7月20日

プリンス流儀のウッドストック、サイケでファンクな「ラズベリー・ベレー」

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プリンス&ザ・レヴォリューションのシングル「ラズベリー・ベレー」がビルボードHOT100で最高位(2位)を記録した日
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photo:Discogs  

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Raspberry Beret / Prince & The Revolution


アルバム『パープル・レイン』(84年)で人気絶頂期を迎えたプリンスが打った次なる一手は、ポップなサイケファンク / ロックへとアプローチしたアルバム『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』(85年)だった。

80年代のプリンスレパートリーにおいて『アラウンド~』はというと、最も共有感の高い「パープル・レイン」や「ビートに抱かれて(When Doves Cry)」「レッツ・ゴー・クレイジー」といった全米ナンバーワン曲を収録したアルバム『パープル・レイン』、同じく全米1位を獲得した「KISS」や「バットダンス」を収録した『パレード』(86年)、『バットマン』(89年)に比べたら、やや地味な印象のある作品なのかもしれない。

しかし「ラズベリー・ベレー」、「ポップ・ライフ」(85年7位)、「アメリカ」(85年46位)といった極めて典型的なプリンス流ファンクなヒットソングを輩出し音楽的にエポックメイキングな名盤と称され、80年代版『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(ビートルズ)と喩えられるほどの作品でもある。

多くのR&B / ソウルミュージックのアーティストがそうであるように、革新性を伴ったアーティストほど、連綿と継承される伝統を明白な敬意の下に同居させているもので、プリンスの『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』は、その傾向が最も強い作品だったといえるだろう。

平たく言うならば、あふれ出る創作意欲に任せるままに、スライ&ザ・ファミリー・ストーンを筆頭に、ジョージ・クリントン(一派のファンカデリックやパーラメント)、そしてやはりジェームス・ブラウンといった、先代ファンカーへの憧憬を惜しみなく表現したアルバムだったということだ。

そんな同アルバムから、第1弾シングルとして80年代43番目に誕生したナンバー2ソングとなったのが「ラズベリー・ベレー(Raspberry Beret)」(85年7月2位)である。

コアなプリンスファンからは、サイケでファンクな、まるで69年のウッドストックな雰囲気をそのまま再現したような『アラウンド・ザ・ワールド・イン・ア・デイ』の人気は非常に高い。中でも「ラズベリー・ベレー」は、そんな音楽的な背景をしっかりと伴いながらも、見事なプリンス流ポップミュージックに昇華されており、傑出したヒットソングとして捉えられている。

要するに80年代のプリンスレパートリーにおけるヒットソングの中での「ラズベリー・ベレー」は、突出した高い共有感を擁するわけではないが(決して低い共有感ではない!)、実に印象深く記録より記憶に残るような立ち位置にある作品だったということだ。

「ラズベリー・ベレー」や、90年代の「ザ・モスト・ビューティフル・ガール・イン・ザ・ワールド」(94年4位)みたいな作品を残していたからこそ、プリンスのレパートリー群は色あせることなく、永遠に輝き続けている… 私はそんな気がしてならない。

2018.01.10
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  YouTube / Prince
 

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カタリベ
1962年生まれ
KARL南澤
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