1983年に大ヒットした「カモン・フィール・ザ・ノイズ」という曲を覚えてますか。アメリカのヘヴィメタルバンド、クワイエット・ライオットの『メタル・ヘルス』からシングルカットされた曲で、全米5位を記録している。ヘヴィメタルバンドの曲が、ビルボードチャートで5位以内に入ったのはこの曲が初めてだったらしい。 イントロ無しでいきなり “Cum on feel the noize. Girls rock your boys” と始まるこの軽快な曲は、深夜の音楽番組とかでもPVがよく流れていたので、ヘヴィメタルファンじゃなくてもきっと知っているはずだ。当時高校3年生の僕は、受験勉強で悶々としている中、現実逃避よろしくこの曲に夢中になったことを覚えている。 僕はかなりのヘヴィメタル好きではあったけど、「クワイエット・ライオット」というバンドは名前をなんとなく知っている程度、曲を聴いたのはこの曲が初めだった。すぐに調べてみた。そして気が付いた、そうか、ランディ・ローズが結成したバンドだったのか。だからなんとなく名前を知っていたんだと。 クワイエット・ライオットは不遇なバンドだ。結成されたのは1973年、「カモン・フィール・ザ・ノイズ」がヒットするちょうど10年前。結成当時の名前は「マッハ1」、後に「クワイエット・ライオット」に名前を変更している。ファーストアルバムの発売は1978年でセカンドの発売が1979年。この2枚のアルバムのリリースは何故か日本のみ、アメリカでのリリースには失敗し、母国では無名のまま、後のギターヒーロー、ランディ・ローズはオジー・オズボーンのバンドに移籍してしまう。 1983年、遂に念願だったアメリカデビューに成功。事実上のファーストアルバムと言っていい『メタル・ヘルス』が発売される。このアルバムの邦題は『メタル・ヘルス~ランディ・ローズに捧ぐ~』とあるように、既にランディは飛行機事故で他界しており、その意味からも注目され、ヘヴィメタルバンドとしてビルボードチャートの1位を記録する快挙を成し遂げる。結成から10年、やっとスターダムに上り詰めたわけだ。 アルバムセールスを1位にまで押し上げたのは「カモン・フィール・ザ・ノイズ」のヒットのお陰だ。でも結果的にこの曲がこのバンドが終焉を迎える原因になったのでは、と僕は思っている。そう、ご存知の方も多いと思うけど、この「カモン・フィール・ザ・ノイズ」は、クワイエット・ライオットのオリジナルではない、カバーだ。 オリジナルは、1966年に結成されたイギリスのロックバンド、スレイドの曲。スレイドは、1970年代のグラムロックブームの一翼を担いつつ、イギリスのヒットチャートを席巻したバンドだ。しかし、アメリカでのセールスは今一つだったところ、クワイエット・ライオットが「カモン・フィール・ザ・ノイズ」をカバーして大ヒットさせてくれた。これによりオリジナルへの注目度が上がり、スレイドは念願のアメリカでもヒットチャートを賑わすことになる。 クワイエット・ライオットは「カモン・フィール・ザ・ノイズ」で味をしめたのか、1984年にまたもスレイドのカバー「クレイジー・ママ」をリリースし、ヒットさせる。つまり、彼らにはオリジナル曲のヒットが無い。僕がスレイドというバンドの存在を知ったのもこの時で、それは彼らのお陰だけど、オリジナルの方がいいなぁ〜、と思ってしまった。 カバー曲で大ヒットが産まれてしまうと、その後が難しいと思いません? 結局彼らは、1989年に活動を停止することになってしまう。一発屋と言っては可哀想だけど、不遇なバンドだとは思う(その後活動を再開し今も頑張っています)。でも、「カモン・フィール・ザ・ノイズ」は今聴いても単純で軽快で堪らなくカッコいいロックンロール。当時を知らない若い世代の人が聴いても気に入るんじゃないかな。 さてと、僕はオリジナルのスレイドの方を聴くとするか(笑)。
2017.03.16
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