本当かどうか知らないが、その昔ユーミンが作詞のネタを探しに、夜のファミレスに変装して行き、女子高生やOLの会話を盗み聞きしてトレンドを摑んでいたと聞いたことがある。もしその話が本当なら「さすがユーミン」と言わざるを得ない。
先日、犬同伴で入れるショッピングモールでカミさんの買い物をベンチに座って待っていた。私の足下には5歳になるトイプードルが暇そうに伏せている。するとそこに…
「ヤダー、ちょ、やばば~、この犬~」
倒置法とか体言止めとか、文法をまったく無視した女子高生四人組が近寄ってきた。
「さわっていいですか~?」
礼儀作法とか羞恥心とか、まったく無視したミニスカートの制服を着た女子高生だ。
「ああ、どうぞ。噛まないからなでても平気だよ」
噛むか噛まないかなど犬じゃないので分からないが、そんときゃ、そんときと適当に返事をした。
すると女子高生が群がって犬を触り始めた。買い物待ちで暇を持てあましていた犬は、遊び相手が出来たので、尻尾をはち切れんばかりに振り回し、これでもかと愛想を振りまいている。
「きゃわゆ~」
「ってかじわる~、この犬~」
何を言っているのか全く理解できない。
私はベンチに座っており、犬は地べたで伏せの状態で尻尾を振っている。女子高生がその犬の頭をなでようとすると、おのずとしゃがみ込まなければならない。
冒頭に書いたように、文法を無視する女子高生はミニスカートだ。
そうです、丸見えになるのです。パンツが(これが正しい倒置法の使い方です)。
しばらく僥倖にあずかった私と犬に別れを告げて、パンツ丸見えの女子高生は去っていった。
少女A「とりあ、たぱる?」
少女B・C・D「りょ!」
りょ? なにそれ?
ユーミンはどのようにしてこれらの会話からトレンドを摑むことができたのだろうか。恐らくそれが凡人とユーミンの差なのだろうが。
本当かどうか知らないが、1982年に発売された『PEARL PIERCE』というアルバムに収録されている「真珠のピアス」も、読者からの手紙が元になっているという。
2017.09.16
YouTube / 松尾周
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