ちなみに、“お気に入りの唄” は同曲のサビのフレーズ「♪Making good things better」から分かる通り、オリビアの「きらめく光のように」(原題題:Making A Good Thing Better)である。杏里が「♪オリビアは淋しい心 なぐさめてくれるから」と歌うので、てっきり切ないナンバーかと思いきや、2人の愛が盛り上がるカントリー調の明るい楽曲。要は、同曲を聴きながら「♪いいえ すんだこと」と思い出を断ち切ろうとするヒロインを描いた失恋ソングが「オリビアを聴きながら」というワケ――。
話を戻す。オリビアが初めて米ビルボードで1位を獲得したのが、1974年にリリースされたシングル「愛の告白」(I Honestly Love You)である。5週連続1位の大ヒット。この辺りから徐々にカントリー路線からポップス路線に軸足を移していく。そして翌1975年、ビルボード誌から “気絶するほど美しいアルバム” と絶賛された『そよ風の誘惑』(Have You Never Been Mellow)と、同名シングルが発売される。同曲は日本でもスマッシュヒットして、オリビアはその清らかな歌声と共に、可憐な容姿も相まって、一躍アイドル的人気を博したのである。
There was a time When I was in a hurry as you are I was like you There was a day When I just had to tell my point of view I was like you
同映画で、オリビアは清楚系から、ちょい悪系まで、実に多彩なキャラクターを演じている。ファッションもフィフティーズ感満載で、髪型も変貌自在。まるで彼女はバービー人形のように映った(実際、商品化されて大人気を博した。今も中古市場で高値で取引されている)。時にオリビアは20代最後の年(※高校生の役だが、ハリウッドでは年齢±15歳までOKとされる)を迎え、かつての清楚系路線は飽きられつつあり、このイメチェンは大成功だった。劇中でトラボルタとデュエットした「愛のデュエット」(You're the One That I Want)も収録された映画サントラはビルボードを始め、日本を含む世界各国でチャート1位を獲得した。
MTVの時代、「フィジカル」で変革の道を選んだオリビア
だが―― 話はこれで終わらない。時代は1980年代を迎え、アメリカの音楽は大きな転換期を迎える。時に1981年8月1日―― バグルスの「ラジオ・スターの悲劇」(Video Killed The Radio Star)と共に、その新たな時代は幕を開けた。そう、“MTVの時代” である。それまでラジオが主導した耳で聴く音楽が、ミュージックビデオという映像で語られるようになった。かくして、シンディ・ローパーやプリンス、マドンナら、MTV時代の申し子とも呼ぶべき新たなスターが出現する。