鎌倉屋 武士
ソニーのオーディションで審査員との会話をちょっと照れた様子で答えていたのを思い出します。86年12月の日本青年館、何故かそのシーンをすごく覚えている。不思議です。
2017/01/13 12:08
0
返信
カタリベ
1962年生まれ
佐々木美夏
コラムリスト≫
46
1
9
8
9
1989年のポール・マッカートニー来日狂想曲、やっとあえるね。
カタリベ / 宮井 章裕
33
1
9
8
6
ユニコーンやエレカシが一堂に会したCBSソニーオーディション’86 潜入記
カタリベ / 鎌倉屋 武士
37
1
9
8
0
テクノに大胆アプローチ! 宅録アルバム「マッカートニーⅡ」のブッ飛んだ魅力
カタリベ / 宮木 宣嗣
31
1
9
8
5
ポールにとって “人生最悪の時” だったライヴエイドの1分48秒
カタリベ / 宮木 宣嗣
42
1
9
8
3
80年代の松田聖子でいちばん売れたシングル ー「ガラスの林檎」の変態性
カタリベ / スージー鈴木
26
1
9
8
2
ポールは今でもナンバーワン! ずっとそうだったわけじゃないけれど。
カタリベ / 宮井 章裕