2020年 12月12日

ブーム再燃!令和の少年隊現象を検証する 〜 いまなぜ “少年隊 すごい” のか?

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昭和~平成~令和… 少年隊が注目される理由とは


「最近の少年隊ブームについて」――。編集部からの “お題” である。訊けば「少年隊 すごい」「ニッキ 美しい」といったキーワード検索から、当サイト(リマインダー)にアクセスするユーザーが増えているらしい。それだけ関心を持っている人が多いということだろう。

だが少年隊に関しては、2020年12月にニッキ(錦織一清)とカッちゃん(植草克秀)がジャニーズ事務所を退所して以来、いくつもの記事や番組で彼らの魅力や功績が紹介されてきた。昨年暮れには『令和の少年隊論』(アチーブメント出版)も出版されている。「今さら自分が述べることなど、ないのではないか?」。お題をいただいたときはそう思った。が、考えを改めた。

皆が皆、番組を視聴しているわけではないし、本を買うのはファンの人が中心のはず。この時代、何かのきっかけで少年隊に興味を持ったら、まずネットで関連情報を収集するに違いない。実際、そうやってリマインダーに辿り着くユーザーが多いのであれば、たとえ同じような話であったとしても、彼らの素晴らしさを伝える記事は多い方がいいし、できればそれを読んで “沼” に落ちてほしい――。そう思ったのだ。

ショービジネスの本場アメリカで実力を蓄えた少年隊


何を隠そう、いや、隠したことは一度もないが、筆者は昔から少年隊のファンである。ニッキとは同い年で、カッちゃんとヒガシ(東山紀之)は1学年下。彼らを初めて認知したのは高校時代で、レコードデビューまでに時間をかけて成長していく過程をリアルタイムで目撃した。その頃から人気があった3人はテレビ番組や映画、CMに出演する合間を縫って、たびたび渡米。マイケル・ジャクソン「スリラー」(1982年)の振り付けを手がけたマイケル・ピータースに師事し、米国のテレビ番組にも複数出演するなど、ショービジネスの本場で実力を蓄える。

当時の雑誌には全米デビューに関する話も掲載されていたから、「日本発、世界行」のキャッチフレーズも納得。満を持して「仮面舞踏会」(1985年)で本格デビューしたときは、その卓越したダンススキルに度肝を抜かれたものだ。それまでは同性のアイドル、特にジャニーズのタレントを好きだと言うのは憚られる雰囲気もあったが、素直に認められたのは同世代としてのシンパシーと、歌・ダンス・ビジュアルの3拍子揃ったハイスペックぶりに圧倒されたから。

ちなみに3人の中ではニッキ推しで、造形の違いも顧みず、髪型やファッションを真似していた。当時、ジャニーズ御用達だった青山の古場伸佳美容室に通い詰め、新曲が出るたびに振り付けを必死になって覚えて友人の前で披露していたのは若気の至りであったが、今となっては懐かしい想い出である。

そんな筆者だけに、どうしても贔屓目になってしまうのだが、少年隊の魅力を語る前に、昨今の「少年隊ブーム」の盛り上がりを客観的なデータで検証しておきたい。

アルバムチャートにランクイン! 少年隊「少年隊 35th Anniversary BEST」


まずCDのセールスは、2020年12月にリリースされたCD3枚組のベストアルバム『少年隊 35th Anniversary BEST』がオリコンのアルバムチャートでデイリー1位、週間4位を獲得。週間でトップ10入りするのは『PLAYZONE’89 Again』以来、実に31年ぶりのことであった。さらに2021年10月に発売されたニッキの4曲入りソロシングル「Café Uncle Cinnamon」は同チャートでデイリー5位、週間24位をマーク。前作「夜明けのレジェンド」(1994年)が週間で最高61位だったこと、今回の収録曲がいずれもノンタイアップだったことを考慮すると大健闘といっていい。

次にネット上でのバズり具合。たとえばGoogle検索数は世の関心を反映する指標の1つといえるが、2020年9月20日、ニッキとカッちゃんの退所報道が出ると、「少年隊」の検索数は過去15年間で最高を記録する。その後も以下のポイントで検索数はたびたび上昇。Twitterでも、その都度「少年隊」をはじめ「錦織一清 / ニッキ / ニシキ」「植草克秀 / カッちゃん / かっちゃん」「東山紀之 / ヒガシ」といった関連ワードがトレンド入りしている。

■ 少年隊関連の検索数やツイート数が急増した時期と出来事
■ 2020年12月12日:35周年記念ベスト盤のリリース
■ 2021年1月8日:『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)にヒガシが出演。少年隊を語る
■ 2021年1月16日:カッちゃんがFC設立。公式サイトと、Twitter&インスタのアカウントを開設
■ 2021年3月6日:『中居正広のダンスな会』(テレビ朝日系)で少年隊が絶賛される
■ 2021年4月23日:ニッキがFCを設立。公式サイトとTwitterアカウントを開設
■ 2021年5月20日:有志のファンが企画した少年隊の楽曲だけを流す番組『It’s SHOWTIME』(ラジオ大阪)放送開始
■ 2021年9月16日:YouTube公式チャンネル『ニッキとかっちゃんねる』開設
■ 2021年10月29日:ニッキのソロシングル「Café Uncle Cinnamon」リリース
■ 2021年12月12日:カッちゃんのディナーショーにニッキがサプライズ出演 / 『令和の少年隊論』出版
■ 2022年1月6日:『報道RUNNER』(関西テレビ)の「昭和ポップス人気再燃」コーナーにニッキが出演。局のYouTubeチャンネルで動画公開
■ 2022年1月15日:『歌謡スクランブル』(NHK-FM)で90分の「少年隊特集」放送
■ 2022年1月29日:『中居正広のダンスな会』(テレビ朝日系)で再び少年隊とニッキが絶賛される

興味深いのは、メディアで話題になるたびにYouTubeの検索数も上昇していること。少年隊の楽曲は残念ながら配信されていないので(2022年2月現在)、音源を聴くには手元のCD / レコード / カセットか、YouTubeを利用するしか手段がない。その影響もあるだろうが、歌とダンスがセットになった彼らのパフォーマンスに対する注目度を示す現象と言っていい。

そのYouTubeでは2人の退所以来、少年隊に関する動画が急増。過去の歌唱映像のみならず、一般人の「踊ってみた」動画や、歌謡曲マニアによる「少年隊のここがすごい!」分析などが多数投稿されている。かねてからファンを自認し、今でも「少年隊こそジャニーズ最終兵器」と信じている筆者にとっては誠に喜ばしい状況だが、ここからはブーム再燃の背景と理由を考察したい。

注目を集めた、錦織一清と植草克秀の事務所退所とソロ活動


きっかけは2人の退所と、その後のソロ活動にあることは間違いない。ジャニーズ時代はミュージカルシリーズ『PLAYZONE』(1986~2008年)が後輩に引き継がれて以来、少年隊としての表立った活動がなかっただけに、ファンの間では飢餓感があったはず。退所後に揃ってSNSを解禁し、近況を窺うことができるようになったのも新鮮に映っていることだろう。

ニッキは舞台演出とシングルの発売、カッちゃんはディナーショーやコンサートツアーの開催と舞台初演出等、それぞれ充実したソロ活動を展開しているほか、YouTubeのコラボチャンネル開設やディナーショーでの共演などで、メディアに登場する機会が増えた。事務所に残ったヒガシも、ファンの呼びかけによって始まった少年隊専門のラジオ番組『It’s SHOWTIME』にコメントを寄せるなど、折に触れて少年隊への想いを語っている。それらが少年隊の認知と再評価の追い風になっていると言えそうだ。

とはいえ、それだけではブームに繋がらない。メディア露出の増加で少年隊を知り、YouTubeで動画を検索した平成生まれの若者たちにも「すごい!」と言わしめるのは、時代や世代を超えた普遍的な魅力があるからにほかならない。筆者はそのポイントは3つあると考える。

令和の少年隊ブーム・要素その1:楽曲のよさ


1つは楽曲のよさ。これは少年隊に限らずだが、ジャニーズの音楽は一流の作家陣の粋を集めた作品が多い。なかでも少年隊は、故・ジャニー喜多川が初代ジャニーズ(1962~1967年)、フォーリーブス(1967~1978年)に次いで世界進出を視野に入れて徹底的に英才教育を施したグループ。生前「僕の最高傑作は少年隊」と言っていたと伝えられるだけのことはあり、特に良曲が揃っている。

職業作家では筒美京平、服部克久、馬飼野康二、宮下智、林哲司、井上ヨシマサ、松本隆、秋元康、康珍化、松井五郎…、シンガーソングライターでは山下達郎、飛鳥涼、杉真理、広瀬香美…、アレンジャーは船山基紀、新川博、馬飼野康二…。錚々たる顔ぶれから提供された楽曲は、歌謡曲、ディスコ、ロック、ジャズ、EDMなど、古今東西の音楽のおいしい要素を巧みに取り入れ、いずれもキャッチーなポップスに仕上がっている。アルバム曲も含め、ジャニーズの後輩たちによって歌い継がれている佳曲が多く、10代・20代にも聴き馴染みのある作品が多いのも強みといえる。

令和の少年隊ブーム・要素その2:パフォーマンスの素晴らしさ


2つ目は―― これが最大のポイントだが―― パフォーマンスの素晴らしさ。特にダンスは後輩たちが「神様」と崇めるニッキを筆頭に(ほかの2人も「ニシキが一番うまい」と認めている)、キレでも、優雅さでも、専門家を唸らせる実力を有している。バレエ、ジャズダンス、タップ、ディスコ&ソウル、ストリート、アクロバティックなど、ダンスのあらゆる要素をほぼ網羅し、そのすべてで完成度の高い踊りを見せられるのは、新しいダンスが次々に登場した時代に居合わせた幸運もさることながら、デビューまでに基礎をみっちりと仕込まれ、それが22年間続いたミュージカル『PLAYZONE』でさらに磨かれたからといえる。

2010年代に学校の授業でダンスが必修化されたことも手伝って、近年は海外で活躍する日本人ダンサーは珍しくなく、音楽界でもダンス&ボーカルユニットが一大勢力を形成するに至っている。しかしその多くはボーカリストとダンサーが分かれていたり、口パクや被せだったり、生歌でもユニゾンだったり…。個人のスキルでは世界的なダンサーはいても、メンバー全員が歌って、踊って、ハーモニーまできちんと聴かせるグループとなると、あまり見当たらないという現実がある。

だが少年隊はそこもクリアしていた。K-POPを筆頭に圧倒的なパフォーマンスに接する機会が多く、ダンスを見る目に長けた若い世代をも魅了するのはその点が大きいに違いない。生放送の歌番組で、バク転・バク宙は当たり前。間奏ではレコード音源にないアレンジで激しいダンスを披露し、息切れすることなくハーモニーまできっちり聴かせる。そんなパフォーマンスを見せられたら痺れるに決まっている。ダンスのすごさに隠れがちだが、歌もしっかりしているのが少年隊の魅力。だからこそ「少年隊 すごい」で検索するユーザーが多いのだろう。

余談になるが、ニッキ推しの筆者がそのすごさを実感した曲がある。それはシングル初のバラード「君だけに」(1987年)。サードシングル「ダイヤモンド・アイズ」(1986年)以降、難度を高めていくダンスに振り真似を諦めていた筆者は「これなら楽勝」とビデオを観ながら練習を始めたのだが、ヒガシが歌うバックで優雅に踊るニッキの美しさは1ミリも再現できなかった。体幹の強さからくる軸のぶれないスピンに、滞空時間の長いジャンプ。激しいダンスは誤魔化しが利くが、スローなダンスこそ地力が問われるのだと、素人ながらに思い知ったのである。おそらく「ニッキ 美しい」で検索した人はビジュアル面だけでなく、動きの美しさにも惹かれているのではないか。

令和の少年隊ブーム・要素その3:キャラクターの魅力


話を戻そう。3つ目はキャラクターの魅力だ。男気のあるニッキ、おおらかなカッちゃん、クールなヒガシで構成された少年隊はデビューしたときから浮ついたところがほとんどなく、アイドルというよりはエンターテイナーという空気を纏っていた。デビュー曲「仮面舞踏会」こそ、人称代名詞は「俺」「お前」だったが、その後のシングルでは一貫して「君」「あなた」「僕」の歌を歌唱。衣装もカジュアルというよりはフォーマルなものが多かった。“ガキくささ” や “やんちゃ” とは無縁の、ジェントルでエレガントな世界観が違和感なくハマっていたのは3人の上品さ、スマートさがあったからだと考える。

図らずも筆者は昨年、ニッキに初めて取材を行い、その後は自身が担当するラジオ番組でもゲストに迎える幸運に恵まれた。そこで明かされたのは、王子様的なキャラを演じることに本人は抵抗を覚えていたという事実。下町育ちで寅さんや永ちゃんを敬愛する男には居心地が悪い場面もあったようだ。それでも長年ジャニーズに所属していたのは、恩師・ジャニー喜多川との絆があったからだと思われるが、演者としてプロに徹したこと、そしてジャニーズ以外の仕事も増え、自分がやりたいこととのバランスが取れていたことも挙げられよう。

将来、カッちゃんやヒガシにも話を伺いたいところだが、とにもかくにも少年隊は2人の退所でひとつの節目を迎えた。芸事にストイックな彼らのこと、これからも三人三様の活動で新たな魅力を訴求していくに違いない。ファンとしてはいつか、たとえ一夜限りでも3人揃ってパフォーマンスする姿を見てみたいが、それまでに是非、全音源の完全復刻や配信、そしてジュリーやヒデキのように、テレビ歌唱映像の商品化も実現させたい。少年隊はそれだけの価値がある、日本の誇るべきエンターテイナーなのだから。

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