一方で、小沢健二や奥田民生といったアコースティックな響きや隙間のある音像が印象に残る職人たちも活躍。また、前年にブレイクしたMr.Childrenやブレイクを待つスピッツ等のロックバンド、本コラムの主役であるL⇔Rもその一角で「Hello, It’s me」でスマッシュヒットを放ち、チャートにおいても存在感を示してていた。そんな中でリリースされたのが、この「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」。1995年5月3日発売、5月15日付のオリコンチャート初登場1位を飾った。それはまるで雲の隙間からスカッとした青空と風が通り抜けていく瞬間のようだった。
初登場で1位をもぎ取った「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」
1991年にポリスターレコードからデビューしたL⇔Rのプロデューサーである岡井大二は黒沢健一のことを “大滝詠一や山下達郎の系譜を継ぐポップスおたく” と称していた。デビュー当時から、いわゆる音楽通といわれるリスナーから注目されていた黒沢健一が “アタマからガツン!とくる売れる曲を” と言われ勢いで作ったのが「KNOCKIN' ON YOUR DOOR」。1995年に放送されたフジテレビ系ドラマ『僕らに愛を!』のタイアップで書かれた曲だった。
タイトル通りドアをノックするような、ステレオの左(L)チャンネルから右(R)チャンネルにかけてドカン!と破裂するようなドラムはまさに “L⇔R”。自己紹介のようなこのドラムの直後、黒沢健一が歌う、 「♪I’m Knockin‘ on your door」はまさにドアを開ける瞬間。ド頭からメロディでもドアを叩き、聴く人の心の扉を開かせる。