8月17日

小田和正の名曲「君住む街へ」を生んだオフコース1987年のツアー

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オフコースの「TOUR 1987 as close as possible」日本武道館公演初日
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photo:SonyMusic  

初めてオフコースのコンサートを観たのは今から30年前の1987年8月17日(月)。4人になったオフコースの2年振り2回めのツアー『TOUR 1987 as close as possible』の日本武道館8公演初日のことだった。

伝説となった1982年6月30日の5人のオフコース最後の武道館公演から5年が経っていた。そしてこの8公演のいずれかが『OFF COURSE TOUR 1987 as close as possible』として映像ソフト化、2016年にはブルーレイにもなった。

オフコースのコンサートが映像でリリースされたのは、1982年の武道館コンサートとこれだけである。改めて両ソフトを見比べてみると、5人から4人になったオフコースの変容だけではなく、5年を経ての’80年代前半から後半への変化も見えてくるのだ。

ギターの鈴木康博が脱退したオフコースは、このツアーにキーボードの神本宗幸(元ツイスト)、そしてトランペットの富樫要、サックスの園山光博の3人を迎えた。ギターは増えず、音は特にキーボードで厚みを増した。より’80年代らしい音になったと言えるだろう。

それは大間ジローが叩くドラムサウンドにも顕著だ。’82年には無かった6角形の電子ドラム、シモンズが大間のドラムセットにしっかり組み込まれているのが確認出来る。正に’80年代の音そのものであるシモンズ。そもそも4人オフコースの’84年のデビュー曲「君が、嘘を、ついた」のイントロからシモンズが登場。新生オフコースを特徴付けていた。

ステージセットは5年前と同じ白色ながら曲線を多用しより洗練され、サポートメンバーを含むメンバー全員がゆったりとしたジャケットを身にまとっていた。5年の月日が、オフコースをも「’80年代仕様」に変容させたのである。

撮影にクレーンカメラが使われるようになったのも大きな変化で、ライヴ映像の迫力はぐっと増した。

コンサート本編は、同年3月に出たツアーと同名のアルバム『as close as possible』の曲を中心に、4人オフコースの曲と小田和正ソロ1曲だけで構成された。外部ミュージシャンも多用しメンバーの機会平等も目指したアルバムは率直に言ってまとまりに欠ける印象だったが、初めて生で観るオフコースはバンドとして堂々たる姿を見せていて、当時大学3年の僕は圧倒されるばかりだった。

そしてこの本編から12曲が映像ソフトに収められた(下記リンク参照)。しかし当然ながらコンサートはこれで終わりではなかったのである。

アンコール、聞き慣れたホーンの音に女性から悲鳴の様な歓声が上がる。「Yes-No」。遂に5人オフコースの曲が登場した。そしてダブルアンコールで「愛を止めないで」。一旦終わったと見せかけてまた始まるところまで5年前と同じだった。

続いて4人がキーボードだけをバックに「いつもいつも」を歌う。’78年の『FAIRWAY』でシークレットトラックとして世に出たこれも5人オフコースの曲。実は映像ソフトにも、クレジットはされていないが最後に収められている。

このソフト唯一の5人オフコース時代の曲は再びシークレットトラックとなったのか、と思いきや、実はソフトのジャケットの写真はこの曲を歌っている時のもの。厳密にはシークレットではないかも。因みにこの曲は1989年2月のオフコース解散コンサートでも最後に歌われている。

しかしこの夜はまだ終わらなかった。トリプルアンコールで「眠れぬ夜」、5人というか2人オフコース時代の曲。ロック調にアレンジされたこの曲でコンサートは終わった。映像ソフトでは歴史に埋もれてしまっているが、アンコールの4曲は全て5人(2人)時代の曲だったのである。

4人オフコースの曲だけで映像ソフトを構成したのはやはり自負と意地もあったのだろう。しかしこれから1年余りでオフコースは解散を表明する。このソフトは4人オフコース唯一のライヴ映像になってしまった。ソフトではエンドロールのシーンに、当時未発表の新曲「君住む街へ」が収められている。ツアーの途中に出来たというこの曲は日本武道館から会場で流されたというが残念ながら記憶が無い。

この曲は昨年2016年の小田和正のツアーのタイトルにもなり、最早スタンダードの地位を得ている。この名曲を生んだのが1987年のこのツアーであることは憶えておいた方がいいかもしれない。

2017.08.11
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カタリベ
1965年生まれ
宮木宣嗣
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