2月24日

早すぎたシティポップの歌姫「ラ・ムー」菊池桃子

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ラ・ムーは菊池桃子を中心に結成されたバンド、アレンジャーは新川博


子供の頃、カルロス期のオメガトライブにどハマリしていた私。その後は杉山清貴&オメガトライブや杉山清貴ソロにもハマり、一通り聴いてきた。オメガトライブ、杉山清貴、池田政典らが所属していたトライアングルプロダクション藤田社長が企画した映画『アイドルを探せ』も、1987年の公開当時リアルタイムで観に行った。

菊池桃子のお兄ちゃん役が杉山清貴、相手役が池田政典という記憶まであるのに、菊池桃子が当時トライアングルプロダクション所属だったと知ったのは最近になってから… ラ・ムーに関しても、歌番組やCMなどで耳にした程度だったが、「ケモノディスク」の活動を通じて知り合った新川博さんがラ・ムーの編曲をされていたことから、音源を聴いてみることにした。

以前のコラム『80年代と90年代を繋ぐ音楽、オメガトライブから渋谷系へ』で、「大人になってからの音楽の好みは、13歳頃聴いていた音楽で形成される」と書いたが、オメガトライブを通じ新川さんの音楽に触れてきた私の耳に、ラ・ムーがフィットしない訳はなかった。

アイドル菊池桃子のロック宣言、ブラコン要素を取り入れた本格サウンド


それまでアイドルだった菊池桃子が、ラ・ムー結成の記者会見で急にロック宣言をしたことや、奇抜な衣装、彼女のぎこちない踊りなど、ネタ的に取り上げられることの多いラ・ムーだが、そのサウンドは本格的だ。当時アメリカで流行っていたブラコンの要素を取り入れ、オケはタイトで黒い。

■ ギター:ポール・ジャクソン・ジュニア、マイケル・ランドウ
■ ベース:ネイザン・イースト
■ ドラム:ジョン・ロビンソン
■ ホーンセクション:ジェリー・ヘイ

カルロス期のオメガトライブ『be yourself』と同様、リズム録りの段階からロスでレコーディングされ、世界トップレベルのミュージシャン達が演奏をしている。

ちなみに菊池桃子のバックでコーラスをしていた2人の女性(ロザリン・キールとダレル・ホールデン)は、新川さんがロサンゼルスでオーディションをして日本に連れてきたそうだ。フランク・シナトラやポール・マッカートニーなどもレコーディングで使用した、由緒正しきキャピトル・スタジオでオーディションは行われたが、日本に引っ越して仕事をしてもらうよう口説き落とすのが大変だったらしい。

一十三十一「愛は心の仕事です」をカバー、ラ・ムーとシティポップの親和性


ここ1年程、都内各地で開催されているシティポップ関係のDJイベントに顔を出すようになったが、フロアにラ・ムー好きが多いのに驚いた。2018年4月の『レコード・ストア・デイ』でラ・ムー唯一のアルバム『Thanks Giving』が再発されたことも、音楽にアンテナを張っているポップス好きからの人気の高さを証明していると思う。『レコード・ストア・デイ』のディスクレビューでは「80's ジャパニーズ・ブギーとして国内外で再評価高まる作品の中でも、完成度 / レアリティはトップクラス」と評されていた。

ここ数年盛り上がっているシティポップブームの火付け役のひとつは、一十三十一のアルバム『CITY DIVE』(2012年)だと思っているが、ラ・ムーを聴いて感じたのはそれに通じるアーバンな空気感だ。菊池桃子のウィスパーボイスも今の時代に聴くと、とてもシティポップな雰囲気を醸し出している――。

作詞家・売野雅勇さんの活動35周年を記念し、2017年に発売されたコンピレーションアルバム『真夏のイノセンス 作詞家・売野雅勇 Hits Covers』で、一十三十一がラ・ムーの「愛は心の仕事です」をカバーしたことで、ラ・ムーと現代のシティポップとの親和性をより強く意識するようになった。

カバーの編曲もオリジナルと同様、新川さんが行っているが、一十三十一との相性は抜群だ。2016年にDU BOOKSから出版された『ニッポンの編曲家 歌謡曲 / ニューミュージック時代を支えたアレンジャーたち』でも新川さんは「洗練されたアレンジを聴かせるアーバン・マエストロ」として紹介されている。

小室哲哉も驚いたバリバリのブラコン、ラ・ムーは早すぎた?


Perfumeのような曲もあったりと現代のリスナーにも違和感なく受け入れられる素地があり、現代においてもラ・ムーのサウンドは全く錆びついていない。もし、ラ・ムーが活動を続けていたら、一十三十一のようなポジションになるのかな… と想像してみたりもする。

再結成ブームの昨今だが、一十三十一やPerfumeと同じステージに立つ「ラ・ムー」菊池桃子を、一度でいいから見てみたいものだ。

90年代に日本の音楽シーンを席捲した小室哲哉がラ・ムーを見て「こんなブラコンバリバリのサウンドに、女性アイドルを組み合わせていいのか!?」と驚き、華原朋美や篠原涼子のプロデュースに繋がったという話もある。

80年代後期、バブル真っただ中の日本人には、ラ・ムーは早すぎたのかもしれない。
※2019年2月24日、2021年2月24日に掲載された記事をアップデート

2021.07.16
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カタリベ
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