2023年 10月4日

【飯島真理インタビュー】② 新しい魅力発見!40周年オールタイムベストを本人が解説

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『【はじめての飯島真理】① 40周年オールタイムベストを本人が解説!新しい魅力を発見』からのつづき

飯島真理本人の解説とともに紐解いていく「All Time Best Album」


前回に引き続き、自身初のオールタイム・ベストとなるアルバム『All Time Best Album』について、入門的に飯島真理本人の解説とともに紐解いてみたい。

前回は、Disc1“Her 彼女”、Disc2“Him 彼” についてだったので、今回はDisc3“Us 私たち” からスタート。このパートは、劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の主題歌となった「愛・おぼえていますか」や同エンディングテーマの「天使の絵の具」が収録されていることや、1990年前後の比較的派手な楽曲がディスクの前半に多数収録されていることからか、とてもカラフルで聴きやすく、3枚の中で最も入門編として最適かもしれない。

「にぎりしめたジェラシー」(1曲目)
1991年のアルバム『Believe』収録。「♪ お互いに今の暮らし壊さずに付き合えたら~」「♪ 誰の事も傷つけずに二人愛し合えない~」という “許されない恋” ゆえの湿度が、AORテイストの明るめのメロデイーと飯島の明るい歌声で解消されているのが見事。

飯島:「当時の共同制作者だったジェームスは日本語が分からなかったから… という理由ではなく、デビュー当初から “楽曲は明るいけれど、内容は悲しいよね?” とよく周りから言われていました(笑)。“凄くツラい曲だけど、爽やかな感じになっている” と褒められたことも。なので、この(ヘビーな歌詞とライトな曲調の)組み合わせは、私らしさであり、この曲は私のお気に入りの1つです」

「9月の雨の匂い」(6曲目)
1988年のアルバム『Miss Lemon』収録。明るいメロディーと、ボリューム感のあるコーラスワークでノリが良い。そこに「♪ 僕から電話するよ やさしくて嘘つきなあなた〜」という歌詞が乗るのも痛快。



飯島:「ジェームスは元々ビーチ・ボーイズのマイク・ラブのキーボーディストであり、若い頃からビーチ・ボーイズが彼のアイドル的存在だったのでコーラスワークにこだわりがあり、彼自身も積極的にバッキングボーカルに参加していました。また、この時期は、ジェリー・ヘイ(※トランペット奏者で、グラミー賞のアレンジ部門で5回受賞)といつも一緒に仕事をしていたので、ホーン・セクションのノリが強い作品が多いと思います」

1988年から1995年あたりの作品は、前述のような飯島真理らしいパターンを踏襲しつつも、全体に当時の洋楽や邦楽の流行を意識したようなサウンドで、ある意味とても聴きやすいが、そういったディレクションがあったのかを尋ねてみた。

飯島:「確かに! 今思うと、ヒットをより意識するようにと言われた時期でもありましたね。ディレクターによっては、“飯島真理も渋谷系をやれば?” とか、“カラオケで流行るような曲を” 等と、プレシャーをかけられたこともありました。それと、この時期は共同プロデューサーのカラーも色濃く出ているかもしれません。サックス奏者のマイケル・パウロが、ある時「真理の音楽はとれたてのオーガニックなものなのに、(共同プロデューサーが)スムーズにしすぎている」と忠告しに来たことがあり、それで、自分を譲り過ぎていたな… と実感し、1997年のアルバム『Europe』からは自分の世界にぐっと引き戻しました」

「ただ、この頃の2人のダイナミクスが感じられる音楽だからこそ好きというファンもたくさんいらっしゃって、私自身も今回あらためて聞いてみて、“いいじゃない!” と思ったものが多かったです。この時期の楽曲たちはカラっとしていて聴きやすいですよね!」

穏やかなアレンジと前向きな歌詞がとてもよく合っている「天使の絵の具」


「天使の絵の具」(14曲目)、「愛・おぼえていますか」(16曲目)
ともに1984年のシングルで、映画『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』のエンディングテーマと主題歌に起用される。本作での「天使の絵の具」は、2002年のアルバム『Sings Lynn Minmay』に収録されたバージョンで、穏やかなアレンジと前向きな歌詞がとてもよく合っている。



飯島:「最初に「天使の絵の具」を書いた時、シュガー・ベイブの「DOWN TOWN」のようなアレンジにしたかったので、(煌びやかなサウンドの)シングルよりも、このバージョンこそ自分がやりたかったものに近くなっていると思います。シングルバージョンも大好きですけどね」

「愛・おぼえていますか」は、作詞:安井かずみ、作曲:加藤和彦によるラブバラード。2023年のライブでもアンコールで披露されて驚いたファンが多かったのか、会場中が大きく盛り上がるほど、彼女の代表曲となっている。とはいえ、既にシンガーソングライターとして頭角を表していた時期に、他の作家からの提供作を歌う戸惑いは飯島にはあったのではないだろうか。

飯島:「この頃はデビューしたばかりで自我も強く、正直なところ、なぜ自分が主題歌を書かせてもらえないのか、という気持ちはありました。だからシングルB面となったエンディングテーマ「天使の絵の具」は私の作詞・作曲で折り合いをつけてくれたんだと思います。でも、私は、主題歌を書いてくださった加藤和彦さんも大好きでよく聴いていたので「愛・おぼえていますか」を尊重しました」

「だって、初めて買ったシングルもフォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」ですから。そして、加藤さんは本当に紳士的で、私が自分で書きたかっただろうという気持ちを汲んで、機会あるごとに “この子はシンガーソングライターだから” と、たくさんの人の前でご紹介して下さっていました。その御礼をいつか言いたいと思っていた矢先に亡くなられてしまって、心残りなんですが…きっとその気持ちも伝わっていると信じていいます」

「No Limit」(17曲目)
1999年の全曲英語詞のアルバム『No Limit』収録。ラストに収録することにより、このベスト盤のエンディングテーマのように聞こえてきて、彼女の軽やかでありつつ、着実に前に進もうとするチャレンジャー精神を象徴するような1曲だ。



飯島:「その通りです!自分で書いた元気が出る曲でアルバムを締めたいと思って選曲しました。私から、さらにおススメしたいのが、実は、歌詞やメロディーだけじゃなくて、ミュージシャンの演奏やミキシングの素晴らしさから選曲した楽曲たち。例えば、Disc1の「Sing For Me」(2001年『Right Now』収録)のように、普段は目立たない存在だけど珠玉の名曲も選んでいます」

「また、Disc2の「Michael」(1991年『Believe』収録)は、当時何度ミックスしてもそれを超えられなかったラフ・ミックスなのです。音楽も、力んでいない時こそ一番良いものが出来るのかもしれません」

「そして、Disc3では「Sudden Kiss」(1994年『Best Of The Best』収録)や「Love Is Coming Back」(1995年『Sonic Boom』 収録)は、当時の私がミキシングエンジニア・オタクだったので、この頃ならではのゴージャスなミックスたちを聴いてもらえるかと思います」

初回限定盤には、102分収録のビデオクリップ集が付属


さらに、初回限定盤には、過去に発売されたライブ映像からのベストセレクションと可能な限りコンプリートにしたビデオクリップ集が付属。こちらも102分収録という大盤振る舞いだ。

飯島:「ファンの方からは、DVD付きの初回盤もCDのみの通常盤もお買い得すぎる!と言われました(笑)。ライブ映像の方は、ベストのCD3枚に選びたかったけれど、残念ながら漏れてしまった楽曲等も選んでいます。例えば、『ロゼ』の「まりン」。Night Tempoが注目してくれて、ストリーミングでヒットしている「Love Sick」も、弾き語りの方がインパクトがあるのでライブ・バージョンで収録されています」

「また、ビデオクリップ集についてですが、近年の自分のレーベルの作品は、アルバムのリード曲というより、その時々に自分が映像を撮ってみたいと思い撮った楽曲たちが収録されています」 例えば、「無言の復讐 Silent Revenge」は、この曲でダンスビデオを作りたいというのがキッカケでした」

原動力は、音楽家として認められたいという気持ち


最後に「愛・おぼえていますか」がヒットした1984年、まだ生まれていない10代から30代の若いRe:minder読者に向けて、また、ブレイクした当時を知っている同年代のファンに向けてのメッセージをお願いした。



飯島:「私の音楽を新たに聴いてくださる方にとって今回のベストアルバムは、入門書以上のボリュームがありますが(笑)、その中でピンと来たものがあれば、もともとの収録アルバムにも沢山の名曲が詰まっているので、是非聴いてほしいなと思います」

「そして、もしかしたらブランクのある人もいらっしゃるかもしれませんが、私はその間もいろんな音楽を生み出してきたので、是非聴いてください」

彼女に、音楽を作り続ける原動力を尋ねたところ「音楽家として認められたいという気持ち」 と答えてくれた。オリコンTOP10入り、または累計5万枚以上という、いわゆるヒットアルバムだけでも10作前後の実績があるにもかかわらず、常に新たな世界に向かって邁進しようとする姿勢には頭が下がる思いだ。

本作を聴けば、ストレートな想いを綴った歌詞、楽しそうにピアノを弾くことで生まれたメロディー、そして日本語でも英語でも、言葉の響きを大切にした歌唱、それらを絶妙なバランスでまとめたミキシングなど、様々な観点で飯島真理の新たな魅力に気づかされることだろう。さらに、それらを発見することで、自分の中での新たな感覚に目覚めるキッカケとなりそうな気がする。


【飯島真理プロフィール】
幼少の頃よりクラシックを学び、国立音大ピアノ科に進学。1982年、TVアニメ『超時空要塞マクロス』リン・ミンメイ役を担当。1983年、シンガーソングライターとしてアルバム『ロゼ』でデビュー。坂本龍一がプロデュースした初の新人として話題となる。1989年ロサンゼルスに移住。1999年、自身のレーベル marimusic をアメリカで設立、初の全英語アルバム『No Limit』を発売。その後コンスタントにアルバムをリリース。2023年デビュー40 周年セレブレーションとして、8月2日に新曲を含むスペシャル・カバー・アルバム『For Lovers Only Ⅱ』をリリース。9月3日、Billboard Live Yokohama にて2回公演を行った。



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2023.09.28
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