【THE ALFEE】50年の歴史 vol.4〜 コロナ禍を乗り越えて!あきらめない夢は終わらない
“あきらめない夢は終わらない” 2010年代以降、デビュー40周年、45周年、そして今年の50周年と、着実に歩み続けているTHE ALFEE。そもそもデビュー当時から一度も休まず、かつメディアにも出ながら音楽界の第一線で活躍しているミュージシャンはいない。それゆえ、そんなTHE ALFEEだからこそ成すことができた功績も数々存在する。
そう、彼らが長年自分たちやファンを奮い立たせるために用いている言葉がある。それは “あきらめない夢は終わらない” 。夢を語りながら、多くの人たちにエールや希望を与え続けている彼らのここ数年の活動を振り返っていきたい。
2014年4月に坂崎幸之助と高見沢俊彦が、2015年1月に桜井賢が還暦という人生の大きな節目の年を迎えると、高見沢が手掛けるTHE ALFEEの作品の歌詞やサウンドに少しずつ変化が生まれた。歌詞の面では、キャリアを積んできた彼らだからこそ歌える人生観をうたったメッセージソングが増え、“自分のペースで頑張ればいい” という言葉が印象的だ。坂崎がメインボーカルの「人間だから悲しいんだ」(2017年)のように、とにかく頑張らなくちゃいけないと焦燥感に駆られがちな昨今に、夢の追いかけ方はゆっくりでも良いんだと説得力を持って背中を押してくれる。
一方サウンドの面では、彼らのルーツをふんだんに取り込んだ曲が多い。例えばアルバム『三位一体』(2015年)収録の「碧空の記憶」やシングル「The 2nd Life -第二の選択-」(2021年)のカップリング「光と影のRegret」では、“With our respect to GARO” と表明するように、下積み時代に特に世話になったという、先輩であるガロの世界観を美しいハーモニーにのせて表現している。
また、アルバム『Battle Starship Alfee』(2019年)収録の「Rock 憂」では、アルバム発売前年に大ヒットした映画『ボヘミアン・ラプソディ』に大きな影響を受けたのか、思いきり天に向かって拳を突き上げたくなるようなロックサウンドやコーラスの作り、桜井のフレディ・マーキュリーのような煽りを堪能することができる。クイーンとTHE ALFEEのデビュー年は実は1年しか違わないが、3人揃ってクイーン好きを公言しており、高見沢の『クイーンⅡ』推しは有名だ。
VIDEO このようにハードロック、プログレッシブロック、フォークソングなど、まるでジュークボックスのようにあらゆるジャンルをTHE ALFEEのサウンドに落とし込みながら体現できるのは、学生時代に3人で同じ時間を共にしながらたくさんレコードを聴き合いコピーをし、3人全員が他のメンバーから影響を受けてきたからこそ。それを現在進行形で続けられるのは毎年年間約60本近くの公演を全国で行うライブアーティストだからだろう。彼らにとってはその生活が当たり前のことだと思っているだろうが、そんな日々の賜物があらゆる日本記録を更新している。
武道館、グループでの最多公演回数を記録 まずは、ザ・ビートルズが日本公演を行なって以来、多くのミュージシャンがそのステージに立つことを夢見る日本武道館での公演回数が昨年2023年12月24日の公演時点で101回を達成した。この記録はグループでは最多公演回数とされ、海外アーティストで最多のエリック・クラプトンと僅差の公演回数を競い合っている。
次にライブの総回数を見てみると、THE ALFEEは『単独バンドグループによる日本最多累計コンサート数』という項目ですでに日本記録を樹立しており、コラム公開時の最新公演2024年7月7日時点で2,917本目を達成した。
その他、記録の面で印象的なのは、2018年に受賞したギネス世界記録。これは1987年から2018年までの31年間、関西テレビ系列で放送の『大阪国際女子マラソン』のイメージソングを31曲担当してきたことによるもの。『同一国際スポーツ大会のテレビ放送における同一アーティストによる最多テーマソング数』としてギネス世界記録に認定された。
新型コロナウィルス感染拡大の最中にスタートした「Come on! ALFEE!!」 きっとおそらくこの先誰も破ることのできない記録を残し続けているTHE ALFEE。しかし、このような驚異的な実績の陰で、乗り越えなくてはならない壁がいくつもあった。1つは、ムッシュかまやつ、大瀧詠一、谷村新司など、慕ってきた先輩ミュージシャンとの別れを経験することが多くなったこと。
そしてもう1つは、2020年からの新型コロナウイルスの流行だ。これにはTHE ALFEEも大打撃をくらった。彼らの生きがいであるライブ活動が軒並み中止せざるを得なかったのだ。また家族以外の人と接触することもタブー視されていたことから、メンバーの3人は、THE ALFEEを結成してから初めて約2ヶ月間会わなかったという。ソーシャルディスタンスをとらなければならない生活はすぐに終わるだろうと世間の誰もが思っていたが、待てど暮らせど解放されない日々が続いた。
しかし、そんな中スタートしたのが、配信企画『Come on!ALFEE!!』(2020年〜2023年)だった。なかなか有観客ライブができないなか、どうにかファンの人たちと楽しむことはできないだろうかという経緯で誕生した企画であるが、過去の映像をTHE ALFEEと一緒にリアルタイムで見たり無観客ライブを配信するなど、かなり好評な企画であった。
やがて世間の感染状況が緩和され始めてからは、いつも通りの3人の距離が近いトークライブが多くなり、2021年の暮れには有観客ライブを実施、2023年の春ツアーからは声出しも解禁された。今考えれば、THE ALFEEはファンに会えない時間もファンを楽しませることを第一に活動し、諦めなければどんな逆境でも乗り越えられることを証明してくれた。そう考えてみれば、この辛かった時間も重要だったのかもしれない。
コロナ禍が明けてからの新しい世界・生活様式を作り上げる思いをこめた「天地創造」 そしてデビュー50周年を迎えた2024年、通常の春・秋ツアーに加えて、多くのメディア出演や2日間の夏のイベント開催、シングルの発売、ベスト盤の発売、初となるトリビュートアルバムの発売が決まり、50周年を賑やかにお祝いするための「メリーアン音頭」、青森ねぶた祭りと秋田の竿灯祭りへの参加、全国の百貨店で展開予定のTHE ALFEE展の開催が決まっている。
コロナ禍でツアーが2年間空いたとしても決して立ち止まらず、諦めずに未来を信じれば道が開けてくれることを証明してくれたTHE ALFEE。その証拠に、先述の配信企画と最新アルバム『天地創造』(2022年)がある。ツアーが中止された期間に作られた楽曲たちで構成したり、レコーディングの形態も3人同時に録らないで別々に録音したりと、従来のことができないからやらないのではなく他の手段を考え、できることから形にして完成された。
コロナ禍が明けてからの新しい世界・生活様式を自分たちの手でつくり上げていく思いを込めて付けられたアルバムタイトルには、この先もまだ現役バンドで活躍していくぞという3人の強い意志が感じられる。まだまだファンの人たちを喜ばせてくれるような企画がありそうだが、何よりファンが嬉しいのはやはりメンバー全員がこれまでに大きな病気をせず健康でいてくれることだ。これからも幅広い世代に支持される生きる伝説バンドとして、日本の音楽界を盛り上げていってほしい。
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2024.08.13