2月21日

インパクト抜群!秀逸なデビュー曲ベストテン【80年代アイドル総選挙】

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秀逸デビュー曲10作品を選出


デビュー曲とは――

活動を始めて最初に売り出す曲で、これによってデビューと見なされる楽曲

―― のことを指し示す。今回のランキングは、筆者の独断と偏見により「秀逸」とおぼしきデビュー曲10作品をを選ばせていただいた。「なんだ?俺のお気に入りアイドルの名前が見当たらねえじゃね~か」と嘆く貴兄殿!デビュー曲はイマイチだったかもしれないが、それ以降にリリースした楽曲において傑作を残したアイドルたちだっているのですヨ。



そもそもの話、昭和アイドルに関しては博愛主義を貫き通す筆者がゆえ、すべてのデビュー曲を同率1位にしたいのはやまやまでアリマシテ。…… が、ランキング形式にしてほしいとの要請を受けたもので、苦しみつつ、もがきながら選んだのが今回のベストテンということになるのである。

第10位:北原佐和子


デビュー曲:マイ・ボーイフレンド
作詞:堀川マリ
作・編曲:稲垣達志
発売日:1982年3月19日

女たのきんとして話題を集めたパンジーから、一番乗りデビューを果たした北原佐和子。デビュー曲が「マイ・ボーイフレンド」に決まるまでの経緯はマニア諸君ならご存じのとおり。そもそもは、加瀬邦彦作曲による「パっとパンジー」がデビュー曲として内定、佐和子嬢もたいそうお気に入りだったと振り返る。が、Ⓡマークが付いたであろうユニット名 ”パンジー” のひとりじめはNG? 事の顛末は定かではないが、代替としてその座に収まることになったのが「マイ・ボーイフレンド」だったというワケだ。

掴みはOKのイントロ、随所で施されたマンドリンの音色、楽曲全体にジワっと滲む哀愁味、「マイ・ボーイフレンド」というアイドル然としたタイトルなど、とにかく魅力満載だ。オレンジ色のワンピース、肩口に可愛らしいコサージュ、ふんわり聖子ちゃん風カットというビジュアル面も印象深く、思い起こしているうちに、今回のベストテンにランキングさせたいという欲望が頭をもたげたことをコッソリと自白させていただくことにする。

第9位:沢田富美子


デビュー曲:ちょっと春風
作詞:三浦徳子
作曲:小田裕一郎
編曲:大村雅朗
発売日:1981年4月1日

大学生を中心に人気を集めた沢田富美子は、渡辺プロダクションからデビューした聖子フォロワーの筆頭株(※79年にプレデビューあり)。所属はCBSソニー、担当ディレクターは若松宗雄という聖子ブランドの血統を色濃く受け継いだサラブレッドだったのだ。頭サビでカマされるハイトーンボイスは圧巻! 長い髪というチャームポイントを用いた歌詞、伸びやかな声質、そしてお嬢様チックな見た目が揃ったミス・パーフェクト。

雪印アイスキャンディー「ポップアップ」のCMとタイアップも付き、ぴょんぴょん跳ねる姿が可愛かったものである。が、あいにくヒットチャート上ではぴょんぴょんとはならず、まさかの100位圏外。これは全くもって不可解極まりなく、81年という年度についての「再検証キボンヌ」を声高に叫びたいところ。現在の富美子嬢は投資の成功により不動産王におなり遊ばせているがゆえ… 今さら昔のことなんてどうでもよいワ的ポップな♡(ラブ)フィーリングでお暮しなのかもしれないが。



第8位:本田美奈子


デビュー曲:殺意のバカンス
作詞:売野雅勇
作曲:筒美京平
編曲:中村哲
発売日:1985年4月20日

「なんじゃあ、こりゃああ!」

これは某刑事ドラマで一躍有名になったセリフだが、これが筆者の口から飛び出してきた瞬間が本田美奈子のデビュー曲「殺意のバカンス」を初めて聴いた時のことである。しかもデビュー曲のタイトルに殺意を持ってくるとは… 大胆すぎますワ。

本来のデビュー曲候補は、キャッチフレーズとお揃い、シングル2枚目として日の目を見た「好きと言いなさい」という楽曲だったが、美奈子嬢のご意向に添わせて「殺意のバカンス」を選定した―― というエピソードも残る。

デビュー当初から歌唱力がズバ抜けていた美奈子嬢のことだもの、このような曲を歌いたいという欲求は理解できるというものヨ。ひと夏のアバンチュール… 金のピアスを水に投げオトコに拾えと命じる悪女。その真意とやらは「拾えるものなら拾ってごらん。アタクシを落としたければね… オホホ」という、出来そうにもないことをあえて命じるドSモードがスイッチオンされた状態と言える。

アイドルのデビュー曲で、これだけアダルティでアグレッシブなテーマを扱った作品はそう多くはないのである。

第7位:小川範子


デビュー曲:涙をたばねて
作詞:川村真澄
作曲:中崎英也
編曲:萩田光雄
発売日:1987年11月25日

涙とは、どうやったら “たばねる” ことが出来るのだろうか? こんな疑問を投げかける楽曲が、小川範子のデビュー曲「涙をたばねて」である。意中の男性を今か今かとまちぶせする主人公…、その存在に相手は全く気づかない。それどころか、白い肌のオンナとやらを連れ立って楽しそうにしている場面を目の当たりにさせられ失意のドン底に突き落とされるという、なみだ涙のまちぶせ物語なのだ。

そんな主人公の指先にひとつふたつ、そしてたばねられた涙とやらはコートを脱いだ胸にさえ、あたかも蕾だけのブーケのように飾られているという…。表現力が必要とされるこの楽曲を歌いこなした小川範子は “さすが” としか言いようがない。幼少期から東京宝映に所属、子役として名を馳せた経験が十二分に活かされたとおぼしき雰囲気でムンムンしているのだ。哀愁を歌わせたら一二を争うと言われる所以、ここにありきを堪能できる楽曲だ。まぁ、そんな惨い場面に遭遇したら、誰でも「こわれる」わな。



第6位:甲斐智枝美


デビュー曲:スタア
作詞・曲:伊藤薫
編曲:船山基紀
発売日:1980年6月21日

日本テレビ『スター誕生!』から柏原芳恵の同期生としてデビューしたアイドル、甲斐智枝美。ニックネームはチェミィで、80年代もっともビキニの似合う女の子として人気を集め、雑誌グラビアでは引く手あまたとなったグッドプロポーションガールだ。

そんなチェミィのデビュー曲「スタア」は、80年代の皮切りに相応しいキラキラしたサウンドが特徴で、「KIRARI! 瞳が語る」というキャッチフレーズにピッタリのトゥインクルな雰囲気でいっぱい。どこか舌足らずでマシュマロみたいな甘さを醸し出すチェミィの歌声もアイドル然として実に愛らしいこの曲がイチオシだ!「いつでも答えはYESなのよ」。

“そそっ。NOという答えはないのさ”… と回答するマニアも多数存在!? また、この傑作が100位圏外という事実に仰天する人の数も、これまた大人数に上るのである。もっともっと輝いてほしい楽曲でもあるからして、圏外に甘んじた原因を真面目に究明すべきではなかろうか。「♪宇宙までFly〜」しているヒマなんかないのである。



第5位:中森明菜


デビュー曲:スローモーション
作詞:来生えつこ
作曲:来生たかお
編曲:船山基紀
発売日:1982年5月1日

花の82年組のひとり、中森明菜のデビュー日は同年5月1日。すでに3月から4月にかけて各レコード会社から有望な女性新人歌手が次々に送り出された後のことであり、時期的にはやや後塵を拝した感は否めなかったもの、日本テレビ『スター誕生!』では史上最高得点をマーク。デビュー曲はLAレコーディングという箔は付いていたものの、楽曲や見た目の落ち着き加減から来るものだったのか、新人歌手らしいフレッシュな雰囲気はやや希薄だったと言える。

が、ファーストアルバム『プロローグ〈序章〉』がデビュー曲のチャート動向に反して好調、ベストテン入りした辺りから、なにかが蠢きはじめた。「スローモーション」宣伝のため、とあるデパート屋上にやって来たのが筆者にとってのナマ明菜初体験である。伸びやかな歌声が、会場のデカいスピーカーから響き渡る…

 砂の上 刻むステップ 今あなたと共に…

胸底まで届くあの低い音、そしてピアノの調べに乗せ静かに迎えるエンディング―― この人はアイドルの器に収まる人ではない、歌姫と呼ぶに相応しい人になりそうだ―― と確信したあの日のことは今でも忘れないのである。

第4位:松田聖子


デビュー曲:裸足の季節
作詞:三浦徳子
作曲:小田裕一郎
編曲:信田かずお
発売日:1980年4月1日

世代交代とは―― 若年層が、年配の世代に取って代わること。組織や集団において人事が刷新され、若い年齢層が台頭すること松田聖子が1980年にデビューして以来、日本アイドル界の世代交代も一気に加速した。80年代という新しい時代の到来に合わせるかのように、それまで先人たちにより占拠されていた椅子の空席が目立ち始めたのである。

その空いた椅子にいち早く座ったのが聖子嬢であり、80年代に新風を吹き込んだ第一人者でもあるのだ。歌手デビューが決まるまではスッタモンダがあった。楽曲のタイトルが「プレヌーンの朝」→「ハイヌーンは熱く」と迷走したこともあった。が、プレヌーン… ハイヌーン… どちらもモヤモヤする。

荒削りながら、圧倒的な声量で迫りくる聖子嬢の歌声には ”裸足” という飾らない言葉がシックリきた。歌謡曲的な匂いを控えめにした歌詞とメロディ、時代に添わせた明るくフレッシュな曲調は、新陳代謝を待ち望んでいた歌謡界にとって ”もぎたての青い風” そのものになったというワケだ。

歌詞に出てくるキーワード ”エクボ” がお顔に見当たりませんが大丈夫? いや、そんなことは些細な事柄として片づけられ、聖子嬢は圧倒的な魅力とパワーをもってのしていくことになるのだった。



第3位:岡田有希子


デビュー曲:ファースト・デイト
作詞・曲:竹内まりや
編曲:萩田光雄
発売日:1984年4月21日

このタイトルから想像した作風… それはフワっとした愛らしい調べが紡ぐ、はじめてのデイトの情景を描いたもの。歌詞で描かれた世界は、たしかにそのような場面ではある。が、この楽曲のメロディーが湛える雰囲気は、筆者の想像からはかけ離れ、かなり右斜め上をいったのである。

マイナー調のコードが並ぶ譜面、タイトルとは相反するスリリングな趣、そして少し不安げな面持ちながらもプリンセスのように可愛い岡田有希子という新人歌手… わずか3分弱という短い構成でありながらも、はじめてのデイトの喜びと不安を交錯させる少女の想いを巧みに描き、その物語の中へリスナーをグイっと引き込んでいくパワーがあるのだ。

これはまさしく ”まりやブランド” の成せる業と言えそうである。ひとつだけ物申させていただくとすれば、“クラスで一番目立たない私” というご謙遜きわまりないクダリについてか。歌の中のことと分かってはいるものの「そんなはずねぇ~だろぉ~」とツッコミを入れたくなってしまう。ユッコだよ、ユッコ… ユッコみたいな可愛い女の子が歌うのに? まさしくソレな〜! なのである。

第2位:渡辺美奈代


デビュー曲:瞳に約束
作詞:秋元康
作・編曲:後藤次利
発売日:1986年7月16日

美奈代の「み」の字はみんなの「み」! みんなの、美奈代。おニャン子クラブ会員番号29番の渡辺美奈代は、ソロデビュー前から激かわいいと評判。うしろゆびさされ組「バナナの涙」で “その他大勢要員” としてチラ映りしていた頃から、そのキュートさは目立っていたものである。

そんな可愛い子が野放しにされるはずもなく、予想したとおりのソロデビューとなった際の楽曲が「瞳に約束」である。インパクト抜群のイントロにのっけからヤラれてしまう… それは “鷲づかみ” 以外のナニモノでもなく、爪でガシっと掴まれ空高く連れ去られてしまう小ネズミのような気分にさせられるのだ。

「ポップスの美味しいところをギュっと詰め込みました」というアピールを感じさせるアレンジも非常に良い。「♪はじめてだから〜」なんて奥ゆかしいことをウルっとした瞳で歌われたら、そりゃ大方の少年たちはイチコロになるわな。デビュー前としては異例となる武道館イベントに1万人を集めてしまった凄いエピソードも残るが、今でもアイドルチックに活動し続けるお姿を見るにつけ、アイドルになるべくして生まれてきた “みんなの、美奈代” そのものなのだと改めて感じてしまうのである。



第1位:斉藤由貴


デビュー曲:卒業
作詞:松本隆
作曲:筒美京平
編曲:武部聡志
発売日:1985年2月21日

「仰げば尊し」のような古典的卒業ソングとは趣を異にする、新しいタイプの卒業を歌う斉藤由貴という新星が登場したのは1985年のこと。その楽曲の歌詞には、少し距離を置いたところから卒業という2文字を見つめる少女が描かれていた。泣いたりはしゃいだりすることもなく、ただ卒業という儀式を冷静に眺めているのだ。

この楽曲でデビューした斉藤由貴のインパクトはもの凄かった。明星食品「青春という名のラーメン」のCMに出演するや否や「あの子は誰?」と話題騒然となり、あれよあれよという間にスターダムを駆け上がっていったのである。

が、それは成るべくしてなったのだと、今改めて思うのである。おくれ毛ありのポニーテールがよく似合う美少女が、両手でマイクを優しく挟みながら「卒業」という楽曲を静々と歌う。見た目にも華があり、大物感を漂わせる落ち着きぶりだ。

そして、言葉の魔術師・松本隆が紡いだ職業作詞家然とした歌詞、レジェンド・筒美京平による秀逸のメロディーを、アレンジャーの武部聡志がスパイスをふりかけて仕上げた。これが売れなかったら世も末… そう思わせる完璧さだ。時代だって、由貴に染まる… デビュー時のキャッチフレーズが訴えかけたとおり「卒業」は大ヒットして、時代はしばらく斉藤由貴の色に染まった。清純プリーズと要求する世の中のニーズに応えつつ… 斉藤由貴は、僕らに紛れもない胸さわぎを与え続けてくれたのである。

次点:菊池桃子


デビュー曲:青春のいじわる
作詞:秋元康
作・編曲:林哲司
発売日:1984年4月21日

もうすぐトップテンは以下のとおり。
注:「80年代アイドル総選挙」200名ノミネートリスト歌手のデビュー曲の中から選抜

岩井小百合「ドリーム ドリーム ドリーム」、伊藤つかさ「少女人形」、三田寛子「駈けてきた処女」、新井薫子「虹いろの瞳」、水野きみこ「私のモナミ」、岩崎良美「赤と黒」、松本典子「春色のエアメール」、浜田朱里「さよなら好き」、渡辺桂子「H-i-r-o-s-h-i」、河合その子「涙の茉莉花(ジャスミン)LOVE」、宇沙美ゆかり「蒼い多感期」、河合奈保子「大きな森の小さなお家」、堀ちえみ「潮風の少女」、内海和子「蒼いメモリーズ」、福永恵規「風のインビテーション」、沢田玉恵「花の精-わたしのON-AIR-」、早見優「急いで!初恋」、渡辺めぐみ「ときめきTouch Me」、高橋美枝「ひとりぼっちは嫌い」、吹田明日香「バ・ケー・ショ・ン」、村田恵里「オペラグラスの中でだけ」、徳丸純子「聖・ファーストラブ」、川島恵「ミスター不思議」、森下恵理「ブルージーン・ボーイ!」、伊藤智恵理「パラダイス・ウォーカー」、藤井一子「チェック・ポイント」、中山美穂「C」、八木さおり「瞳で片想い」、仁藤優子「おこりんぼの人魚」、伊藤美紀「小娘ハートブレイク」、渡辺満里奈「深呼吸して」、中村由真「ジレンマ」、真弓倫子「片想いグラフィティー」、坂上香織「レースのカーディガン」、中山忍「小さな決心」、吉田真里子「とまどい」、キララとウララ「センチメタル・ボーイ」、井森美幸「瞳の誓い」、山本ゆかり「私MAILUWA」、渡辺典子「少年ケニヤ」、水谷麻里「21世紀まで愛して」、田村英里子「ロコモーション・ドリーム」(順不同)

80年代アイドル総選挙 ザ・ベスト100

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2023.01.02
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カタリベ
1968年生まれ
チェリー|昭和TVワンダーランド
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