オールディーズが彩る名作ドラマ、木曜ドラマストリート・桃尻娘

実はどんな人気ドラマよりも記憶に残っているのが、高校３年生の男女の恋愛をリアルに描いた青春群像ドラマ「桃尻娘」だ。

この作品はフジの木曜ドラマストリートという枠で単発で放送されたのだが、私はそれを録画してその後20年以上 —— 気が向けば繰り返し何度も観ていたので、たぶん200回以上は再生している。

何がそれほど良いのかと言うと、セリフと感じないような自然な脚本と映像のセンスの良さ。もちろん私自身が主人公たちとほぼ同じ年齢であったし、新人類と呼ばれた自分たちの世代の気分にぴったり寄り添った内容だったからである。

あとは本編で使われている洋楽の選曲が抜群だったところ。使われた音楽はすべてオールディーズ（60～70年代の洋楽）。それを原盤のまま使うという大胆な演出も良かった。まるで音楽が主役でドラマは添え物と思えるほど音楽の使い方が絶妙だった。

ドラマのオープニングでは、スリー・ドッグ・ナイトの「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」が静かに流れ、放課後の教室にいる主人公の女子高生・玲奈のモノローグ（私、男を捨てると思う）。彼氏と２人しかいない放課後の教室で二人の会話が始まる。

玲奈「今日、生理あった。」
彼氏「今度から気を付けような。」
玲奈の心の声（気を付けてセックスなんかしたくない。最悪。おしまいだ。）

—— シーンの気分をすべて音楽で表現していく。
他にもビートルズの「ミスター・ムーンライト」、シェールの「悲しきジプシー（Gypsy's Tramps & Thieves）」、エルトン・ジョンの「ユア・ソング」、ビーチボーイズの「踊ろよベイビー（Do You Want To Dance）」、ジェファーソン・エアプレインの「あなただけを（Somebody To Love）」等々。

ドラマ全編に渡って名曲を惜しみなく使っていたのが恐ろしくクールだった。


An Old Fashioned Love Song / Three Dog Night
作詞・作曲：Paul Williams

2016.01.22