2023年 8月23日

クリエイション【竹田和夫インタビュー】⑥ 情報に振り回されず 信じる道をしっかりと!

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『クリエイション【竹田和夫インタビュー】⑤ バンドの充実〜解散を経てロサンゼルス移住』からのつづき

日本のお客さんにもライヴを聴いてもらいたい


1969年、日本のロック黎明期に、16歳でブルース・クリエイションを結成。その中心メンバーとして活動し、70年代以降の「ニューロック」を創ってきたミュージシャン・竹田和夫。その音楽人生は、そのままニューロックの歴史でもある。

今年、クリエイションが過去に発表したアルバムと、竹田のソロアルバム合計11枚が、竹田本人の監修でリマスター。紙ジャケ・高音質SHM-CDの形で、ユニバーサルミュージック・ジャパンから3回に分けてリイシューされることになった。第1弾の3枚に加え、8月に第2弾の4枚がリリース。残り4枚は11月に発売される予定だ。今回、米国から一時帰国中の竹田にインタビュー。貴重な話を聞くことができた。今回は大締めとなる第6弾を公開。

1997年に渡米、ロサンゼルスに拠点を移し、現地のライヴハウスを中心に演奏活動を続けている竹田和夫。当初、ロスにいるのは10年ぐらいのつもりだったが、気づけばすでに26年が経過した。現在竹田は年2回のペースで帰国、日本でもライヴ活動を行っている。注目はソロ公演のほかに、往時のメンバーも加わり「クリエイション」としてのライヴも開催していることだ。

―― ロスを拠点に活動しつつ、定期的に帰国して、日本でも年2回ツアーをするスタイルになったのはいつからですか?

竹田和夫(以下、竹田):ここ10年ぐらいですね。前は年1回だったけど、今は春と秋、年2回になりました。

―― 日本でもライヴをやろうと思ったきっかけは?

竹田:やっぱり、「日本のお客さんにもライヴを聴いてもらいたい」っていう、これが一番の理由ですね。普段、アメリカでこういう曲を演っているんで、それをそのまま聴いてもらいたい、というのが出発点としてありました。

―― ということは、日本でのセットリストはアメリカでのライヴと同じ、ということですか?

竹田:わりと変えずに、向こうで演っている曲をそのまま演ってます。最近は少し変えていますけど。

クリエイションをリユニオンした理由


―― 帰国した際、ソロ公演以外に、かつてのメンバーを招いて「クリエイション」としてのライヴも行っていますよね。1984年に解散したクリエイションをもう1回リユニオンしようと思ったきっかけは何だったんですか?

竹田:最初は、あるフェスティバルに、クリエイションの名前で出たのがきっかけですね。そのとき、レコーディングの話をいただいたんですよ。亡くなったドラムスの樋口(晶之、ブルース・クリエイション時代からのメンバー、2017年没)がけっこう積極的に「やろうよ」って誘ってくれて、「うん、やろうやろう!」「今だからできる」って盛り上がってね。機が熟したという感じかな。

―― 竹田さんにとっては、クリエイションはやりたいことをやり尽くして解散したバンドですよね。そのバンドがまた復活したのは、アメリカで長く活動しているうちに、何か心境の変化があったんでしょうか?

竹田:さっきのマキさんの話にも通じるんだけど(註:カルメン・マキが「自分が通ってきた時代の空気を、今の若い世代にも伝えたい」と精力的にライヴを行っている話 第2回参照)、やっぱり今まで自分がやってきたものを今のサウンドで届けたい、いろんな人に聴いてもらいたい、っていう気持ちが強いですね。

―― そういう意味では、今年、クリエイションや竹田さんの過去のアルバムがリマスターされて再び世に出るのは、若い世代に聴いてもらういいきっかけになりそうですね。

竹田:本当にそうですよ。実は今までファンの人から「このアルバムが好きだけど、アナログ盤しか出ていないから、CDを出してほしい」とか、けっこうリクエストをもらっていました。でも、レコードとCDの “音の差” って大きいですからね。それにリマスターするとなれば、それなりに機材も要りますし。なかなか手付かずでいたので、今回はいい機会をもらいました。

竹田和夫監修、過去のアルバムのリマスター盤が順次リリース


―― 竹田さんが監修された今回のリイシュー盤、ご自身で聴かれてどうでした? 納得のいくリマスターになりましたか?

竹田:あ、もう素晴らしい出来です。マスタリングは専門のエンジニアにやっていただいたので。今後出る盤も非常に楽しみです。

今年は3回に分けて、過去のアルバムのリマスター盤が順次リリースされているクリエイション。11月にリリース予定の第3弾は、『CREATION』(1975年)『Felix Pappalardi & Creation』(1976年)『Pure Electric Soul』(1977年)『Super Rock In The Highest Voltage』(1978年、初CD化)の4枚が復刻される予定だ。また、リリースを記念して、10月15日(日)には原宿クロコダイル、11月5日(日)は横浜サムズアップで「クリエイション」としてのライヴが行われる。竹田と往時のメンバーのセッションが楽しめる貴重なライヴになりそうだ。









情報に振り回されないで、自分の信じる道、やりたいことをしっかりやっていく


―― 今、竹田さんにとって「クリエイション」というバンドは、たとえて言うとどういう “場” なんですか?

竹田:うーん。自分の音楽活動の “船” みたいな感じですね。船とか馬車かな。それによって、ここまで来ることができた。今までに自分で書いたほとんどの楽曲は、クリエイション時代に作った曲ですし。

―― ソロ活動のかたわら、母体となった “船” も大切にしつつライヴを行っている竹田さんですが、2020年以降のコロナ禍で、ライブができなくなるという厳しい状況に直面しました。竹田さんの音楽生活にも、少なからず影響を及ぼしたんじゃないかと思うんですが……

竹田:まず、ライヴ自体ができなくなりましたからね。コロナ禍が始まった年、2020年春のツアーは、結局ライヴを1回もできなくて、公演は全部キャンセルになりました。その後ツアーは、少しずつ有志に来てもらいながら徐々に復活させていって、今やっとね、お客さんも慣れてきたっていうのかな。だってコロナ禍の初期は、なんの陰謀なのか、ライブハウスがすごく悪者にされていましたからね。「あそこに行ったら病気になる」みたいな。僕なんかはまだいいけど、お店の人は、皆さん本当に大変だったと思います。

―― コロナ禍で、何か考えが変わりました?

竹田:コロナについてもそうだけれど、ネット時代はいろんな情報が飛び交っているでしょう。で、その情報のうちどれが本当のことなのかがわからない。で、わかったところで、我々にはどうしようもないことっていっぱいありますからね。大切なのはやっぱり「情報に振り回されないで、自分の信じる道、やりたいことをしっかりやっていく」っていうことなのかなと、あらためて思いました。

―― 新型コロナワクチンは接種されたのですか?

竹田:僕は毎年アメリカから日本に来なきゃいけないんで、ブースターショットも含めてワクチンは全部射ったんですけど、やっぱり副反応のことも気になりますよね。まあでも、射たなきゃ日本に入れないから射ちました。それはもうしょうがない。しょうがないといえば、今、アメリカは物価高がすごいんですよ。日本以上に、いろんな物がとんでもない値段になっちゃって。こういうのはもう、われわれにはどうしようもないですから。

「一所懸命弾く」という姿勢は変わらない


―― そんないろいろと厳しい時代に、竹田さんのライヴを国内で観られるのは本当に貴重だと思うんですが、5月21日・27日の公演は、クリエイションとしてのライヴになります(註:インタビュー時は開催前)。今回はベースの松本繁さんが参加されるということで、本当に昔からのメンバーですよね?

竹田:そうですね。ドラムスの高木貴司も参加してくれていたんですけど、ちょっと今忙しくて、残念ながら参加できないと。毎回、参加はオープンなんですよ。過去、クリエイションのアルバムに参加してくれた人とかね、そういうちょっとしたゲストでも「来られたら、いつでもどうぞ」みたいな。

―― ある意味、同窓会のような感じですか?

竹田:そうですね。でも、やっぱりショーはショーだから、きっちり練習して、出番も「この人はここ」みたいに、スポットライトが当たるところを決めてあげないと。そこは気を遣いますね。

―― 今回は、80年代にクリエイションのベースを担当したヒロ小川さんも参加されますから、松本さんとツインベースになりますね。

竹田:そう、クリエイションの2大ベースですね。70年代の松本と、80年代のヒロ。デラックスバージョンですね。

―― 松本さんは2年ほど前にも、リユニオンに参加されていますけれど、長い間離れていても、久々に一緒に演奏してみるとしっくり来るものですか?

竹田:それはやっぱりね、彼のベースが奏でるメロディーを聴くと、蘇ってくるものがありますよ。一緒にライヴであちこちを回っていた頃のことを思い出しましたね。

―― ギターを弾く時にいちばん大事にしていることって、若い頃と今とではだんだん変わってきていると思うんですけど、 今は何を一番大事にしているんですか?

竹田:そうですね…、テーマは時代によってその都度変わっていくけれど、「一所懸命弾く」という姿勢は変わらないんです。つねに頭にあるのは、気持ちを込めて、ソウル(魂)を込めて弾くっていうことですね。決して技術に走らず、心を込めていい音を出すっていう、それはいつの時代も変わらないですね。

―― ギタリストってすごく技巧に走る人もいますけど、竹田さんはそうじゃないということですね。

竹田:まったくそうじゃないですね。そうは言っても、僕はわりと音数が多いほうで、ついテクニックに走りそうなところを、ちょっと抑えながら弾いてます。技巧も必要ですけど、それだけになっちゃうとね…。曲に合ったメロディーとか、やっぱり出す音ですよ。ものすごく基本的なことですけど、「いい音だな」っていうのは大事にしたいですね。

―― 最後に、今回のリイシュー盤を初めて聴く若い世代のリスナーに、竹田さんから一言。

竹田:これまでクリエイションの音楽を聴いたことがない人も多いと思うんですけど、ぜひ一度、ライヴを観てほしい。そのあと、このアルバムをCDでもう一回聴いてもらいたいですね。僕らはその時代、その時代で、何か新しいこと、他がやっていないことをやろうとチャレンジしてきた。今回リイシューされたアルバムは、その軌跡でもあるんです。今の人たちに「こういう音があるんだよ」っていうことを体感してもらえたら嬉しいですね。

特集:Ultimate CREATION

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カタリベ
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