1973年 10月7日

ドラマを感じる《野球アニソン》ベストテン!侍ジャパンのモデルは侍ジャイアンツ?

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“ドラマ” を感じる野球アニソンのベストテン


野球というスポーツには人生の縮図のような一面があります。だからこそその魅力は人を惹きつけて離さないし、漫画化してもアニメ化してもサマになる。当然野球アニメのテーマソングも、試合の勝ち負けを超越したドラマティックな曲ばかり。

ということで今日は、このたびのWBC開催を記念し、私が “ドラマ” を感じる野球アニソンのベストテンを発表致します!!

第10位:がんばれドカベン(1976年「ドカベン」より)


昭和50年代において、男子の好きな漫画といえば『ドカベン』、女子は『キャンディ❤キャンディ』、という時期が確かにありました。

両作ともテレビアニメ化され大ヒット。男子の圧倒的な支持を得たこの『ドカベン』をはじめとする水島新司先生の野球漫画は、他の追随を許さぬ独特の瑞々しさを持った存在でした。この作品の主人公である明訓高校のキャッチャー、ドカベンこと山田太郎選手は、その名の通り飾らない人柄の好男子でしたが、菊池俊輔先生作曲によるこの曲も、ヒーロー物の菊池節テーマソングに多く見られるような “哀愁系” ではなく、応援歌調で健全そのもの、青春そのものの佳曲でした。

第9位:タッチ(1985年「タッチ」より)


実はワタシ、この『タッチ』を含め、あだち充先生の作品にはほとんど触れたことがなく、この曲も作品の内容自体は知らぬながら、岩崎良美さんのチャーミングな歌声のおかげで大好きな存在なのです。

チェッカーズの曲でヒットを次々と飛ばしブイブイ言わせていた頃の芹澤廣明先生の作曲によるこの主題歌は、何が凄いってこれを歌う女子はみんな可愛く見えるところが凄いのです。おかげで私は大勢でカラオケに行った際、この曲を歌う女子のことを一時の気の迷いで好きになりそうになったことが何度もあります。試しに女子の皆さんは、意中のヒトとカラオケに行くときにこの曲を歌ってみてはどうでしょうか!(結果が伴わなくてもワタシの責任ではないが)

第8位:ゆけゆけ飛雄馬(1968年「巨人の星」より)


日本漫画史上において、社会現象にまでなった最初のビッグヒット野球漫画といえば、やはりこの『巨人の星』に他ならないでしょう! 当然のごとくテレビアニメ版も大ヒット。本作以降、梶原一騎先生の原作による漫画は『あしたのジョー』『柔道一直線』『タイガーマスク』『キックの鬼』『空手バカ一代』など続々とアニメ化・ドラマ化され、空前のスポーツ根性物(いわゆるスポ根物)のブームを巻き起こします。

この『巨人の星』のテーマソングは、野太い男声コーラスによるお馴染みの「思い込んだら試練の道を」(星飛雄馬と伴宙太がグラウンドを地ならししている道具は「重いコンダラ」ではないのである)で始まる少々軍歌調とも言えそうな大時代的な曲ですが、“それは古いアニメの曲だからでしょ”、と思うなかれ若者たちよ。私には古い、新しいの問題ではなく、敢えて、狙って大時代的な曲を作ったとしか思えないのです。


ところで主人公・星飛雄馬の父・星一徹は、現代の感覚でいうと猛烈なDV親父ですが、考えてみればこの曲の歌詞で、「血の汗ながせ」だの「涙をふくな」だの「どんと行け」だのと命令口調で飛雄馬を鼓舞しまくっているのは、誰あろう星一徹なんですよね。大正生まれとおぼしき(?)一徹目線の曲だからこそ、大時代な野太い男声コーラス曲であるのもむべなるかな、という気はします…。

ちなみに作曲は、のちに『アタックNo. 1』『アルプスの少女ハイジ』『キャンディ❤キャンディ』『機動戦士ガンダム』など、ジャンルを超えて多くのアニソンヒット曲を生み出された渡辺岳夫先生です。



第7位:青春の詩が聞こえる(1978年「一球さん」より)


水島新司先生の野球漫画が一世を風靡し、日本アニメーションにより続々テレビアニメ化されていた頃の1曲。

水島漫画独特の飄々とした主人公・真田一球の朴訥としたイメージのこのテーマソングは、哀愁漂うフォークソング調です。ちょっと寂しげで、若人のつぶやきをそのまま歌にしたような感じです。

考えてみればアニメ化された水島漫画三作、『ドカベン』『野球狂の詩』『一球さん』の主題歌は、それぞれに個性が素晴らしく際立っていました。この『一球さん』の主題歌は、作詞家として著名な荒木とよひさ先生が、作詞ではなく作曲と歌をご担当。もしかしたらちょっとした珍品かも?

ところで今まさにWBCで大活躍中の大谷翔平選手は、この真田一球とイメージが重なると言われているようです。確かにそんな気もします…!



第6位:アパッチ野球軍(1971年「アパッチ野球軍」より)


野球アニメ史上のみならず、日本のテレビアニメ史上に残る異色作中の異色作。
原作は『細うで繁盛記』『どてらい男(ヤツ)』や『あかんたれ』といった、浪花のど根性物で数々のヒットドラマを生み出した花登筐(はなとこばこ)氏。

この作品も青春の汗キラキラな野球漫画とは一線を画す内容で、かつて高校野球で活躍するも思うところあって自ら選手生命を断った青年・堂島剛が、”アパッチ村” と呼ばれる過疎の地域に住む不良少年たちに野球を教えていくというストーリー。

週刊少年キングで連載当時、作画を担当されたのは梅本さちお先生でしたが、それをアニメ化した当時の東映動画(現:東映アニメーション)は、『タイガーマスク』『キックの鬼』といった作品を経て独特の荒々しいタッチが進化を遂げており、さらにパワーアップしたバイオレンス描写に、当時の子ども達は目をみはるばかりでした。

「おれたちゃ裸がユニフォーム」で始まるこの曲を歌う林恵々子(はやしけいこ)さんは堀江美都子さんの同期だそうですが、なかなかにチャーミングな歌声です。

当時私が住んでいた団地には、この曲を鳴らしながらワゴン車で子供服を売りに来る業者がいましたが、このワゴン車が来ると団地の子供たちが周りに群がっていたものです(服を買うのは親たちですが)。何げにこの曲には人を惹きつける魅力があるのかもしれません。…「裸がユニフォーム」なら服は要りませんけど。

ちなみに本作の演出には、のちに『アルプスの少女ハイジ』『母をたずねて三千里』『火垂るの墓』などで巨匠の名をほしいままにする高畑勲氏も参加されています。



第5位:友情の虹(1968年「巨人の星」より)


そう、あの「ゆけゆけ飛雄馬」のB面がこの曲なのですが、A面の大時代的な印象の鬱憤を晴らすかのように、エレキサウンドデンデケデケデケが炸裂のGSサウンドなのです。

きっと作曲の渡辺岳夫先生は、「ゆけゆけ飛雄馬」のような古色蒼然とした曲しか書けないと思われるのが嫌で、B面曲だけでもそれとは正反対の、思いっきり現代ふう(当時としての)にされたかったのではないか…… と、これは根拠のない憶測です。しかしながら今となっては、むしろこの「友情の虹」の方に昭和歌謡ノスタルジーを感じてしまうのが不思議です。

番組中ではオープニングもエンディングも「ゆけゆけ飛雄馬」が使用されていたため、レコードを持っていない人の間ではこの曲の知名度ももうひとつかもしれませんが、渡辺先生の守備範囲の広さを知らしめる佳曲です。

第4位:勇気のテーマ(1977年「野球狂の詩」より)


この『野球狂の詩』は、『ドカベン』『一球さん』等と同じく水島新司先生の原作ながら、こちらはプロ野球界が舞台で、この曲は番組のエンディング曲であり、作品中で史上初の女性プロ野球選手となった水原勇気のテーマ曲です。

作詞も水島先生が担当されていますが、出来上がった曲を聴き、ご自分の書かれた詞からこんなに素晴らしい曲に仕上がったことにいたく感激されたとか。

そのメロディーはーー

 たたかいの広場に おとこの広場に
 咲いたかれんな 花ひとつ

といった歌詞のイメージを見事に具現化しており、堀江美都子さんの清らかかつ力強い歌声と相まって、水原勇気の「かれんな花」ぶりをストレートに表現した名曲です。

作曲は『マジンガーZ』や『秘密戦隊ゴレンジャー』『宇宙刑事ギャバン』などのパワフルな “宙明節” で知られる渡辺宙明先生。前述の渡辺岳夫先生ともども、職人技ともいえる作風の広さには刮目するしかありません。



第3位:北の狼 南の虎(1977年「野球狂の詩」より)


『野球狂の詩』は、水原勇気を主人公とした連続物の「水原勇気編」と、勇気入団前の、東京メッツの選手たちを主人公とした一話完結型の「キャラクター編」に分類されます。

この「北の狼 南の虎」はその「キャラクター編」のひとつのエピソードなのですが、通常であれば1回の放送で完結するところ、この「北の狼 南の虎」は2週にわたる前後編(しかもこの番組は1時間尺だったので合わせて正味約90分!)で放送されました。

さらに破格なことには、このエピソードのためだけに、オープニング・エンディング共に他の週とは異なる新曲が書き下ろされました。しかも、作詞:橋本淳、作曲:中村泰士、編曲:萩田光雄という完全なる歌謡曲の布陣。制作側の力の入れようが分かるというものです。

不幸なキッカケで生き別れとなった兄弟が、やがて別チームのプロ野球選手となって宿命の対決を果たす…… というこの物語。

歌うは我らが水木一郎アニキでしたが、お馴染みの “雄叫び系” ではなく、1番の歌詞では兄目線、2番では弟目線で人生の哀感をしっとりと歌い上げた名曲となりました。

第2位:侍ジャイアンツ(1973年「侍ジャイアンツ」より)


侍ジャパンという名称のモデルとなったに違いないこの作品、『巨人の星』と同じ梶原一騎先生の原作ながら、こちらは大回転魔球、ハイジャンプ魔球などを次々と繰り出し、並み居るライバルを相手に破天荒な活躍を見せる番場蛮を主人公とした型破りなストーリー!

その主題歌も「ズンタタタ ズンタッタ」で始まる蛮ちゃんのイメージそのものの三拍子の調子のイイ曲。作曲の菊池俊輔先生は、きっと最初にこの歌詞を見た瞬間、直感的に三拍子で行こう、と発想されたに違いない…… などと想像するのも楽しいことです。

歌うは松本茂之、となっていますが、これは水木一郎アニキの別名。1971年に『原始少年リュウ』のオープニングでアニソンデビューしてからわずかに2年後のこの曲ですが、既にアブラの乗り切った勢いを感じさせる歌いっぷり。

私にとっては常に “聴けば元気が出る曲!” です。

第1位:栄光の彼方へ(1977年「野球狂の詩」より)


またまた『野球狂の詩』から。前述の通り『野球狂の詩』はプロ野球界を舞台にしており、脚光を浴びるスター選手を取り上げたエピソードばかりではありませんので、プロの厳しい現実を描くことも多かったのです。

 男はだれもヒーローだから
 泥にまみれてたえるのさ
 明日をめざす俺達に
 やさしいやつは風ばかり

といった歌詞で始まるこの曲は、そんな厳しい世界に生きる選手たちに向けた優しい眼差しを感じさせる温かい曲です。それはこよなく野球を愛された原作者の水島新司先生の思いを表現したものでもあったでしょう。



この曲はいわゆる「キャラクター編」(「北の狼 南の虎」を除く)のエンディングとして使用され、作詞は「北の狼 南の虎」と同じく橋本淳先生、作曲は「勇気のテーマ」と同じく渡辺宙明先生でした。

この曲は別に “泣かせ” が入ったメロディーという訳ではないと思うのですが、私は聴くたびに決まってジーンときてしまうのです。それはこの曲が、野球選手だけではなく全ての人に向けた、どこか優しい「人生の応援歌」を思わせるところがあるからかも知れません。

―― ということで上位は『野球狂の詩』関連曲が多くを占めてしまいましたが、極私的セレクトだとこうなるのも納得ずく、なのです。

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2023.03.18
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カタリベ
1967年生まれ
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