2021年 12月8日

南野陽子16年ぶりの新曲「大切な人」四季をテーマに綴った名曲集 〜 秋冬編

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80年代女性アイドルで一番美人、南野陽子


阪神間や神戸の街中の人たちが季節の移り変わりを実感するのが、松陰女学院の制服の切り替わり時期だ。白いワンピースの制服を沿線で見かけるようになると夏が来る。白いワンピースが紺色のワンピースの制服になると「あぁ夏も終わりやな」と感じるのだ。

1925年の創立からほぼ100年同じデザインの、女の子を3割美人にみせる… という松陰の制服を南野陽子さんは中1から4年半近く着て、阪急電車で通っていた。陽子さんより2学年上の私も同時期に、陽子さんと同じ阪急西灘駅(現・阪急王子公園駅)で降りて1ブロック違いの学校に通っていたが、松陰の制服は正直言ってうらやましかったのを思い出す。ちなみに “女の子を3割美人にみせる” と言ったのは塾で一緒の、私とは別の女子高の同級生だ。

山手のお嬢さんの憧れやライフスタイルを描いた歌詞に、シティポップス的なメロディを、絵に描いたような美少女・南野陽子さんが歌う。ユーミンや竹内まりやのアイドル版と評するひともいた。80年代の女性アイドルで一番美人を選ぶとしたら、私は彼女に一票を入れたい。

サウンドプロデュースの多くを手掛けた萩田光雄


南野陽子さんがアイドル歌手だった頃のサウンド志向は、おおざっぱにいうと深いリヴァーブのかかった打ち込み中心のゴージャスでキラキラしたサウンドが主流。バブルに向かってイケイケドンドンで坂道を上るように、ユーロビートやロック系のサウンドを取り入れた作品が目立っていた。

そんな中で女優としての活躍が目立っていた陽子さんの楽曲は、他のアイドルとは一線を画している。生音を効果的に使った、上品で落ち着いた作品が多い。

サウンドプロデュースは萩田光雄さんが多くの作品を手掛けた。マンドリンやストリングス、オーボエといった楽器の音が目立つのも特徴のひとつだろう。シングルで発売された「秋からも、そばにいて」など、クラシック音楽を取り入れた編曲も目に付く。

ゴージャスなサウンドを彩る美しいコーラスは、比山貴咏史さん、木戸泰弘さん、広谷順子さんをはじめとした鉄壁のコーラス布陣。硬さの中にほのかな甘さのある、キュートな陽子さんの声を引き立てている。広谷順子さんは陽子さんの楽曲のレコーディング前の仮歌も多数担当した。

春夏秋冬、80年代アイドルのシングル&アルバム事情


1986年から1989年の陽子さんがそうであったように、1980年代のアイドルというのは、春夏秋冬、3か月に1回シングル盤を出し、1年に2枚アルバムを出すのが当たり前だった。企画制作も大変だっただろう。ドラマや映画、舞台に出演しながら、レコーディングして高品質の音楽作品を作っていたことに感心する。だから今、このような季節感という切り口でリイシュー作品が作れる、という良さはある。

リイシューだけでなく、いまの作品でスマッシュヒットを出したい

―― ディレクターとして南野陽子さんを担当した吉田格さんが、FMおだわらの番組で語った言葉である。

当アルバム『Four Seasons NANNO Selection』に収められた、陽子さん選曲のアイドル時代の楽曲は、美しいメロディの良質な楽曲がピックアップされている。いまでも落ち着いて聴ける選曲がいい。また、今回発表される新曲は、耳にした多くの人に共感されるだろう作品だ。1曲ずつ簡単に紹介していこう。

「Four Seasons NANNO Selection」~秋~


曲がり角蜃気楼(1986年 『VIRGINAL』収録)


作詞:小倉めぐみ、作曲:木戸泰弘、編曲:萩田光雄、コーラスアレンジ:木戸泰弘、萩田光雄
イントロ終盤でコーラスが盛り上がっていくのが絶品。

神様がいない月(1987年 『GARLAND』収録)


作詞:小倉めぐみ、作曲:岸正之、編曲:萩田光雄
少しずつ陽子さんのヴォーカルの表現力が増している。マンドリンや弦楽器の生音がとてもいい。

秋のindication(1987年)


作詞:許瑛子、作曲・編曲:萩田光雄
構成が面白い。CMで流れた部分だけが長調、あとは短調だとはちゃんと聴くまで気づかなかった。

真夜中のメッセージ(1987年 『GARLAND』収録)


作詞:田口俊、作曲:広谷順子、編曲:萩田光雄
間奏に乗せて入る留守番電話だけ繰り返し聴いた男の子もいたのだろう。二股をかけられた女の子が自分から “Good-bye” する強がりがリアル。そしてコーラスがいい。

秋からも、そばにいて(1988年)


作詞:小倉めぐみ、作曲:伊藤玉城、編曲:萩田光雄
クラシックのいろいろな曲を思わせるフレーズが印象的。コーラスが美しい。

Lonely Night(夜想曲)(1990年 『Gather』収録)


作詞:南野陽子(2015年に)、作曲:上田知華、編曲:松浦晃久・武沢豊
深いエコーの効いたサウンドがバブル期らしい。当初(1990年収録)は英語詞だったもの。

それぞれ(1991年 『夏のおバカさん』収録)


作詞・作曲:南野陽子、編曲:明石昌夫
ビーイング・長戸大幸プロデュースで路線変更したアルバム。打ち込みサウンドの中、躍動感があるピアノが息を吐いている。

優しいたそがれ(1986年 『ジェラート』収録)


作詞:イノ・ブランシュ、作曲・編曲:萩田光雄
あどけなさを感じさせるヴォーカルと厚みのあるサウンドが1986年。サビのテンションのきいたメロディがいい。

「Four Seasons NANNO Selection」~冬~


僕らのゆくえ(1989年 「フィルムの向こう側」のC/W)


作詞:平出よしかつ、作曲:柴矢俊彦、編曲:萩田光雄
サビの伸びやかなヴォーカルがいい。低~中音域が本来聴きやすい声の人だと思っている。声の一番おいしい音(G#)の伸びが生き生きしているのがとてもいい。コーラスとのバランスも抜群!

12月、風の糸で(1988年 『SNOWFLAKES』収録)


作詞:康珍化、作曲:小森田実、編曲:萩田光男
バカラック感、初冬感。ユーミンの「一緒に暮らそう」を想い起こした。

メリー・クリスマス(1988年 『SNOWFLAKES』収録)


作詞:康珍化、作曲:平野牧、編曲:萩田光男
バブルの街のゴージャスなクリスマスとは一線を画した、上品な木の家の似合うカントリー風クリスマス。ハンドベルが効果的に使われており、最後には鐘が鳴る。

ガールフレンド(1986年 『VIRGINAL』収録)


作詞:小倉めぐみ、作曲:木戸泰弘、編曲:萩田光雄、コーラスアレンジ:木戸泰弘
コーラスがいい。“So much in love”を感じる楽しげなサウンドだが、その実は、彼を友人に奪われた少女の強さとかなしみが…。

Dear Christmas(1989年 『Dear Christmas』収録)


作詞:小倉めぐみ、作曲:柴矢俊彦、編曲:萩田光雄
エコーの効いたなかに、クラシカルなクリスマス感。町中の喧騒を離れた隠れ家レストランで過ごす雰囲気。

冬の色(2012年 『山口百恵トリビュート・セレクション』収録)


作詞:千家和也、作曲:都倉俊一、編曲:萩田光雄
ヴィヴァルディの「四季」をフィーチャリング。

そして、またイヴがきて…(1989年 『Dear Christmas』収録)


作詞:小倉めぐみ、作・編曲:上田知華
3年たっても忘れられない元カレのことを歌う、か弱いヴォーカルがかなしい。

宝石だと思う〜ノエルの丘で〜(1989年 『Dear Christmas』収録)


作詞:戸沢暢美、作曲:Tsukasa、編曲:萩田光男
モチーフは神戸の摩耶山あたりか、キラキラした希望のような夜景を見る、希望に満ちたカップルの歌。

大切な人(2021年の新曲)


作詞:南野陽子、作曲:宗本康兵、編曲:萩田光雄
今回のアルバムに収録されたふたつの新曲のうちのひとつ。ワルツに乗せた上品な、優しく包み込むメッセージソング。

アイドル歌手時代に “硬質だな” と感じさせた声が、年月を経ていい意味で丸くなり、曲にマッチしている。

16年振りの新曲「大切な人」南野陽子自作の詞にある“説得力”


2枚組のDisk-1のはじめに収録された「空を見上げて」の明るいアップテンポの陽子さんとは対照的な作品で、今の時代に必要とされる、優しい、誰でもが共感できるゆったりとしたメッセージソングが陽子さんから出てくるのは少々意外だった。

これまでいろいろな経験をしてきた陽子さんだからこそ、自作の詞に説得力がある。ぜひ多くの人に耳にしてもらいたい。

最後に余談を…。南野陽子さんにも提供曲がある木戸泰弘さんが2017年に35年ぶりのソロアルバムを発売し、2018年に渋谷JZ Bratで行われたライブには南野陽子さんも訪れていた。私もこのライブに足を運び、ふっと後ろを振り向いたら陽子さんご本人がいらしたのでびっくりしたものだった。駆け寄って話しかけたかった、というのは冗談だが、また歌を歌ってほしいな、とはその時私が本当に思ったことだ。それから3年経って、実現したのが嬉しい。

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2021.12.10
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カタリベ
1965年生まれ
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