1月21日

ラウドネス史上最大の衝撃!見えない壁を打ち破った「撃剣霊化」

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ラウドネスのアルバム「DISILLUSION~撃剣霊化~」がリリースされた日
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photo:loudnessjp.com  

デビュー以来37年、紆余曲折を経て今なお精力的に活動を続ける日本の HM/HRシーンの頂点、ラウドネス。近年、再び海外進出まで果たしているのは、80年代の偉大なる功績が礎にあるからに他ならない。

その象徴的な事象が全米チャートを席巻した85年の『サンダー・イン・ジ・イースト』であり、マジソン・スクエア・ガーデンへの日本人初出演の金字塔であろう。実際、僕もリアルタイムでそうしたビッグニュースが届くたびに興奮してきた。けれども、僕が彼らの長い歴史の中で最も心を動かされたのは、個人的な最高傑作『DISILLUSION~撃剣霊化~』だ。

僕のラウドネスとの出会いは81年のデビュー時、ルパン三世でお馴染みの声優、山田康雄さんがDJを務めた『セレクテッド・アーチスト80』というFMラジオ番組での特集だった。初々しいメンバーのインタビューを挟んで、デビュー作からの楽曲が多数紹介されたのを記憶している。

エアチェックして何度も聴いたが、楽曲や演奏はともかく、洋楽の HM/HR と比べてクリアさや厚みに欠けた音像が気になって、正直本来の凄味を感じられずにいた。その後セカンド、サードと作品を聴き進めても、好みの楽曲は多いのにマイナスな印象は払拭されなかったのだ。これは当時、日本のメタル作品全般に対して感じたことで、例えば、ギターソロ前後の音量の差異の激しさやドラムの音の悪さ等に辟易させられることが多かった。

そんな僕の認識を変えたのが83年のライヴ盤『LIVE-LOUD-ALIVE LOUDNESS IN TOKYO』だ。ライヴ音源ならではのリヴァーヴの深い音像はスタジオ盤よりもクリアで奥行きがあり、これまでスポイルされていた楽曲本来の魅力がようやく伝わってきたからだ。次第にラウドネスへの期待が高まる中、彼らが新作を遂にイギリスでレコーディングするニュースが飛び込む。そして、待ちわびた日本の HM/HR ファンの元に届けられた作品が『DISILLUSION~撃剣霊化~』だった。

僕は高校受験を間近に控えていたがお構いなし、予約したLP盤を受け取るために地元のレコード店へ発売日に向かった。チャリンコで慎重に持ち帰り、針を落とした瞬間に受けた衝撃を僕は未だに忘れられない。

「クレイジー・ドクター」から、これまでとは次元の違う硬質な音の塊が壁のように襲い掛かってくる。その質感は洋楽の一流 HM/HR と全くヒケをとらないものだった。イエスの『ロンリー・ハート』を手掛けたエンジニアを迎えたサウンドは想像を遥かに超える世界レベルのクオリティで、バンドのポテンシャルを余すことなく表現しており、僕はあまりの興奮にわなわなと震え固まっていた。

音質の良さだけでない。線が細めだった二井原実のヴォーカルも見違えるように堂々としており、むしろ力強さすら感じさせた。樋口宗孝、山下昌良、高崎晃の3人も、超高速なテンポで畳みかける「エスパー」をはじめ、まさに火を噴くようなプレイで格段に進化を遂げていた。インスト「エクスプローダー」は、エディ・ヴァン・ヘイレンに対する日本からの回答のようだった。僕個人のハイライトは「ドリーム・ファンタジー」。日本的な哀愁が漂う旋律を伴ったジャパメタに、彼ら随一の名曲誕生を確信した。

全9曲約38分。心技体全ての充実が生みだした圧倒的な緊張感。世界に立ちはだかる分厚い壁を乗り越えて、日本メタル史上のマイルストーンとなる完璧な作品を完成させたのだ。

アルバムを引っ提げてのヨーロッパツアーはライヴドキュメント作『ユーロバウンズ』に克明に記録されている。本場のダイハードなメタルヘッズどもが最前列まで突進し、ラウドネスの轟音に本気でヘッドバンギングして拳を振り上げる様は、いつ観ても血が燃え滾る思いがする。

バウワウが82年にレディング出演で開けた風穴に彼らは巨大な旋風を送り込み、ヨーロッパのメタル市場を席巻したのだ。この破竹の勢いこそが、その後の全米進出の成功に繋がったことは想像に難くない。

『サンダー・イン・ジ・イースト』30周年をはじめ、近年アニバーサリーを祝う企画が目白押しだ。2019年には35周年を迎える『DISILLUSION~撃剣霊化~』でも、ぜひ何か実現させてほしい。この史上に残る名作に改めて敬意を払うことで、ラウドネスの世代を超えた更なる進撃に期待を寄せていきたいのである。

2018.05.12
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  YouTube / nuh27879


  YouTube / lauro martins
 

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カタリベ
1968年生まれ
中塚一晶
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