スーパーアイドル田原俊彦「名曲お宝音楽祭」にゲスト出演!
皆さん、観ました? 4月4日のフジテレビ系特番『名曲お宝音楽祭』。田原俊彦がゲストのヤツ。私は、トシちゃんの特集がたっぷり組まれているとの前情報から、思わずテレビの前で全裸待機(嘘)しながら観てしまいました。
自分はたのきんはヨッちゃん派だったけど、そんなことは気にしない。だってトシちゃんだよ、トシちゃん!昭和40年代女リアル世代のスーパーアイドル!現在御年59歳のトシちゃん、しなやかなタフタ調の赤いスーツに身を包んで登場。表情こそ年相応だったけれど、服の下の鋼の肉体が想起されるほどのキレのある動きと、明るいおしゃべりオヤジっぷりで、視聴者を魅了していた。
『夜のヒットスタジオ』名場面集や、歌謡祭最優秀新人賞受賞映像、芸能人運動会や水泳大会のシーンもバッチリ。80年代の初々しいトシちゃんの映像が可愛いやら可愛いやらで、もうキャーキャー言いながら夢中で観た。もちろん「ハッとして! Good」では「エル・オー・ブイ・イー・アイラブ・トシちゃん!」の合いの手を入れ、「抱きしめて TONIGHT」の脚の上げっぷりに惚れ惚れし、「悲しみ2(TOO)ヤング」を合唱という盛り上がりぶり。
漫画「ハリウッド・ゲーム」の主人公は熱狂的なトシちゃんファン
―― あの頃の自分にとってこんなに屈託無くキャーキャー騒げたアイドルって、トシちゃんくらいだったかもな、なんてちょっと感慨にふけりつつ、ふと、トシちゃんの大ファンだった1人の女の子を思い出していた。
くらもちふさこ作の漫画『ハリウッド・ゲーム』の主人公、関田都である。
『ハリウッド・ゲーム』は1981年12月~1982年5月まで、『別冊マーガレット』で連載された少女漫画。テレビ局の側にある高校(校名が「あけぼの高校」なのでフジテレビがモデルと思われる)に通うトシちゃん命の17歳、関田都がアイドルに憧れる気持ちと、剣道部の先輩を慕う恋心の両方に揺れ、悩みながらもリアルな恋愛を選んでいく姿をみずみずしく描き出した群像劇だ。
「なんとなく」で「クリスタル」な雰囲気漂う80年代初期の空気やファッションをパッケージした軽やかさの中に、“ひとりひとりが主人公なんだよ” という現在で言う多様性的メッセージが込められた、ちょっと切ない高校生の等身大の成長物語。
トシちゃんの他にも近藤真彦、松田聖子といったアイドルの名前や、『野菊の墓』『セーラー服と機関銃』なんて映画名がちらほらと出てくる。
中川勝彦がモデル(?)の中川君も最高! “くらもち男子” の魅力とは
サブキャラもいい。聖子ちゃんカットで実際にアイドルデビューしちゃう子や、ほとんど高校に来ない飄々としたロック少年、中川君。この中川君は中川勝彦がモデルらしい。実際にくらもちふさこと中川勝彦は親交が深かったことでも知られていて、他の漫画にもちょくちょくそれらしきキャラが描かれている。
でね。中川君がまた、モテるけどどんな女の子をも応援するようないいヤツなんだよね。くらもちふさこの描く男子のお手本のようなキャラクター。
くらもちふさこが描く男子には “くらもち男子” という呼称まであるらしく、曰く “カッコ良くてクール、でもちょっと意地悪。なのに女子の心の隙間を気にかける優しさはピカイチの男子” のこと。そしてポイントはセクシーさだ。エロと言うのではなく、骨格や笑いジワ、クセのある歩き方、私服のセンスがセクシー、ということ。
中でもダントツにセクシーなのは “手”。描写は描き込みが半端なく、少しごっつくてなだらかな指の長さやカーブを見ると目がハートになった(芸能人で例えるなら、個人的には大泉洋が優勝!くらもち男子の手第一位!)。本作で、その “くらもち男子” 役を担うのは、中川君と剣道部の迫丸先輩だ。
永遠の理想、くらもちふさこが描く男子キャラ
漫画の中、都がテレビ局のスタジオ見学の名目で大好きなトシちゃんに会いに行けるエピソードがある。たぶんその番組は『たのきん全力投球!』。だが、初めて本物のトシちゃんを目にした都は、仕草や声などにかすかな違和感を持つのだった。
「今まで自分が勝手に想像していたトシちゃんと違う。ううん。これが本当のトシちゃんなんだ。今まで好きだったのは自分が作ったトシちゃんだ」
…と。そうして都はトシちゃんへの憧れを気持ちの中の別枠にパッケージして、迫丸先輩との恋愛へとシフトする。悩んだり傷付いたりする現実の恋愛へと。
「トシちゃんともそんな恋をする人がどこかにいるのね」
部屋に貼ったトシちゃんのポスターに語りかけながら、恋に恋するレッスンを卒業していくのだった。
くらもちふさこの生み出す男子キャラは、少女時代の私にとっては永遠の理想だった。ふざけているような冷たいような迫丸先輩を、憧れからだんだんとひとりの人間として見つめていく都。その過程の風景描写やセリフ、ひたむきな画の表現を夢中で追ったあの頃。一緒に先輩に恋をして泣いた。細かく紡ぎ出される心の綾が、恋心となって昇華していく展開に胸がキュンとなった。「君達は台本のない素敵なシーンを歩んでいるんだよ」という先輩の台詞は、キザなようだけど涙なくしては読めなかった。
えーん。私は結局中川君より迫丸先輩派なのかも。あぁ、でも中川君の笑顔も最高なのだ。何十年ぶりに読んでみたけど、やはり選べない。
特別企画 “中2プレイリスト” 中2の頃に聴いていた青春ソングは?
そういえば、『名曲お宝音楽祭』で、トシちゃん同様盛り上がったのが特別企画の「中2プレイリスト」。「皆さんが中2の頃に聴いていた青春ソングは?」という問いに出演者が答えるんだけど、様々な思い出が蘇って楽しすぎた。次第に SNS 上で誰も彼もがマイプレイリストを発表し始める始末! でもこれが世代もジャンルも超えて興味深く、歌謡曲本来の意味を考えさせられた。
歌謡曲本来の意味は何かっていうと「歌謡曲(レコード)は思い出を売るもの」っていう、学生時代のバイト先、廃盤レコード屋社長の言葉なんだけど。そういえばCDが登場したのは1982年だったっけ。
ちなみに私の中2時代は1981年がメイン。『ハリウッド・ゲーム』の連載開始時期とも重なる… というわけで、半ばこじつけながら自分も作ってみました。トップテンやベストテン、ヒットスタジオにレッツヤン、ドレミファドン、はたまたラジオやCM、ドラマ主題歌から鮮やかに脳裏に蘇るあの曲この曲。
実際の中学に迫丸先輩はいなかったけれど、たくさんの淡い恋が生まれては消えていった、そんな中2時代のベタなプレイリストです。
親王塚リカの中2プレイリスト ■ 所ジョージ / 正男という名で小学生(1980年11月21日)
■ 河合夕子 / 東京チークガール(1981年2月25日)
■ 大滝詠一 / 君は天然色(1981年3月21日)
■ 沢田富美子 / ちょっと春風(1981年4月1日)
■ クリエーション / ロンリー・ハート(1981年4月21日)
■ EPO / ダウンタウン(1981年5月30日)※ フジテレビ系『オレたちひょうきん族』エンディング
■ 田原俊彦 / キミに決定!(1981年7月1日)
■ イモ欽トリオ / ハイスクールララバイ(1981年8月5日)
■ ザンフィル / 想い出づくり。(1981年9月18日)※ TBS系ドラマ『想い出づくり。』主題曲
■ 松田聖子 / 風立ちぬ(1981年10月7日)
※日付はリリース日、もしくはテレビ番組開始日
2020.04.19