2023年 3月22日

中谷美紀「MIND CIRCUS」収録!これはシティポップじゃなくてシティミュージック?

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コンピレーションアルバム「City Music Tokyo parallelism」がリリースされた日
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シティポップの再評価「City Music Tokyo parallelism」


今やスッカリ世界的ブームになり、TVのワイドショーのネタにも取り上げられるシティポップ。しかし悪戯にブームが拡大してしまったがゆえの弊害もあって、世代や考え方次第で評価軸にも大きなブレが発生している。特に海外から逆輸入されたシティポップは、若いDJ諸兄がフロアで人気を高めてきたため、まずグルーヴありき。テクノもシンセポップも歌謡アイドルも踊れりゃOK、なんて風潮がある。

それを進化のプロセスや歌詞を重視するリアルタイム世代が批判する構図だ。でもこれは一方が正しいのではない。時代の潮流を鑑み、互いに理解を深めることこそ重要だ。

そこでオススメしたいのが、シティポップ再評価の源流のひとつ、ユニット・流線形の主宰者クニモンド瀧口選曲・監修によるコンピレーション・シリーズ『City Music Tokyo』である。先般、その5作目『City Music Tokyo parallelism』が発売された。

シティ “ポップ” ではなく、シティ “ミュージック”


「都会・音楽・東京」をテーマに、今こそ聴いて欲しい隠れた名曲にスポットを当てるこのシリーズ。通底する特徴は、シティ “ポップ” ではなく、シティ “ミュージック” である点。つまりジャンルとしてのポップスではなく、都会のサウンドにこだわって、和製AORやジャズ系もあれば、ニューウェイヴやテクノポップ系も同居する。時代とマッチした都会の音こそが、クニモンド氏が提唱する “シティミュージック” だ。

その上でこの『City Music Tokyo parallelism』を見ると、レーベル枠を超えた充実のセレクトになっていて、初CD化曲や長期に渡って入手困難な楽曲、未配信トラックなど、ここでしか聴けない好曲が多数収められている。

坂本龍一プロデュース、中谷美紀「MIND CIRCUS」


アルバムは、今や大物女優としてすっかりお馴染み、中谷美紀が坂本龍一プロデュースで96年に発表した「MIND CIRCUS」でスタート。Chocolate LipsやPAZZで活躍した実力派シンガー、藤原美穂が歌うPas De Chat「2度目のファースト・ラブ」と、80’sらしいハネたポップチューンが続く。佐藤聖子も90年初頭のガールポップムーブメントの中から登場したシンガー。「地上9mの宇宙」は96年発表のシングルカップリング曲だった。

4曲目から少し雰囲気が変わり、ゆったりしたミディアムが続いていく。GWINKOは沖縄アクターズスクール第1期生で、86年デビュー。「雨よ優しく」は5作目『東京UKIUKI GIRL』(91年)からのチョイス。メロウな隠れ名曲、浜本沙良「COOL WATER」は、作曲が山口美央子、プロデュースが有賀啓雄という、共にソロ作がある実力派が携わっている。“リトル・ダイナマイト” の異名を持つMINNIE「Like A Rainbow」は、88年に出た彼女のメジャーデビューシングル。セクシーな歌詞と艶っぽい歌声で聴き手を「Melty」させる川口雅代は、シンガーソングライターからタレント、ジャーナリストまでこなす才色兼備のマルチタレントだ。



ソフィア・ローレンの姪っ子、アレッサンドラ・ムッソリーニ


そして「tO→Kio(トーキオ)」は、シンガーソングライター青羊(あめ)のソロユニット、”けもの” のアルバム『めたもるシティ』(17年)から。プロデュースがジャズミュージシャンの菊地成孔なのに驚くが、81年発表「Melty」と35年の開きがあるのに、質感はほとんど変わらない。そのセレクトの妙に最も驚かされる。

哀愁のメロウダンサー「甘い記憶」をカタコトの日本語で歌うのは、アレッサンドラ・ムッソリーニ。その名の通り、イタリアの大物政治家の孫娘で女優ソフィア・ローレンの姪っ子だが、実は医師免許を持つ才媛で、90年代以降は政治活動を行なった。日本で82年に発表した『アモーレ』より。続く「ああ無情」は、シンガーソングライター谷口雅洋の81年シングル曲。クールなトラックが多い当コンピにあって、一番熱気を孕むのがコレである。



マニアも納得! YMO関連ワークスをひとまとめ


後半はニューウェイヴ系テクノセクション。その一番手が、故・中西俊夫がプラスチックス解散後に組んだMELON。収録曲「P.J.」は彼らのファーストシングルで、当時は化粧品CM曲だった。

高橋幸宏や一風堂・土屋昌巳も参加。その幸宏がプロデュースしたSUSAN「サマルカンド大通り」(82年)は、家電メーカーのキャンペーンソング。「鏡の中の十月」小池玉緒も、YMOの全面バックアップで知られる和製フレンチテクノ。



そして戸川京子「動物園の鰐 Nobody in town」は、ピチカート・ファイブ主宰・小西康陽の楽曲。コシミハル「パラレリズム」は細野晴臣とのコラボレーションで、YENレーベルでの2作目に収録の耽美的テクノ。そしてエピローグは、女性レゲエシンガー・RAMJAのロマンティックなデビュー曲「月と遊泳」で締め括る。

通して聴いて実感するのは、テーマ「都会・音楽・東京」を貫きつつもバラエティに富んだ楽曲を選りすぐり、絶妙な曲順で流れのままに聴かせてしまうことだ。それでいて、YMO関連ワークスをひとまとめしていたりと、マニアも納得させられる。

しかも時の流れを瞬時に超越する部分もあれば、1曲目の中谷美紀が坂本龍一絡みであるように、裏方ミュージシャンのキャパシティの広さや音楽の進化をさり気なくアピール。そこから変わらぬモノを見つけてほしいという、クニモンド氏の狙いが透けて見える。大物アーティスト不在のコンピでも、音楽の価値に差はない。


■ City Music Tokyo parallelism 収録曲
01. MIND CIRCUS / 中谷美紀
02. 2度目のファースト・ラブ / Pas De Chat
03. 地上9mの宇宙 / 佐藤聖子
04. 雨よ優しく / GWINKO
05. COOL WATER / 浜本沙良
06. Like A Rainbow / MINNIE
07. Melty / 川口雅代
08. tO→Kio(トーキオ) / けもの
09. 甘い記憶 / アレッサンドラ・ムッソリーニ
10. ああ無情 / 谷口雅洋
11. P.J. / MELON
12. サマルカンド大通り / SUSAN
13. 鏡の中の十月 / 小池玉緒
14. 動物園の鰐 Nobody in town / 戸川京子
15. パラレリズム / コシミハル
16. 月と遊泳 / RAMJA

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カタリベ
1960年生まれ
金澤寿和
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