テレサ・テン(鄧麗君)。国境を越えて人々を魅了した台湾出身の歌手。1970年代から1990年代にかけて、アジア圏で広く人気を博したその業績から、生前より「アジアの歌姫」と呼ばれている。
14歳でデビューした天才少女歌手は、その二年後には映画に主演するなど人気が急上昇、台湾のみならず、中国・香港など中華文化圏でトップスターに。その後、日本で活動を始めたテレサは、慣れない日本語の曲を歌う際にも決して努力を怠らなかったという。
通訳を通して日本語の意味を作詞家やプロデューサーに何度も尋ね、きちんと理解してからでないとレコーディングを進めなかったのは有名な話。先日、ネットの記事で読んだのだが「つぐない」などで彼女の人気を支えた作詞家・荒木とよひさ氏は、「日本人が忘れてしまった言葉の感じを大切に表現できる」と大絶賛したそうだ。
1984年から1986年にかけ、奇跡の三部作とも言われる「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」で、『日本有線大賞』および『全日本有線放送大賞』史上初の3年連続グランプリを受賞したテレサ・テン。日本ではどちらかというと演歌寄りの歌手のイメージが強い彼女だが、実際はかなり幅広いジャンルの曲を歌っている。
英語、フランス語を流暢に操り、台湾語以外にも北京語、福建語、広東語、さらにはマレー語、タイ語といったアジア圏全域に及ぶほどの言語を使いこなしたという。彼女が遺した楽曲は、日本だけで約260曲、中国語曲ではなんと1,000曲。自身のオリジナル曲を他言語で歌ったり洋楽をカバーしたりと、実に多彩なバリエーションの曲を発表し活躍の幅を広げていった。
それにしても、日本人は本当にテレサが好きですよね。その人気が目立って表れているのが、カラオケでのリクエスト数なのだそう。
私も年輩の方達とカラオケにご一緒する機会や、イベント出演時にカバー曲を歌う時に、喜んでもらえるのはテレサの曲かな? と選曲することが多い。イントロが流れるだけで盛り上がり、オジサマ、オバサマ達が一緒に口ずさみ、微笑んでくれる安心の選曲だからだ。
歌の主人公は皆、男心をくすぐる一途で可愛げのある女ばかり。女性にとっては女心を代弁してくれる曲であり、また男性にとってみれば、こんな女性と出逢ってみたいだとか、そういう甘い想いに酔いしれることができる歌なのかもしれない。
これから、もっともっと彼女の歌について紐解いていきたいと思う。
※2017年10月17日に掲載された記事をアップデート
2019.01.29
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