3月23日

みんなが待ってたミック・ジャガー!入国できない最後の大物、来日狂騒の記憶

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ミック・ジャガーの初来日公演・東京ドーム(2日目)が行われた日
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ミック・ジャガーが来日する!

大学のサークル仲間が、そのニュースに色めき立ったのは冬のとある寒い日だった。

所属していたサークルにはロック好きが集っていた。とはいえ好みはそれぞれバラバラ。パンク好きも、ハードロックのファンも、インディーズに夢中な人も、自分のようなニューウェーブ・オタクや、当サイトの主宰者、太田氏のようなブラックミュージック愛好家もいた。それでも、どういうワケか皆が皆、ローリング・ストーンズが大好きだった。

当時のストーンズはミックの大麻不法所持による1973年の来日公演中止のために、日本ではライブを観ることができない最後の大物と思われていた。そんな中で、もっとも入国が難しいと思われた人がやってくるのだから、色めき立たずにはいられない。ソロでの来日公演とはいえ、ストーンズの曲もやるだろう。行くしかないだろう!

一方では、“ミックだけじゃ、ストーンズじゃねーよ” などとスカしている人もいた。当時リリースされていたミックの二枚目のソロアルバム『プリミティヴ・クール』がストーンズファンには微妙な内容だったこともローテンションの理由だったろう。だが、この際どうでもいい。自分としては、とにかくストーンズのかけらを生で感じたかったのだ。

そんなこんなで1988年3月23日、サークルの有志数名でオープンしたばかりの東京ドームへ。公演2日目ということもあり、場内は思ったよりも落ち着いたムードだったが、こちらは初見だから高揚している。

照明が落ちた瞬間にテンションはさらに上がり、「ホンキー・トンク・ウィメン」のイントロでいきなりクライマックスが! これを筆頭にストーンズの曲が思った以上に多いのが嬉しかった。アンコールの「悪魔を憐れむ歌(Sympathy for the Devil)」ではミックが日本版悪魔というべき般若の面をかぶって登場。ティナ・ターナーの飛び入り競演にもシビれたし、とにかく楽しんだ。

会場全体を見回してもボルテージはかなり上がっていたのだが、ちょっと寂しかったのはソロアルバムの曲をプレイしたときとのギャップ。『プリミティヴ・クール』からの曲になると、トイレに行ったり、ビールを買いに行ったりする人が途端に増えて、通路がワサワサし始める。しょうがないと言えばしょうがないのだが…。

改めて一歩引いて『プリミティヴ・クール』を聴くと、そんなに悪くないアルバムだ。「スローアウェイ」のような正統派ロックナンバーもあれば、ファンクや R&B の要素もあるし、シンセを駆使した曲もありバラッドもしっかりキメる。ストーンズでは出来ない多彩さを追求したミックの意図が伝わってくる。

ストーンズのサウンドは基本的にキース・リチャーズのブルース愛を軸にしているが、そこに流行を踏まえて多種エッセンスを注入するのが、音楽の趣味の広いミックの役割だ。とにかく、いろんな音楽にアンテナを張っているのがミックのいいところで、その多彩さの表われが『プリミティヴ・クール』だった。そして多彩だからこそ、わがロックサークルの誰にでも愛されたのだろう。

この日のライブは後に TV放映されたが、冷静になって聴くと、確かにストーンズのサウンドとは全然違う。バックの演奏が上手過ぎて隙がない。だが、それはやっぱり別物で、ストーンズの曲はストーンズで聴きたい… その願望は2年後にかなうのだが、それについてはまた後日。

2019.03.03
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カタリベ
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